ブロックチェーンセキュリティ企業のサイファートレイス(CipherTrace)が10月10日、今年ハッキングの被害に遭い流出した仮想通貨が10億ドル(約1,100億円)に上るというレポートを発表した。
仮想通貨の盗難被害は9月時点で総額9億ドル越え
同社は「Cryptocurrency Anti-Money Laundering 2018 Q3」というレポートで、2018年9月までに9億2,700万ドル(約1,000億円)相当の仮想通貨がハッカーにより盗まれたと報告している。
盗難被害の総額が2億6,600万ドルだった2017年に比べ、今年は約3.5倍増加し、年内には10億ドルに達する見通しだという。
今年最も被害額が大きかったのが、1月に流出事件が起きたコインチェック(CoinCheck)の約5億3,000万ドル。次いでイタリアの仮想通貨取引所のビットグレイル(BitGrail)の約1億9,500万ドル、ザイフ(Zaif)の6,000万ドル、韓国のコインレール(Coinrail)とビッサム(bithumb)がそれぞれ4,000万ドルと3,000万ドルの被害にあった。
その他の例で、分散型引所(DEX)のバンコール(Bancor)で約2,350万ドル相当、イーサリアム(Ethereum)のクライアントソフトのゲス(Geth)が2,000万ドル以上の被害に遭った。
ビットコイン(BTC)2,800億円相当が資金洗浄
高額な被害ばかりが注目されがちだが、同レポートは比較的小さい額の被害も増加していると指摘。2,000万から6,000万ドルの被害額の合計が1億6,600万ドルに達していたと発表している。
また同レポートでは、2009年1月から2018年9月までに犯罪者が取引したビットコインのうち97%が、マネーロンダリング対策規制の緩い国の想通貨交換所で行われていたと指摘。これらの交換所で25億ドル(約2,800億円)に相当する38万ビットコイン(BTC)が資金洗浄されたとしている。
サイファートレイスのCEOであるデイビット・ジェバンズ氏(Dave Jevans)は、高額のビットコインが資金洗浄されていた事に関して、「さまざまな国と地域で、信頼される仮想通貨のハブとなるべくマネーロンダリングの規制強化を競い合っている。国際的な仮想通貨のマネーロンダリング規制が実行されれば、向こう18カ月で仮想通貨の資金洗浄を減少させる可能性がある」と話している。
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参考
・Cryptocurrency Anti-Money Laundering 2018 Q3