デジタルドレスに100万円、バーチャルアイテムになぜ価値がつくのか?

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デジタルドレスに100万円、バーチャルアイテムになぜ価値がつくのか?

デジタルアイテムに価値がつくというトレンドが生まれています。ブロックチェーン業界で顕著な例は、ブロックチェーンゲームという括りで総称される、イーサリアム(Ethereum)やイオス(EOS)などのパブリックブロックチェーンを利用したゲームです。My Crypto Heros(マイクリプトヒーローズ)やCryptokitties(クリプトキティーズ)に代表されます。

ブロックチェーン上のユニークなアセットであるNFT

ブロックチェーンを用いたゲームは、アイテムやキャラクターをトークン化しています。これらのカテゴリのトークンをノンファンジブル・トークン(NFT:Non-Fangible Token)と総称します。Cryptokittiesをはじめとし、その他の多くのイーサリアム関連のゲームも、おおよそERC721という規格のトークンを使用しています。この規格に準拠した形では、NFTという、新しいタイプのトークンを扱えるというところに特色があります。

Fungibility(ファンジビリティ)とは「代替可能性」を意味します。アリスの持っている1,000円とボブが持っている1,000円は、どちらの1,000円も常に同じ1,000円でありこの状態をFungibleといいます。これはビットコインも同じであり、アリスの持っている1BTCとボブの持っている1BTCは同じ1BTCでのはずです。つまり、ビットコインはFungibleです。

これに対して、NFTとは、Fungibleでないこと、つまり代替可能性がないことを前提にしています。そのトークンそれぞれに色をつけられるという仕様です。具体的には、ゲームを有利に進められる固有のパラメータや、ゲームの文脈以外でも利用できるかもしれないメタデータを各トークンに処理できます。だからこそ、Aという猫と、Bという猫の価値は違うもので、あるレアな猫は1,000万円で販売されるということが成立します。

このようなゲームを統括したレポートをこちらで配信しています。

ゲーム以外でもデジタルアイテムに価値がつく事例

こういったデジタルアイテムに唯一無二性が備わり価値がつく、高価で取引されているという事例はいくつもあります。オランダのスタートアップ企業ザ・ファブリカント(The Fabricant)が5月12日、インスタグラムでブロックチェーンを利用して、デジタルドレスを9,500ドル(約100万円)で販売したことを報告しています。

デジタル上のファッションの他の例としては、ノルウェーで1980年創業に創業したブランドのカーリングス(Carlings )が開始したキャンペーンの「adDress _THE_ FUTURE(アドレス ザ フューチャー)」があります。

デジタル世界にだけ存在するこのコレクションは、実際に着ることができず、ユーザーは気に入ったアイテムを購入すると、3Dデザイナーが撮影されたユーザーのポーズに合わせて写真上の洋服を着ているように調整してくれます。

カーリングスの事例ではブロックチェーンは利用されていませんが、デジタルのアイテムに価値があると感じ、お金を払う顧客・ユーザーが存在する点では変わりなく、確かなトレンドであることが想像できます。このブランドのアイテムもブロックチェーン上に記録され、唯一無二性を持ち、取引されることは近い未来にありえるのではないかと思います。

デジタルグッズに価値がつく理由

恐らく読者のなかにはデジタルグッズに価値があると感じる人の気持ちは分からず、このトレンドを実感することが難しいかと思います。実際に購入が起きている、トランザクションが起きているというデータがあるにもかかわらず、「なぜこれにお金を払うのだろう?」という感覚を持つ人は多いはずです。

筆者が考えるに、デジタルアイテムに価値がつくためには、唯一無二性やセカンダリーマーケットの存在だけでは足りません。当たり前ですが、ブロックチェーン上に乗ったからという理由で価値がつくというようなことはあり得ません。

オンラインゲームのアイテムに関するリアルマネートレード市場は以前から存在していました。恐らく、その市場でお金を払う人は、ゲームが楽しいから、ゲーム内でステータスが欲しいといった理由で現実世界のお金を使っていたはずです。そういった何かしらの動機が必要であるのには変わりありません。

バーチャルな服について先程の事例を使って考えると、3Dデザイナーが実際に着ているかのように写真上の洋服を調整するという機能でこういった部分を補完しています。現実世界で服を買うときの動機は、おしゃれに見られたいから、TPOに応じた服が必要だから、モテたいからといった何かしらの理由があるはずです。デジタルアイテムの服にはそれに相当するものが合理化されると急速にバーチャルアイテムの需要は高まるのではないかと考えられます。

その点では、ファッションのデジタルグッズについてまだ魅力を感じるポイントは少ないかも知れませんが、急速に需要が高まるとしたら、将来VR上でそのようなアイテムが装飾できるようになったときでしょう。

そしてその未来は何年も先ではなく、バーチャルアイテムの市場はブロックチェーンのインフラの発展だけではなく、さまざまな要素と合わせて拡大するのではないかと考えられます。

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