G20が一歩踏み出して閉幕:仮想通貨の監視は継続するが規制は当面なし

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G20が一歩踏み出して閉幕:仮想通貨の監視は継続するが規制は当面なし

G20財務相・中央銀行会議が閉幕した。G20は注目された仮想通貨について、監視は継続するが、規制は当面見送るとの方針を確認した。これを受けて仮想通貨市場は安心感が広がり、ビットコイン(BTC)価格は4%前後上昇して、BTC/USDは一時9000ドルを超え、BTC/JPYは97万8000円を付けた。

仮想通貨についてG20は、監視の必要性に触れたものの、規制に関連して「仮想通貨は法定通貨としての主要な特性に欠けている」「ある時点で、それが金融安定に影響する可能性がある」と言及するのにとどまった。G20は仮想通貨を「通貨」でなく、「暗号資産」と表現している。政府間首脳の集まりであるG20は初めて、仮想通貨対策に一歩踏み出した。

仮想通貨規制で見解の相違埋まらず

会議後に発表されたコミュニケは「国際的な基準設定機関に対して、その使命に従って仮想通貨とそのリスクの監視を続け、必要に応じて多国間の対応を評価すよう呼びかける。われわれは国際的な基準設定団体(SSB)が委任を受けて、引き続き仮想通貨資産とそのリスクを監視し続け、必要に応じて多角的な対応を評価するよう呼びかける」としている。基準設定機関とは、政府間機関である金融活動作業部会(FATF)を指している。

FATF(Financial Action Task Force)は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策及びテロ資金対策に関する国際基準(FATF勧告)の策定と見直し、FATF勧告の遵守状況の監視(相互審査)、非参加国(地域)に対する支援活動などに取り組んでいる。

アルゼンチン中央銀行のフェデリコ・シュトルツェネッガー総裁は、7月の次回G20会合で、データ収集などの面で特別な提言もしくは勧告を求める声があったと語っている。ニューヨークタイムズのコラムニストは、G20が何らか行動を起こす前に、政策立案者がまずその見解の差を埋めなくてはならないと指摘している

フランスなどEU諸国の規制対策に慎重論が勝る

フランスはドイツと共に、G20の議題に仮想通貨を取り上げ、(銀行による)仮想通貨の預託とローンとそれに基づく一般市民への投資勧誘の禁止など、特別の措置をとるよう提案していた。フランスのブリュノ・ルメール経済・財務相は、サミット参加者の4分の3が何らかの行動に賛意を表したと語り、「われわれは多国間あるいはG20のレベルで、 公正で有効な規制に対する解決策を見つけ、定義しなければならない」と語った。

イタリア中央銀行のイグナシオ・ビスコ総裁はフランスに賛意を表し、金融指導者グループは基準作成のため、証券監督者国際機構(IOSCO)のようなグローバルな市場規制と規制に取り組むことを期待していると述べている。

イングランド銀行(英中央銀行)のマイク・カーニー総裁は書簡の中で、「サイバースペースにおける強靱(きょうじん)さや市場の統合性、運営上の実質的な改善がないまま、仮想通貨の利用と相互の連結が拡大した場合、信頼感への影響を通じて金融安定のリスクをもたらす」と主張した。「ある時点で金融システムの脅威となる可能性がある」とのコミュニケは、EC諸国の見解を反映した。

黒田総裁は消費者や投資家保護と不適切取引防止の両面を強調して慎重姿勢崩さず

しかし、米国、日本を含めてほかの国は、仮想通貨の規制に踏み込んで、一定の合法性を与えることに懸念を表明し、2008-09年の金融危機後10年間のルール作りの反省から、新たな規制に懐疑的な見解を示した。

日本銀行の黒田東彦総裁は仮想通貨について、消費者保護、投資家保護の観点、あるいはマネーロンダリング(資金洗浄)その他の不適切な取引をどう防止していくかという観点があると指摘して、それが非常に重要だと語った。一方で、新しい技術は金融にプラスな影響を与える可能性があることを否定できず、両面を考えていく必要があることを強調した。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考:
The New York Times
Bloomberg