先日、9月21日から23日にかけて大規模なマイニングカンファレンス「World Digital Mining Summit」が、ジョージアで開催されました。
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カンファレンスは、マイニングハードウェア製造最大手のビットメイン(Bitmain)と、中国暗号通貨系の情報ポータル大手であるビットカン(Bitkan)の主催で行われ、マイニングのみにフォーカスをしたカンファレンスとしては業界史上最大になりました。
50社以上のマイニング企業と、30以上のスピーカーが参加するイベントで、ビットメインのCEOであるジハン・ウー氏(Jihan Wu)やBitcoin.comのロジャー・バー 氏(Roger Ver)、Genesis Miningのマルコ・シュトレング氏(Marco Streng)などが参加しました。
本稿では主に、今回のカンファレンスで発表されたことや直近でのマイニング関連で特に重要なニュースをまとめます。
目次
ビットメイン(Bitmain)社が、7nmのASICをついに発売
まず、一番重要なニュースはこちらでしょう。Bitmain社が、7nmのASICをついに発売します。SHA-256用のASICのBitmain社によるメジャーアップグレードは久しぶりです。
公表した性能は、42J/THだそうでこの数値が事実であれば、現存するASICの最高機種のスペックを1.5倍以上で上回ることになります。価格はまだ公表されていませんが、価格が多少高くても、この数値ならマイナーはASICの乗り換えを行うでしょう。発売は近日中だとしています。
Canaan Creativeのエグゼクティブが独立、イーサリアム(ETH)のマイニング機器を販売
その他にもASIC関連で重要な動きとして、イーサリアム用のASICでもスペックの大幅な向上があるものが発売予定となっています。
こちらは、ASIC製造のカナン・クリエイティブ社のチップ設計のエグゼクティブが独立して、設立した会社で発売するイーサリアム(ETH)のマイニング機器です。
仮想通貨情報サイトのコインデスク(Coindesk)によると、性能は相当高く、現存するビットメイン社のイーサリアム(ETH)用のASICの8倍の電気効率です。
こちらも本当にこのスペックを出せるのならば、と前置きが必要になりますが、イーサリアム(ETH)マイナーのほとんどが乗り換えるレベルのアップデートです。
Braiins Systemがマイニング機器向けOSを発表
ビットコインの大手マイニングプールの1つであるスラッシュプール(SlushPool)を運営するブレインズシステム(Braiins System)社が、マイニング機器向けオープンソースOSであるBraiins OSを発表しました。
これまでマイニング業界では、ビットメイン社などが販売をするASICにバックドアが入っている可能性があるのではないかといった問題が度々指摘されることがありましたが、そういった噂に対するひとつの動きであると言えるでしょう。
これ自体では、特に業界にインパクトを与えるようなことはないですが、もしビットメイン社がイービルな企業活動をした場合、このオープンソースコードをもとに独自のチップを作り始める業者などがでてくるかもしれません。
そういった連想をさせる抑止力くらいにはなるかもしれません。
まずはAntminer S9とDragonMint T1向けのイメージを無償で公開しています。
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参考
・Bitmain
・Coindesk
・Braiins OS
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