フィンテック企業の連邦銀行免許申請を受理、米通貨監督庁の決定が金融界に波紋

編集部ピックアップ

フィンテック企業の連邦銀行免許申請を受理、米通貨監督庁の決定が金融界に波紋

米国の銀行規制監督機関である通貨監督庁(OCC)が、フィンテック企業に対して、連邦法銀行免許(National Bank Charter)の申請を受け付けると発表しました。この免許を取得することは、フィンテック企業が連邦準備銀行の会員として州法に規制されず全国一律に連邦銀行並みの営業活動ができることを意味します。

これに対して全国コミュニティー中心の中小金融業(銀行)団体であるIndependent Community Bankers of America(以下:ICBA)は、OCCに重大な懸念を表しました。

革新的サービスを提供する企業には連邦規制銀行の扱いを

これは米財務省の独立機関である通貨監督庁(OCC)が、2018年7月31日に発表した政策です。ジョゼフ・オッティング(Joseph Otting)長官は「革新的な方法でバンキングサービスを提供する企業は、連邦規模で全国レベルの免許による規制銀行としてビジネスを追求する機会を与えられるべきだ」と語りました。

この発言に対してワシントンにあるロビーグループであるICBAは「貸金業者は、銀行と同じ規制要件に向かい合っていないというのに、どうして優位に立てるというのか」と激しく反発しています。

OCCは銀行グループの懸念に応えて、「ライセンスを受けるフィンテック企業は、ほかのすべての銀行と同様の義務を負い、連邦準備制度理事会に対して、自己資本規制、四半期ごとの決算報告などを提出しなければならない」と発表しています。発表によると、フィンテック企業はさらに、新規銀行と同様に、特別の審査の対象になるだろうとしています。

OCCと銀行とのぎくしゃくした関係は2016年頃から始まる

批判の対象となったOCCの権限は、外国銀行を含めて米国内の全銀行を監督することであり、ニューヨーク、シカゴ、デンバー、ダラスにオフィスを構えています。統括される銀行は、総計1400行が対象になっています。OCCは1863年創設という長い歴史があり、2007年には米最高裁が、銀行に対する究極の権限は、州政府にはなくOCCに存在するとの歴史的な決定を下しています。

トランプ大統領から2017年に任命されたオッティング長官は6月の議会証言で、OCCは約1万の銀行口座が顧客の承認なしに開設されている可能性があることを調査で発見したと証言しました。同長官は銀行名を明かすことは適切でないとしましたが、40余りの口座を詳しく調査中であると明かしました。

このような調査は実は、トーマス・カリー(Thomas Curry)前長官の2016年から続いているもので、当時、銀行グループから反対の声が上がり、州法銀行監督官協会からOCCが訴えられるという事態にまで発展しました。訴えは連邦裁判所で棄却されていますが、フィンテック企業の銀行業進出をめぐる論争は、そのころから発したものです。

トランプ大統領の金融規制大幅緩和政策の一環

銀行業への進出はフィンテック企業に限りません。仮想通貨最大手取引所のCoinbaseは、仮想通貨による決済市場に意欲的で、機関投資家向け保管業務も開始しています。Coinbaseは銀行ライセンスを取得するため連邦規制当局と協議中であると伝えられています。資産保管と決済サービスの提供です。このような動きは、フィンテック企業に限らず広範囲の金融関連企業にも広がる気配です。

関連:仮想通貨の取引事業者(Binanceなど)が、銀行業を開始する動き目立つ

OCCによる今回の決定の背景には、トランプ大統領が金融規制の大幅緩和を望んでいることがあります。オッティング長官は「フィンテック企業が全国銀行になる道のりを提供することによって、連邦銀行システムは経済成長とその機会、現代化とイノベーシン、競争力を促すことによって、より一層強力な組織になることができる」と語っています。

OCCの今回の決定で、連邦銀行予備軍がどこまで正式の連邦銀行としてライセンスを申請し、認められるのか、ウォール街や金融機関を巻き込んだ論争が、エスカレートする可能性は否定できません。

関連
仮想通貨市場への機関投資家参入、ビットコイン(BTC)価格の影響やその他問題点とは?
コインベース(Coinbase)、欧州などで仮想通貨連動の電子ギフトカード購入サービスを開始

参考
Financemagnates
Bloomberg

編集部ピックアップ

マルチシグ管理の安心・安全ウォレット