最近は、中国当局の動きが話題の中心ですが、segwitがアクティベート後、様々な新しい技術の実験も進んでいます。

先週はビットコインとライトコインの異なるブロックチェーンを跨いだ(クロスチェーンの)アトミック・スワップが成功し、注目されています。

本稿では、「アトミックスワップ」とはどういったものなのかを簡単に知るための解説をします。

仮想通貨のアトミックスワップとは?

クロスチェーンのアトミックスワップでは、お互いが信用することを必要なしに、違うブロックチェーン上のコインを交換できます。

従来の交換の場合

例えば、ボブが、アリスからお互いのビットコインとライトコインを交換したいとします。

従来の方式では、アリスが先にコインを送り、確認ができたら、ボブが交換するコインを送る、または、ボブが先にコインを送る、という方式をとらざるを得ません。

しかし、そうすると、先にコインを受け取った側は、そのコインを貰ったまま、逃げることが可能で、つまり、どちらか一方が、相手を信用する必要があることが問題でした。

お互いを信用できない二者間の交換は、物理的に近い距離で会って、交換を行うか、両者が信頼できるサードパーティー(エスクローサービス)を利用するかをしない限り、本質的に解決手段がありませんでした。

Local bitcoinをはじめとした相対取引のサービスでは、これまでそのように、行われてきました。

アトミックスワップは、技術的にこれを解決し、お互いを信用せず、異なるチェーン間での交換を実現します。

アトミックスワップの場合

アリスとボブが、アルファコインとベータコインを交換したいとします。

アリスは、ボブのために特別な金庫を作成します。

アリスは、その金庫のなかに、アルファコインを置き、この金庫の鍵を開くには、秘密のハッシュ値と、ボブの署名が必要になります。

同様に、ボブは、アリスのための金庫を作成し、こちらにベータコインを置き、こちらも鍵とアリスの署名が必要になります。

これらによって、アリスの金庫は、ボブしか開けることできないし、ボブの金庫はアリスしか開けることが出来なくなります。

他の誰にもこのコインを盗む事はできず、安全です。

アリスがボブの金庫を開くと、それがベータコインブロックチェインに反映されます。

もし、金庫を用意したのにも関わらず、アリスかボブの一方が金庫を開けなかった場合、48時間など一定時間内に、ロックアップが解除され、払い戻される仕組みです。

上記のように作用し、お互いを信用せず、かつ、いかなるサードパーティーも信用せず、トラストレスで異なるチェーン間のアセットの交換を実現します。

アトミックスワップの例


下記が、冒頭で述べたビットコインとライトコインをアトミックスワップしたトランザクションです。
BTC:
https://insight.bitpay.com/address/3HRWsfjpBHiJ7hC3jKJV5nbHMeBgoCPHDq
LTC:
https://insight.litecore.io/address/ML9CNJBtSPMABYcCQV58P2t4M7MpPRJK95

同じく、ライトコインとvertcoin、ライトコインとdecreadのクロスチェーンアトミックスワップも成功しました。

アトミックスワップは、どのように世界を変えるか?

序盤で例に挙げたLocal Bitcoinなどの相対取引の場面などでは、比較的早い段階で利用されるようになるはずです。

しかし、説明したオンチェーンで行うアトミックスワップでは、交換が完了するまで、数ブロックの経過が必要になり、利用シーンは限られます。

ですが、オフチェーン、ライトニングネットワーク上でのアトミックスワップが応用されることで、処理速度の早い分散型取引所・交換所のようなものが将来的に実現します。

仮想通貨の使い分けも容易に

また、トラストレスで、異なるチェーン同士のコインが相互移動できるようになり、用途ごとに違うコインを使ったりなどということも考えられます。

しばしば指摘されることですが、ビットコインユーザーが今より数十倍・数百倍になって、さらに日常の決済でも利用されるようになると、ライトニングネットワークが実現しても、ビットコインはスケールでいないと言われます。

これに対するひとつの解として、ライトコインの開発者は、普段資産は最も堅牢なブロックチェーンであるビットコインで保存しておき、少額の日常決済のときだけ、アトミックスワップでビットコインからライトコインに移動し、決済をすればスケールが可能だというソリューションを以前から示しています。

実際に、そういったことも、使われ方のひとつとしてあり得るだろうと思います。

様々なペイメントハブができ、各ブロックチェーンを気軽に行き来きる未来は、すぐにではありませんが、必ずやってくる世界なのでとても楽しみにしています。