ブロックチェーンとフィンテックのグローバルハブを目指すバミューダはこのほど、銀行法を改正して、国内のフィンテックおよびブロックチェーン関連スタートアップ企業の要求に応じる計画を発表した。
英国のオンラインニュースメディアFinextraが伝えたもので、この改正はすでに成立している「Digital Asset Business Act(デジタル資産事業法)」と「initial coin offring(ICO)Act(ICO法)」に次ぐ、意欲的な法案である。
ICOや仮想通貨事業を支援する法案を次々提出
デビッド・バート首相兼財務相はこのほど、国内銀行がフィンテックとブロックチェーン企業にバンキングサービスを提供していないことを知って、新法案を議会に提出した。銀行がそのようなサービスを拒む理由は、規制が存在することと新たなリスクを取る意思がないことである。
銀行法は正式名が「Banks and Deposits Companies Act 1999 (1999年銀行・預金会社法)」。バート首相は法案提出にあたり、議会で「フィンテック業界は、革新的で堅ろうなバンキングソリューションを求めている。フィンテック業界の成功は世界的に、必要なバンキングサービスを享受するため、この空間で事業を展開する企業の能力そのものに依存する」と述べた。
新しい銀行法で生まれる銀行は「Restricted Banks」と呼称される。その主要な目的は、フィンテック産業への便宜供与であるが、バミューダ市民や一般企業向けのサービスも行う。
バート首相は、新たなタイプの企業へのサービス拒否は、経済成長を支援する努力の妨げになって容認できないと語った。同首相は、銀行業務はバミューダとその他法域におけるフィンテックに対する最大の挑戦であると述べた。
Binance(バイナンス)と大型支援の覚書交わす
同首相はまた、世界最大手仮想通貨取引所Binanceと覚書を交わした。バイナンス財団は、大学におけるブロックチェーン開発とコンプライアンス訓練目的に1000万ドル(約11億円)を拠出するほか、バミューダのブロックチェーン企業に500万ドル(約5億5000万円)投資する。
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バミューダは2017年ごろから、ブロックチェーン・イノベーションハブになる道を探り、仮想通貨取引所、ウォレット、各種サービス、ICOに対応する「Virtual Currency Business Act(暗号通貨事業法)」を提案した。この法案は仮想通貨と不換紙幣の統合を支援し、市場操作と詐欺行為に対処する。
バミューダでは、すでに議会に提出されているICO法案は、財務大臣からICO発行の承認を得なくてはならない。法案はまた、ICO発行者は顧客のIDデータを収集、認証、保持する義務が課せられる。
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デジタルIDプログラムも導入へ
バミューダはまた、住民と企業の双方に対する全国規模のデジタルIDプログラムとして役立つ、E-ID計画を導入する計画を進めている。このプログラムは、ID書類を多数ハードコピーする手間を省き、人々に自分のデータを管理してもらうことになる。プログラムは、KYC(Know Your Customer)/AML(Anti Money Laundering)コンプライアンスのための唯一の集約プラットフォームとなる。
ID計画によって、金融サービスを受ける際の顧客認証手続きが迅速に行われ、イミグレーション手続きも速めることができる。
バート首相は法案提出にあたって出した声明の最後に、「差異のない国々の中にあって、バミューダは急がなくてはならない。さもなければこの国は取り残されてしまう」と強調した。
(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)
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参考
・CCN