バイナンス(Binance)の分散型取引所(DEX)のパブリックベータ版が、2018年末か来年頭を目安にローンチできそうなことが同社CEOのツイートにより発表されています。
Just had a productive meeting for #Binance #DEX (decentralized exchange), where $BNB will be native gas, and the exchange don't control user funds. Aiming for a public beta end of the year/early next year. Yes, we work on Saturdays, non stop!
— CZ Binance (@cz_binance) 2018年9月29日
彼らはどのようなDEXのリリースを目論んでいるのでしょうか。
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目次
バイナンス(Binance)がリリースする分散型取引所(DEX)とは
バイナンスコイン(BNB)をGAS(ネットワーク使用料)として使用し取引が可能な、ユーザーが自身の資産を管理できるDEXになるそうです。BNBをネットワーク使用料として使用をするということですので、やはり独自ブロックチェーンということになります。
これまでBinanceはDEXへの取り組みを、仮想通貨情報メディアのコインテレグラフなど複数のインタビューで、最重要領域と強調してきました。
Binanceはこれまで、「Dexathon」というハッカソンを開催しています。Binance自身が開発するのと別に世界中からプロトタイプを募集し、優秀なものには1,000,000ドル(約1億1,400万円)の賞金とBinanceチームへジョインするオファーがあるといいます。
このハッカソンは、今年3月から6月まで続いていました。彼らのブログにはプロトタイプとして求めているDEXとしての要件が書いていますので、見てみましょう。
プロトタイプとして求めている分散型取引所(DEX)としての要件
基本機能
- スピードとキャパシティがあるDEXを目指す
- ネイティブコインの送受信ができる
- トークンを作成できる
- 同じブロックチェーン内であればトークンを様々なペアでトレードできるようにする
推奨機能
- 全ての機能はオンチェーンで実装をする
- スマートコントラクトやEthereumにおけるEVMの機能は必要ない
- トレードオフが必要な場合は、常にスピードと使いやすさを優先すること
コンセンサスアルゴリズム
- トークンは全てプレマインである。現在発行されているBNBトークンをERC20からコンバートする形になる
- そのためPoWによるマイニングではない
- バリデータが必要になるがコンセンサスアルゴリズムはハッカソン参加者に任せる
このように見ていくと彼らの目指すDEXの姿がかなりクリアに見えてきます。今から1からブロックチェーンを作るのであれば、ERCトークンですらクロスチェーンになるわけで、拡大には非常に不利です。
そのため、恐らくWavesのようなモデルでゲートウェイの役割をBinanceが担い、IOU(I Owe You)トークンをやり取りさせることになるのではないか、と予想をすることが一番妥当に思えます。
今後の分散型取引所(DEX)環境の変化を考察
完全なトラストレスではないですが、オンチェーンで処理の早いDEXが作られるのではないのでしょうか。ちなみに、こういったハッカソンを開くのはBinanceの経営手法らしいと言えるでしょう。
以前に、Binanceの経営スタイルなどについて詳しく分析をした筆者のレポートは下記です。
参照:Binanceはどのようにして世界最大の取引所になったか。人類の産業史で最も早く成長した企業の研究レポート。
今回のBinanceの発表も然り、それ以外にも0x(ゼロエックス)系やIDEXなど、DEXが全体的に少しずつ良いムードになっていると言えるでしょう。1~2年もしたら今は出来高が低いDEXの環境は全然変わるだろうなという期待感が人によって感じられるのではないのでしょうか。
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