ビットコイン(BTC)がライフラインに?紛争地域でブロックチェーン技術が果たす役割とは

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ビットコイン(BTC)がライフラインに?紛争地域でブロックチェーン技術が果たす役割とは

ビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨は、金融制度が依然として整わない発展途上国やそもそも公的な金融サービスにアクセスすることが難しい紛争地域などで、大きな効果を発揮することが期待されてきた。

現在も紛争の渦中にある地域の一つがパレスチナ自治区でビットコインがどのような役割を果たしているかについて、仮想通貨メディアCoindeskが報道している。

パレスチナではビットコイン(BTC)がライフラインに

パレスチナ自治区での領土をめぐる問題は1947年に国連総会で行われたパレスチナ分割決議に端を発し、いまだに根本的な解決を見ていない。

2000年代の紛争によってもたらされた、自治区封鎖や移動制限といった措置により経済発展も芳しくなく、2016年には支援を行っていたアイルランド・パレスチナ連帯キャンペーン(IPSC)の口座をアイルランド銀行が凍結するなど、海外経済との接点も断たれてきた。

2018年4月に発表された世界銀行のデータによれば、GDP成長率は下降気味で過酷な状況に置かれている。

Coindeskによれば、こうした現状の中で、ビットコインは住民たちの最後のライフラインとして機能しているという。

インタビューに答えたガザ地区の財務アナリスト、アフマド・イスマイル(Ahmed Ismail)氏は非公式なビットコインの取引所が20以上点在していると語った。

現状、自国の通貨を持たないパレスチナ自治区の住民たちにとって、ビットコインは安く、早い、つまり便利な手段として採用されているようだ。

ヨルダン川西岸地域で、ブロックチェーン関連の教育や開発者支援を手掛けるNPO「パレスチナ・テクノ・パーク(Palestine Techno Park )」のCEOである、ライス・カシス(Laith Kassis)は、そもそもパレスチナではペイパルをはじめとした、国際金融市場にアクセスする手段がなく、ピア・ツー・ピア(P2P)でやり取りできるビットコインのような仮想通貨が、単に物の売り買いだけでなく、賃金の支払いや投資をはじめとした、海外と資本のやり取りを行う窓口として機能しているとも説明している。

現実的にビットコイン(BTC)は持続可能な解決策ではないとの声も

ビットコインが最善の解決策になっているかというと、現実は大きく異なる。確かに喫緊の問題への対応策として使えるかもしれない。だが、現時点でパレスチナ自治区の住民たちは、ネット上の仮想通貨取引所を利用することができない。そのため、非公式のディーラーを通してやり取りする必要がある。

もちろんディーラーもビジネスだ。対応には開きがあり、必ずしも公正な取引が行われているわけではない。加えてビットコインは依然として高いボラティリティを持つ通貨で、日常的な物品のやり取りに使用するには変動率が高すぎるという問題もある。

パレスチナ出身で、現在はブロックチェーン関連の専門家として、レバノンにあるレバノンアメリカン大学経済学部の教授を務める、Saifedean Ammous氏は、Coindeskのインタビューについて以下のように語っている。

「ビットコインはそもそも独自のソリューションを持つものであって、長期的にみれば中東の金融問題に対して有効かもしれないが、既存の金融問題の対応策として使うには時期尚早だ。結局のところ、自分たちの通貨をビットコインに変えまたもとに戻すだけ、持続可能なソリューションとは言えない。」

ブロックチェーンの支援を行うパレスチナテクノパークの試み

一方で、前述したパレスチナテクノパークCEOであるカシス氏は最新のテクノロジーに楽観的だ。仮想通貨をはじめとした、フィンテックやブロックチェーンをパレスチナ問題における、持続可能なソリューションにするつもりのようだ。

政府関係者や学生、若手の開発者、専門家らを招き、ブロックチェーンハッカソンを開催するなど教育、支援にと精力的に活動を続けている。

9月初旬に開催したブートキャンプには学生をはじめ、政府関係者や専門家が多数集まるなどブロックチェーン関連ソリューションに対する高い注目を集めた。カシス氏は「金融機関の若手はすでにITよりもブロックチェーン関連の知識を豊富に有している」と話す。

ブロックチェーンの活用は時期尚早だとしたAmmous氏もブロックチェーンはパレスチナに限らず中東の金融問題を解決する大きなカギとなると語っており、その大きな可能性については認めている。

単に投機目的ではない、本質的な仮想通貨、ブロックチェーンの役割を問う事例は、もしかすると、こうした危機に直面している地域から生まれるのかもしれない。

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参考
Coindesk

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