ビットコイン(BTC)2019年6月のマイニング環境を整理

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ビットコイン(BTC)2019年6月のマイニング環境を整理

市況の改善に世間が沸く中、BTCのディフィカルティは多少の時間を置いて急激に上がってきました。直感的にマイニングの収益性が「底打ち」したように思えますが、その実際を定点から眺めてみましょう。(データは日本時間6/3取得)

ハッシュレートとディフィカルティ

ハッシュレートとディフィカルティの推移を図1で確認します。
BTCハッシュレートとディフィカルティ
図1:BTCハッシュレートとディフィカルティ

ハッシュレートは昨年12月に底を打ってから堅調な回復を見せ、先日遂にATHを達成しました。2018年の夏から秋にかけて急増した反動とそれが相場に与えたショックからようやく戻ってきたようにも見えますね。BTCUSDとディフィカルティの関係を図2で見てみましょう。
BTCUSDとディフィカルティ
図2:BTCUSDとディフィカルティ

BTCUSDは4月に入って一段上げた後、5月に入り急騰しており、一方でディフィカルティは意図的にか価格を追随せず、少し間を置いてから6月にATHを達成しています。5月は価格が上がりやすいと言われていましたが、マイニングの観点からすると、かねてから述べているように中国、特にマイニングが盛んな四川省を含む地域で雨季が始まります。過去1年間の中国四川省成都市(成都双流国際空港)における月間降水量を図3に示します。

四川省成都市の月間降水量推移
図3:中国四川省成都市の月間降水量推移(縦軸はcm単位)

降水量は順当に増えてきており、5月時点でも割と多めの降水量となっています。昨年後半の雨量をみると、10月にかなり少なくなっていますね。この雨量が実際にどこまでマイニングに影響しているか分かりませんが、降水量はやはり中国マイナー御用達の水力発電コストに強く影響していて、グローバルハッシュパワーを決める重要な因子(予測子)と言えるかも知れません。この点は別の機会に深掘りしましょう。

次の図4\(r/D\) 比(図中赤線)を見ます。変数の詳しい定義はこちらをご参照下さい。 \(r/D\) 比が小さくなれば、より高いASICの限界電力効率 \(f_{A0}\) が求められることになります。BTCUSDが大きく先行して上がったために、 \(r/D\) 比も反発、2018年の6月から7月頃の水準まで戻しています。

ディフィカルティと(r/D\)
図4:ディフィカルティと \(r/D\)

Antminer S9iの採掘コストとBTCUSDレート

例によってマイニング装置の加重平均的代表としてAntminer S9i(0.094 kJ/TH)ベースの1BTC当たり採掘コストを推定します。前回は6.5 cent/kWhでコストを想定しましたが、今回図5では近時のBTCUSDに見合うコストとして13 cent/kWhライン(緑線)も併記しています。

Antminer S9i採掘コストとBTCUSDレート
図5:Antminer S9i採掘コストとBTCUSDレート

直近の価格を考えれば、S9iの性能では13 cent/kWhがパリティラインであり、これは先に \(r/D\) 比で見たように、昨年7月と同じラインです。昨秋の急落を経て、低コストなインフラを備えた主力マイナーは大幅なマージンを得ているのではないでしょうか。次の図6は7 cent/kWh想定でASICの限界効率 \(f_{A0}\) を示したものです。

cent/kWh運用下でのASIC損益分岐電力効率
図6:7 cent/kWh運用下でのASIC損益分岐電力効率\(f_{A0}\)

データ取得時点の限界効率は0.174 kJ/THであり、0.090からS9iの性能に近い0.100 kJ/TH間で底を這っていた頃に比べて大幅に改善されました。これだけの低効率が許容されるのであれば、休止していた旧型装置の出番が出てくる場面もあるでしょう。図7に主要機種の1BTC採掘コストを示しています(E11はE12に代えました)。運用コストを5-9 cent/kWhの範囲で表示しており、装置の償却等を含みません。

各運用コスト下における新世代機らの採掘コスト
図7:各運用コスト下における新世代機らの採掘コスト

ぱっと見てお気づきになると思いますが、先に述べたように、9 cent/kWhでもここに挙げた装置は全て黒字になります。最も性能の劣るS9でも1BTC採掘するのに$7,000かかりませんので、掘れば掘るほど儲かります。5 cent/kWhで運用していれば採掘コストは50%を割るほどです。率直に言うと、「嬉しい」ですね。

4月以降なぜBTCUSDが急に戻したのか、誰も正確なところは分かりませんが、少なくともマイナーのコストに合わせて上げているわけではなさそうです。果たしてこの先マージンが圧縮される形でハッシュパワーが上がっていくのか、はたまた価格が上がり続けてマージンは維持されるのか。引き続き目が離せません。

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