仮想通貨マイニング企業Bitmain(ビットメイン)がIPO、資金調達額180億ドル目指す

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仮想通貨マイニング企業Bitmain(ビットメイン)がIPO、資金調達額180億ドル目指す

世界最大手の仮想通貨マイニング企業Bitmain(ビットメイン)が2018年9月、180億ドルの大規模資金調達を目指して香港証券取引所(HKEX)に新規株式公開(IPO)を予定している。

正式企業名Bitmain Technologies, Ltd.は、中国国際金融有限会社(CICC)が幹事社となったこのIPOを通じて、時価総額400-500億ドルのユニコーン企業となる。

2012年のFacebookの170億ドルIPOを上回る大規模資金調達目指す

180億ドルの資金調達は、Facebookが2012年に行った170億ドルのそれ上回る大規模なものになる。Sequoia Capital Chinaはすでに2018年6月、ビットメインの幹事社として5000万ドルのシリーズA、4億ドルのシリーズBの調達ラウンドを実施した。Aラウンドは事後評価額10億ドル、Bラウンドは120億ドルに相当する。

計画中のIPOの株価と発行数は明らかにされていないが、IPOに近い投資銀行は、ビットメインの株式公開初年度の株価収益率(PER)は、20と計算している。IR情報によると、ビットメインの利益は、16年度1億ドル、17年度は11億ドル、18年Q1だけで11億ドルだった。18年度通年のそれは20億ドルと予測されている。

ビットメインのジハン・ウー(Jihan Wu)最高経営責任者(CEO)は5年前、ビットコイン採掘をより効率的に実施するため、ビットコインのマイニング専用の最先端半導体ASICの開発目的で共同創業者のマイクリー・チャン(Micree Zhan)氏と協議した結果、ビットメイン設立に至った経緯がある。マイニング事業はその後、ビットコインのほかBitcoin cash、Litecoin、Dash、Siacoin、Ethereumにまで広がった。

ジハンCEOと共同事業者チャン氏、合わせて資産53億ドル

今回のIPOによって、ジハン、チャン両氏合わせた持ち分は、2018年1月時点で約60%保有していると推定して、約53億ドルに達する見込み(Bloomberg)。投資家向け目論見書によると、ビットメインの採掘マシンは、採掘全量の66.6%を占め、ビットメインが運用するマイニングプールは、マイニングネットワークの40%に及んでいる。

ビットメインは5月以来、オープンソースの分散型取引プラットフォームDEx.topに投資している。これは従来の仮想通貨取引所とは異なり EthereumとRSK(ビットコインのスマートコントラクト・プラットフォーム)の両方のネットワークと互換性のあるスマートコントラクトで構築されている。非保管型の取引プラットフォームであり、ユーザーの秘密鍵へのアクセス権を持っていないため、ユーザーの資産は取引所によって保管されることはない。

マイニング用だけでなくAI向け半導体メーカーとして世界的地位確立へ

ビットメインはマイニング事業を通じて、グラフィックスチップ製造面でも頭角を現し、2013年にBM1380という当時最先端のチップを製造、2016年にはBM1387チップで競争者に追いついた。これによってグラフィックスチップは、2017年の歴史を持つ中国のSpreadtrum Communicationsを超え、最前線のHuawei HiSiliconに後れを取ってしまった。

ビットメインは2017年12月時点で、16ナノメーターのチップ販売でHuawei(ファーウェイ)と対抗しており、 半導体最大手の台湾積体電路製造への最新チップ供給でHuaweiを凌いでいる。シリコンバレーもプレッシャーを感じており、米国のNVIDIAやAMDすら脅かしている。

ビットメインはIPOに成功すれば、時価総額400~500億ドル(約4兆4000億円から5兆5000億円)の大企業になる。これは米大手半導体企業AMDの2倍以上の企業価値を持つことになる。2013年に創業したビットメインは、マイニング用ASICの世界シェアが今や80%といわれる。同社はASICのほかAI向けASICの開発にも注力している。ビットメインはIPO後、仮想通貨のマイニング企業としてだけでなく、半導体メーカーとして世界的地位を確立する。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

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参考
Coindesk