ビットコインETFの申請却下を尻目に躍進が期待されるブロックチェーンETFを紹介

5966

編集部ピックアップ

ビットコインETFの申請却下を尻目に躍進が期待されるブロックチェーンETFを紹介

ビットコイン(BTC)ETFの上場が見送られたことで仮想通貨市場は熱気がだんだんと冷めてしまい、BTC価格は年初来の安値圏へと押し戻されています。ただ、BTC ETFが上場にもたついている間に、BTCの基幹技術であるブロックチェーンに注目した「ブロックチェーンETF」が次々上場されており、投資家からの高い関心を集めています。

そこで今回は、米国で上場されている6つのブロックチェーンETFのそれぞれの特徴や投資の際の注意点、最新動向などをまとめてみました。

ちなみにETFとは、「Exchange Traded Fund」の略で、上場投資信託とも呼ばれています。株価指数や債券指数、商品価格など何らかの指標に連動することを目的に運用されています。取引所に上場されていますので、株式と同様に取引時間内であればいつでも自由に売買することができる投資信託となります。

6月までに6本のブロックチェーンETFが上場、それぞれの特徴は?

ビットコインETFの申請が相次いで取り下げられた今年1月、4つのブロックチェーンETFが矢継ぎ早に上場されました。

まず、1月17日に「Amplify Transformation Data Sharing ETF(ティッカー:BLOK)」と「Reality Shares Nasdaq NexGen Economy ETF(BLCN)」が取引を開始し、この2つのETFは上場後わずか1週間で2億5000万ドル(約280億円)を集めました。

参考:ETF.com

BLOK

BLOKは1月に上場した4つのETFの中では唯一のアクティブ・ファンドです。仮想通貨の取引やマイニング事業への投資比率が高めとなっており、保有銘柄では日本のデジタルガレージがトップに君臨、自社の半導体が仮想通貨のマイニングに利用されている台湾積体電路製造、オーバーストックなどと続いています。また、日本企業ではGMOとSBIもトップ10に入っています。

BLCN

BLCNはパッシブ型(アクティブ型の対)のETFで、実際にブロックチェーンを利用してそこから利益を得ている企業でポートフォリオを構成しています。保有銘柄のトップはAMD、マイクロソフト、スマホ決済で知られるスクエアが続いています。日本からは富士通がトップ10入りしています。ナスダックも入っており、BLOKと比べると金融への投資比率が高めになっています。

LEGR

続いて、1月24日には「First Trust Indxx Innovative Transaction & Process ETF(LEGR)が取引を開始。同ETFはブロックチェーンを利用したサービスを提供する側に50%、サービスを利用して業務の効率化を図る企業に残りの50%の資金を割り当てています。保有銘柄ではAMD、マイクロソフト、NAVIDIAがあり、トップ10のうちテクノロジー企業で占められています。

KOIN

さらに、1月30日にはInnovation Shares NextGen Protocol ETF(KOIN)が上場。KOINは人工知能(AI)を利用して銘柄選択をしている点で非常にユニークなETFとなっています。インターネットで報道されたテキストを読み込むことで、ブロックチェーンに関連するキーワードと企業との結びつきの強さを計算して銘柄選択に利用しているとのことです。

いわゆる集合知に賭けたポートフォリオと言い換えることができるかもしれません。テクノロジーの比率が高いことは他のETFと同じですが、ビザやマスターカード、アマゾンなどが保有銘柄の上位に顔を出している点は趣きが異なります。

BKC

やや時間を置いて5月16日にはREX BKCM ETF(BKC)が5本目のブロックチェーンETFとして登場しています。保有銘柄を見ると、台湾積体電路製造とGlobal Unichipの台湾勢が1位と2位を占め、3位にSVB Financialが顔を出しています(執筆時点)。

BKCは証券取引に変革を与える企業や非中央集権化に取り組む企業に注目して投資をしているとのことですが、先行した4本と比べて特徴的なところが見つけづらく、ポートフォリオの構成はBLCNとかなり似通っています。仮想通貨市場が冷え切ってしまったタイミングで上場したこともあり、現在の時価総額は600万ドル程度と振るいません。

BCNA

6月20日に取引が開始されたReality Shares Nasdaq NexGen Economy China ETF(BCNA)も最悪のタイミングといえそうです。BLCNの成功で気をよくしたReality Sharesが2本目のブロックチェーンETFとして投入したのがBCNAとなります。中国に特化している点で差別化が図られていますが、仮想通貨人気が下火となる中で米中貿易戦争が開戦となり、まさに「泣きっ面に蜂」の状況下でのスタートとなりました。

保有銘柄にはアリババ、バイドゥ(百度)、テンセント(騰訊)とおなじみの企業名が並んでおり、中国の最有望株へ投資となっている点で目の付け所は悪くないように思えます。ただ、折からの中国株の急落で運用成績はさえず、まだ2カ月ほどしかたっていませんが上場来の騰落率は20%近い下落となっています。また、200万ドル程度しか資金を集めることができておらず、上場の維持すら危ぶまれるほどの不人気ぶりとなっています。

参考:ETF.com

仮想通貨の低迷で悪循環、経費率の高さもネックに

気になる値動きですが、期待された割にはぱっとしていません。1月に上場した4つのブロックチェーンETFの上場来騰落率を順に見ると、BLOKが5%下落、BLCNは7%下落、LEGRは4%下落、そしてKOINは2%上昇となっています。パッシブ運用のはずのBLCNがアクティブ運用のBLOKより大きく下げている点は気がかりです。4つのうち3つがマイナスに沈む中、人工知能を利用しているKOINの健闘は光明といえそうです。

ただし、ブロックチェーンETFはテクノロジー・セクターへ集中的に投資しているにもかかわらず、リターンはテクノロジー株に大きく溝を開けられています。代表的なテクノロジー・セクターETFであるTechnology Select Sector SPDR Fund(XLK)の年初来の騰落率は15%上昇と世界的に株価が停滞する中で、極めて良好なパフォーマンスを挙げています。

一方、昨年12月には一時2万ドルを超えていたビットコインも現在は6000ドル前後と高値からの下落率は約70%と強烈な下げに見舞われています。マイニング企業に与える悪影響が警戒がされるなど、仮想通貨の下落がブロックチェーン関連企業の株価を圧迫している様子がうかがえます。

現在のビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

こうした状況もあって、1月に上場した4本のブロックチェーンETFは瞬く間に3億を集めて注目されましが、その後は尻すぼみとなっています。

また、銘柄選定に専門性が要求されることから手数料の高さもネックになっています。ブロックチェーンETFの経費率は0.70%前後とXLKの0.13%を大きく上回っています。また、S&P500といった代表的な株価指数に連動するETFの経費率は0.10%以下となっていますので、投資を誘うには高い経費率を補って余りあるパフォーマンスが要求されますが、ビットコインの急落もあってブロックチェーン関連株も伸び悩んでいますので、高い経費率に見合わないと考えて敬遠される恐れがあるわけです。

ブロックチェーンの灯は消えず、世銀も債券発行に活用へ

とはいえ、仮想通貨の普及には懐疑的であってもブロックチェーンの普及を支持する声は少なくありません。今月9日には世界銀行がブロックチェーンを活用した債券の発行を表明しており、フィンテックを中心にブロックチェーンの躍進にはまだまだ期待が持てそうです。

関連:世界銀行が初のブロックチェーンベース債券「Bond-i」を発行へ

ブロックチェーンは金融に限らず幅広い業界での利用が想定されていますので、有望な投資先へバスケットで投資ができるETFは便利な投資ツールとなります。また、仮想通貨の急落に比べればブロックチェーンETFの下げなど細やかなものですので、視点を変えれば、仮想通貨が全滅状態となる中で、むしろよく踏みとどまっているとみることもできるでしょう。

もし仮想通貨に失望してしまったとしても「ブロックチェーンの灯は消えない」と思いを馳せているのであれば、ブロックチェーンETFは手頃な投資先となりそうです。

関連:ビットコインETF否決にも関わらず、ウィンクルボス兄弟は引き続き前進