世界各国の政府は、仮想通貨の持つメリットを理解し、仮想通貨サービスを改善したうえで、取引を保護する体制を整えつつある。そして、仮想通貨のシステムである分散型台帳やブロックチェーン技術は世界中で研究と開発が行われ、新たなシステムが構築されつつあると言えるだろう。
目次
政府によるブロックチェーン技術への期待
ブロックチェーン技術は、仮想通貨の投資に関連したメリットが目立つ。しかし、ブロックチェーン技術はあらゆるサービスの質や在り方を変革する力を持っていると言えるだろう。ブロックチェーン技術の仕組みを理解しようとする政府関係者とブロックチェーン技術者は、議論を重ねた上で、より良い行政サービスの在り方を模索している。
例えば、ブロックチェーン技術を応用した場合、財産権の保護やあらゆる不正行為の防止、過大なコストの削減、政府の動向に対する透明性を向上させることが可能だ。既にイーサリアムなどのブロックチェーンを用いて、手続きや契約行為の自動化を行えるアプリは多数存在しており、今後も増加していくことが見込まれるだろう。
公共部門におけるブロックチェーンの影響力は目立つことがあまりない。しかし、ブロックチェーン技術は政府の事業においてセキュリティと効率性、スピードの向上を幅広いサービスに適用できる可能性があり、大きなメリットとなっている。
つまり、各国の政府がブロックチェーン技術の採用を検討する要因は、既存のシステムによるデメリットを大きく減少させるだけでなく、新しいインフラやサービスを生み出す可能性があるからだ。
採用例からみるブロックチェーン技術と政府の関係性
2018年の2月には、IBMの ブロックチェーン開発チームが、16カ国の政府関係者200人にブロックチェーンへの期待について調査を行い、レポートを発表している。
同レポートでは、ブロックチェーン技術は信用と官僚制の問題に真正面から取り組む機会を提供する可能性があると結論付けている。また、先駆者的だと認識している政府の多くが、ブロックチェーンを使用し法令遵守や契約とID管理、市民サービスを変革するプロジェクトを始動させていることが分かった。
ちなみに、ブロックチェーンサービスの展開では政府、企業、市民の間で協力して開発に努めることになる為、各セクターに存在する障害も取り除かれる可能性がある。
さまざまな国のブロックチェーンの取り組み例
アメリカ
アメリカでは、ブロックチェーンサービスの採用は特に世界でも進んでいる。例えば、国土安全保障省の科学技術局が契約、身元確認、取引などを中心としたブロックチェーンベースのソリューションを調査しテストを行っている。
フランス
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、人工知能とブロックチェーン、データマイニングに投資して、既存のシステムを変革する準備を整えている。 7億ユーロ(約930億円)の資金が、今後5年間のITプロジェクトに投入される予定だ。
インド
インドでは、ブロックチェーン技術の積極的な利用を模索すると発表している。同国のハイテク産業協会NASSCOMは、カナダのBlockchain Research Institute(BRI)と提携しており、政府機関や学術機関、企業でのブロックチェーンの利用を研究している段階だ。
EU(European Union)
EUでは、欧州委員会がブロックチェーン技術への関心を示しており、ブロックチェーン企業のコンセンシス(ConsenSys)と提携してEU Blockchain Observatory&Forumを立ち上げた。
この取り組みは、ブロックチェーン技術の主要な展開を支援することを表明しており、特に金融分野での採用について研究していく予定だ。
政府によるブロックチェーン技術の開発に期待
政府によるブロックチェーン技術の採用は、あらゆるシステムに対して大きなメリットを与える。データ管理や個人情報の承認、不動産の登記、行政サービスの簡略化などの分野で既存のシステムに対して優位性を有していると言えるだろう。今後も政府によるブロックチェーン技術の開発・研究は進んでいくと予想できる。
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参考
・HACKERNOON