前回の記事:日本のビットコイン取引高が世界1位の理由

前回、実需と投機のお話をし、結論として投機市場がとてつもなく大きいというお話をさせていただきました。そして、皆様の気になることの一つに、その投機市場の値動きが今後どうなるのかということがあると思います。

その投機市場に影響を与えている要素の一つとして、ヤフートピックスに上がるようなニュースがあります。例えば9月上旬に発表された、中国の仮想通貨規制のニュースは皆様の記憶にも新しいのではないでしょうか。今回は、特に仮想通貨の規制関連ニュースについてお話ししたいと思います。

Suicaと仮想通貨交換業者の登録

いきなりですが、みなさん、お財布の中にSuicaが入っていますよね!何気なく使っているSuicaですが、実は下記の法律によって規制されています。

「法」:資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)
「政令」:資金決済に関する法律施行令(平成22年政令第19号)
「府令」:前払式支払手段に関する内閣府令(平成22年内閣府令第3号)
「別紙様式」:前払式支払手段に関する内閣府令別紙様式
「ガイドライン」:金融庁事務ガイドライン 第三分冊金融会社関係5前払式支払手段発行者関係
参考:一般社団法人日本資金決済業協会

「資金決済」や「前払式支払手段」と難しい単語が並んでいますが、

資金 = お金
決済 = 支払い

「Suicaって、事前に販売機でチャージ(前払)して、支払いに使っているね」と実感が湧いてくるかと思います。意識することはほとんどありませんが、Suicaの発行元であるJR東日本は上記の法律を守ってSuica を運営しています。
では、ビットコインはどうでしょうか?

9月29日に金融庁が仮想通貨交換業者として11社を発表しました。

仮想通貨登録業者一覧
参考:金融庁 仮想通貨交換業者登録一覧(PDF)

いきなり赤字で強い文章があったり、仮想通貨を利用する注意点があったりします。ここで大事なのは、実はビットコインも同じ資金決済法(資金決済に関する法律)にて、規制されているということです。

ビットコインがHISでも使えるようになったことを考えると、資金決済法で規制されることも当然と言えます。では、この規制はどのような影響がある(もしくはあった)のでしょうか?

答えを先に言うと、「ありません」

実際、このリリースが金融庁から出たからといって、「ビットコイン暴落!」というようなニュースが出てはいません。

日本におけるBitcoin規制の経緯

2017年4月1日に施行された改正資金決済法により、ビットコイン等を扱うためには財務局の登録を受ける必要があります。同法施行前から事業をしていた場合は、同法の施行日より起算して6ヶ月間の登録猶予期間が設定されていました。

その猶予期間が到来したため、金融庁(財務局)がリリースを出しました。よって、もともとわかっていたことなので、9月29日のニュースを受けて暴落などはもちろん起きません。なので、本件が仮にビットコインに対して何かしらネガティブな場合、

改正資金決済法改正 2016年5月
ガイドライン交付  2016年12月

などにビットコインの価値が下がっている可能性はあります。日本の法改正ぐらいがビットコイン相場に影響を与えることはないとおっしゃるかもしれませんが、それは違います。

前回の記事を読んで頂けると分かると思いますが、日本の取引量は十分に大きく、影響力を持っています。実際にビットコインのチャートを見てみましょう。下記は、過去1年間のUSD建のチャートです。

BTCUSD
参考:CryptoCompare

しかし、日本の法改正が何かしら価格に影響を与えたということを申し上げるにはなかなか難しいチャートです。あくまで目視ですが、7月(Jul)と9月(Sep)に大幅な下落が確認できます。これは何が起きていたのでしょうか?

ICO規制とBitcoin規制は全く異なる

9月(Sep)に起きた下落は、間違いなく中国の規制によるものです。しかし、「規制」「暴落」という言葉が先行しており、何が起きているか正確に理解されていないのではないかと思います。

中国政府が強く規制し、非難しているのは、Initial coin offering(ICO)です。Bitcoinそのものに対してではありません。中国政府はICOを全面的な禁止を発表しました。また、過去に行われたICOも含めたものとなっており、かなり強いものです。

では、7月(Jul)は何があったのでしょうか?アメリカが明確にICOについては証券取引法を適用すると発表しました。

USICO
参考:U.S. SECURITIES AND EXCHANGE COMMISSION

一つ言えることは、ICO規制に価格が影響(下落)を受けたことは事実です。

 ICOの規制

私個人の見解として、ビットコインの健全な発展のためにICO規制は、一つの手段だと考えられます。ICO規制によって一時的にビットコインの価格が下がるかもしれませんが、チャートを見ても明らかなようにそれは限定的です。

ICOの仕組みを理解すれば、それも明らかで、ICOによって一時的な買いがあったとしても、タイムラグののち売却されます。ICO規制とビットコイン規制という違いを意識して、ニュースを見ていただくことで、違った視点を持てるのではないでしょうか。