中央銀行デジタル通貨(CBDC)の信頼性高い、英シンクタンクOMFIF調査

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中央銀行デジタル通貨(CBDC)の信頼性高い、英シンクタンクOMFIF調査

英国にある独立系シンクタンクOMFIF(Official Monetary and Financial Institutions Forum)は2020年2月5日、「デジタル通貨:信頼の問題」と題する調査結果を公表しました。それによると、デジタル通貨を発行するための最も信頼できる機関は、中央銀行であることがユーザーの声として確認されました。

デジタル通貨もいいが最も好ましいのは依然としてキャッシュ

OMFIFは英国の市場調査会社Ipsos MORIを通じて、デジタル通貨について先進国、発展途上国合わせて13カ国の1万3,000人余りを対象とした調査を実施。その結果、デジタル通貨の発行母体としては、中央銀行が最も信頼されており、次いで決済サービスプロバイダー、そして商業銀行、クレジットカード発行会社などの順であることが分かりました。

OMFIFによると、先進国、発展途上国を問わず、最も人気のある決済手段は依然として現金でした。決済手段としての有用性を聞いたところ、望ましい5つの主要なキーワードである安全性、プライバシー、使いやすさ、スピード、受容性からして、最も好ましいのが現金、次いでクレジットカードそしてデビットカードの順になりました。

この順位は回答者の年齢、所得、教育水準を問わず共通しており、現金は特に米国、英国などいくつかの先進国で決済手段として依然として人気を博していることが分かりました。

知識人、富裕層、次いで若年層がデジタル通貨に信頼寄せる

そして近年注目され始めたデジタル通貨については、これらのグループ分けで顕著な差異があることが分かりました。現在あるいは将来ありうるデジタル通貨について、最も信頼を寄せているのは教育水準が高い人、富裕層、そして若年層でした。

一方で高年齢層、特に先進国のそれは、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)にすら比較的懐疑的な考え方を持っていました。対照的に、発展途上国の回答者は、デジタル通貨に相対的に強い関心を抱き、その発行元がどこかという問題にむしろ無関心、つまり発行元はどこでもいいという興味ある結果が出ています。

年内に発行を目指すFacebookのデジタル通貨「リブラ(Libra)」が、特に銀行サービスを受けられない発展途上国の特に貧困層を狙っているのもうなずける結果です。

政界の決済手段は大きく変化する過渡期にある

金融システムにおける決済手段は近年、暗号資産(仮想通貨)の発展と共に大きく様変わりし始めています。中国では今や、モバイル決済が5.7兆ドル市場となり、アリペイ(Alipay)、ウィーチャットペイ(WeChat Pay)の2大決済企業によって独占支配されています。その中国がデジタル人民元の発行計画で先行しています。

世界の先進諸国では、例えば米連邦制度理事会(FRB)が19年8月、リアルタイムの決済システム「FedNow(フェドナウ)」を発表、英国では「Faster Payments(ファスターペイメンツ)」が普及しています。発展途上国では、出稼ぎ労働者の間でモバイル決済が必要不可欠になっています。米国やEU諸国、そして日本もデジタル通貨発行の可能性を探り始めています。

OMFIMのデジタル通貨に関する調査は良いタイミングであり、少なくとも先進、開発途上国13カ国の中では、中央銀行がCBDCを発行する優位な立場にあることが裏付けられました。OMFIFの調査結果は、政策決定者やデジタル通貨発行を目指す民間の機関に大いに参考になりそうです。

(注)調査対象となった13カ国は米国、カナダ、日本、中国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、ブラジル、南アフリカ、インド、マレーシア

参考
Digital Currencies: A Question of Trust

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長瀬雄壱
フリージャーナリスト、大手マスコミのOB記者。在職中は社会部、科学部、外信部で記者活動を行なう。特に外信部では、10年余り海外特派員(3カ国)を務め、国際関係、政治、経済、社会、戦争取材など、あらゆる分野で記者活動を続けた。翻訳業務経歴は約50年あり、今でも海外ニュースを深くモニターしている。