どうも墨汁うまい(@bokujyuumai)です。
イーサリアム(ETH)を含むビットコイン(BTC)などのマイニングを必要とするProof of Work(以下PoW)通貨は、未だに大きな演算力を持つマイナーは中国が多く占めています。中国相場はICOと取引を禁止したことにより鳴りを潜めていた中、中国政府に新たな動きが見られ「新疆ウイグル自治区が違法にマイニングを行うマイナーを排除する」という報道を政府機関が事実だと認めました。
本稿ではこの中国政府の動きが与えるイーサリアムとビットコインへの大きな影響について解説を行います。
BTC超速報:中国の新疆ウイグル自治区の違法なマイナーを摘発する事を政府機関が認める。リーク元文章によると政府によってライセンスを持つ事業体として登録されていないまたは電力会社と契約せず水力発電などを自社で行い違法に #マイニング を行なっているものが対象 #ビットコイン #仮想通貨 #中国 https://t.co/0jGCbfdUyC
— 墨汁うまい(Not giving away ETH) (@bokujyuumai) 2018年7月23日
中国でビットコインマイナーを8月までに排除
7月21日にリークされた文書によると対象となるマイナーを「ライセンスを持つ事業団体として政府に登録されていない、または電力会社と正式契約せずに電気を使用している全ての違法なマイナー」と定義しています。
このリーク文章は当初 “噂” であるとされていたものの、「公益事業問題を管轄とする経済和信息化委員会(EIC)まとめられた案である」とEICに属するテクノロジー開発に焦点を当てた地方行政によって「実際に提案されたものである」との事実確認されたことが Coindesk の取材で判明。電力会社は8月末までにライセンスを持たないオペレーションを停止し、当局に報告する事とし、このような違法なマイニングを停止できない場合は説明責任を課されるとしている
出典:財経より(https://www.jinse.com/lives/41494.htm)
中国でのマイニングと電気の関係性
では、ここではどのような点を上げて政府がマイニングを問題だと定義しているのでしょうか?順を追って見ていきましょう。
マイニングと水力発電
中国は世界中で見ても電気代がとても安い国です。
電気代を主な国で比較してみると
- 日本・・・26~31円
- 米国・・・10~12円
- 中国・・・2~5円
*地域によって異なる
となっており、中国での電気代がいかに安いかがわかります。中国では大量の資源と水力発電による世界で見てもトップレベルの発電能力を有します。ただでさえ安い電気代ですが、コストはコストである、そして盗電問題なども多く存在するため、政府はこれまでに多くの対策を取ってきました。
例え電気代が安いと言っても、ビットコインASICやイーサリアムマイニング用のGPUを数千台で所有するマイナーには大きな問題です。人件費や排熱のためのコストで月だけで600万円以上かかるマイナーも存在します。そのためマイナーは川やダムのそばに水力発電の施設を建築しコストを減らしています。
中国のマイニング施設と水力発電については下記で詳しく説明しています
関連記事:中国のビットコイン規制によりマイナーがASICとGPUを売却開始
電気に関する違法行為
ここで「電力会社と正式契約せずに電気を使用」に焦点を当ててみましょう。上記で説明した水力発電でマイニングするマイナーは違法なマイナーの定義に該当してしまいます。これはEICの管轄である“公共事業問題”であり、ほとんどの大口マイナーが対象になってしまうことになります。
次に水力発電の部分だけを見ても中国では問題となります。中国では「電力を直接販売する」ことが自体が違法であるため、マイナーが発電している水力発電所は中国の電力施設網に接続しなければいけません。更に中国政府は「電気の大量使用は無駄だ」としており、この上記3点においてマイナーに対して警告なども新疆ウイグル自治区以外で行われていました。
中国マイナーが撤退した際の影響
中国でのマイナーが大幅に減るとどのようなことがおきるでしょうか?下記のような順で長期的に影響すると考えられます。
- 短期:ハッシュレートが低下し、ビットコインなどは送金遅延が起こる
- 中期:マイナーが中国外に増えることで徐々に全体の損益分岐点が引き上げられる
- 長期:マイニングが世界的に分散してネットワークが強固になる
となり、短期的には影響を受けるもののビットコインの送金遅延時にはブロック生成が15秒と早いイーサリアムなどのアルトコインが使用されることとなり、需要の変化が見られます。
中期的には中国人マイナー減少により利益が確保されることにより、その他の中国より電気代が高い地域でマイナーが増えることにより損益分岐点が引き上げられます。つまりビットコインやイーサリアムをマイナーが売却できる価格の底上げが起こり損益分岐点より下落しづらくなります。
最終的に大口マイナーから世界中に分散することで、買収や悪意のある攻撃への耐性が上がることによりネットワークが強固になるでしょう。
結論と考察
中国は電気を口実にマイナーを少しずつ排除する動きが見られますが、それに反してビットコインやイーサリアムへの投資の関心は中国では未だに人気が高いです。短期的に見てマイナーの撤退なども考えられるのでGPUやASICの売却促進により、中古市場価格が主に影響を受けることとなるでしょう。
仮想通貨価格においては中国はOTC(個人取引)ベースであるため、マウントゴックスの破産管財人の売りのような市場への直接的な影響は見られないと考えられますが、海外にUSD口座を持っているBitmainのような大口は取引所で売却する可能性もあるため、影響が全くなくなるということはないでしょう
さらに詳しくはDMMサロンにて。
▼墨汁うまいと学ぶ仮想通貨の世界 DMMサロン
https://lounge.dmm.com/detail/1145/
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