CLOUD ACT承認、暗号通貨アドレスがSDN対象により取引所はより完全な「銀行」に 近づいていく…

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CLOUD ACT承認、暗号通貨アドレスがSDN対象により、取引所はより完全な「銀行」に 近づいていく…

Junya Hirano 平野淳也

3月26日、CLOUD ACTが米議会で承認されました。
暗号通貨業界にとっても、かなり重要度が高いニュースなので、解説します。

CLOUD ACTの承認

CLOUD ACTの正式名称は、「The Clarifying Lawful Overseas Use of Data Act」です。
米当局が、米企業に対し、調査のためにユーザーの個人情報を提出させることについて、強制力を持つようになりました。これはサーバーが海外でも有効です。

また、日本を含む海外当局にとってもアメリカ企業の保有する個人情報を取得しやすくなった、ということも大きな点です。例えば、日本の当局がPoloniexやBittrexといったアメリカ企業の取引所の情報を得るのもハードルが下がったと言えます。

議会で承認された法になったことによって、その提出を求め、拒否された際、裁判所の管轄でいちいち訴訟しなくてよくなりました。データの提出を求めて裁判になることは度々ありましたが、この管轄が、裁判所から議会に移ったのです。

テック系企業、特にMicrosoftなどがこの法案を支持しています。

現在、データの価値や、その所有権や利用範囲について、Facebookのケンブリッジアナリティカ問題で大きく議論がされていますが、暗号通貨業界にとっても、CLOUD ACTは大きな影響力があるでしょう

例えば、去年、Coinbaseが米税務局に対して、ユーザーの情報を渡すか渡さないかで、1年くらい揉めておりました。

Coinbaseは結局ユーザー情報を提出しましたが、CLOUD ACTが承認された今、1年も喧嘩なんてしていたら、すぐに営業停止命令くるでしょう。

暗号通貨アドレスがSDNリスト対象になる可能性

さらに、もう一点、重要なニュースがあります。
The Office of Foreign Asset Control (OFAC・米国財務省外国資産管理局)が、ビットコイン等の暗号通貨のアドレスもSDNリストに加える対象にするという議論がでています。SDNリストとは、経済制裁の対象となる人や国、法人のリストです。

アメリカは、このリストに記載されている人や団体との取引を禁じています。テロリストや違反な政治活動者、その他の反社会的組織、またはそれに疑わしい人がこのリストに乗ります。SDNリストに載っている経済制裁対象者と取引することは禁じられており、実行した場合、同じく経済制裁の対象になります。

このSDNに、これからビットコインのアドレスも載る可能性が浮上しています。犯罪者のアドレスを追跡する仕組みの構築、その場合、そのアドレスと取引してしまった人への追求や制裁なども将来に起こりえる大変重要な話です。

これは海外企業に対しても追求可能性があり、例えば、日本の取引所のアカウントにSDN入りしているビットコインアドレスから入金を受けたとしたら、米国当局から召喚状を受けるような将来も考えられるからです。

CLOUD ACTの承認に加えて、暗号通貨アドレスがSDN対象になるであろうことによって、アメリカのビットコイン取引所は完全に「銀行」になるだろうと考察しています。

また、このCLOUD ACTについて、電子フロンティア財団(EFF)は、プライバシー保護の観点で反対している他、ビットコイン業界では、マスタリングビットコインの著者であるAndreas M. Antonopoulosも、強く反対を示しています。彼は、暗号化をして集権化されたデータベースから避難すべきだと警告をしています。

アメリカ以外の海外のメディア、その他(特に)ビットコイン・ブロックチェーン業界ではこのプライバシーの話で持ち切りなのですが、日本ではほとんど話題にならず、こういうところは凄い空気差を感じる次第であります。