米国のコロナ対策の緊急経済対策1.9兆ドルに中銀デジタル通貨(CBDC)の活用あるか?

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米国のコロナ対策の緊急経済対策1.9兆ドルに中銀デジタル通貨(CBDC)の活用あるか?

米国のバイデン政権は、新型コロナウイルスのパンデミックによって大きな打撃を受けた経済再建に1.9兆ドル(約200兆円)を支出する約束をしましたが、その資金として米ドルの代わりに中央銀行デジタル通貨(CBDC)など代替手段を利用することを検討していると伝えられています。その背景を探ってみましょう。

パンデミックに達した昨年Q2の米国経済は33%下落、数百万人が失業

計画の主眼は、コロナウイルス拡散の可能性を減らすことです。銀行券は米ドル紙幣に限らず、広くウイルスまん延の大きなリスクを伴っています。現に、それを恐れて、米ドル紙幣の流通が急激に落ち込んでいるとも言われています。対照的に、ビットコイン(BTC)などデジタル決済に取って代わる動きが進んでいます。一部商店などは、非接触型決済を利用するよう顧客に勧め、中には紙幣やコインでの決済を断るケースも出ています。

コロナウイルスによって50万人を超える世界最多の死者を出している米国では、パンデミックの域に達した2020年第2四半期(4-6月)、米国経済は32.9%も落ち込み、数百万人が失業しました。商務省の発表によると、このウイルスまん延は、歴史上初となる最大規模の経済後退を招いています。

CBDC発行に向けて動く連邦準備制度理事会(FRB)

米下院予算委員会は2月27日、1.9兆ドルの緊急経済対策法案を可決しました。 ワクチン接種などの新型コロナ対策に4150億ドル、生活支援に1兆ドル、中小事業者(SME)救済関連に4400億ドルが割り当てられ、生活支援の中には納税者1人当たり1,400ドル(約15万円)の一時給付金も含まれています。バイデン大統領はこの大型支出で米国のGDPをパンデミック前の水準に戻すことを目指しています。

トランプ前政権の下の昨年10月、連邦準備制度理事会(FRB)は連邦準備銀行と協力して、CBDC発行までの基本政策と発行に伴うリスク評価などを実施することになりました。FRBはCBDC発行に関連するさまざまなテストとプラットフォームソリューションを進めるテクノロジーラボを開設しています。

並行して、マサチューセッツ連邦準備銀行は。CBDC発行に向けてマサチューセッツ工科大学(MIT)と提携しています。さらにニューヨーク連邦準備銀行は、デジタル通貨に関連する動向の定義作業を進めています。

米国世論はCBDC受け入れに向けて着実に伸びている

CBDC発行に向けたFRBの動向に反して、米国民の考え方は概して慎重です。暗号資産(仮想通貨)のマイニング企業であるジェネシスマイニング(Genesis Mining)が2020年9月に公表した世論調査によると、CBDCが発行されたら受け入れると答えた人はわずかに24.8%であり、60%の人々はむしろ反対しているという結果が出ました。

しかし、19年に行われた同様の調査がそれぞれ13.3%、76.2%だったことと比較して、デジタル化を容認する空気は広がり、CBDC受け入れは着実に進んでいることが分かります。

バイデン政権はCBDC発行計画に前向きであると見られています。政権内には、デジタルドルが発行されれば、パンデミックとの戦いに有利に働き、米国経済の再建にプラスになるとの見方が強まっているようです。

参考
Will Joe Biden Launch a Digital Dollar to Make Relief Payments?

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長瀬雄壱
フリージャーナリスト、大手マスコミのOB記者。在職中は社会部、科学部、外信部で記者活動を行なう。特に外信部では、10年余り海外特派員(3カ国)を務め、国際関係、政治、経済、社会、戦争取材など、あらゆる分野で記者活動を続けた。翻訳業務経歴は約50年あり、今でも海外ニュースを深くモニターしている。