マリファナ産業の急拡大を支える仮想通貨とブロックチェーン ~大麻と現代の魔術師が切り開く新世界とは?

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マリファナ産業の急拡大を支える仮想通貨とブロックチェーン ~大麻と現代の魔術師が切り開く新世界とは?

ジャック・スミスがいない。ドラックとセックス、そして反戦運動に明け暮れた「黄金の60年代」の徒花だ。時は流れて、米中貿易戦争が冷戦の亡霊を蘇らせ、ネットでのポルノ依存が社会問題化する中、マリファナ合法化の波が押し寄せている。そして、急拡大するマリファナ・ビジネスを目立たぬように支えているのがほかならぬ仮想通貨とブロックチェーンなのである。

そこで今回、日本が蚊帳の外となる中で急拡大するマリファナ産業の現況を概観し、仮想通貨とブロックチェーンがどうマリファナと結びついているのかを紹介する。

合法化でマリファナ産業が急拡大、「グリーンゴールド」は21世紀の金

日本では話題となることが少ないのだが、マリファナの合法化は世界的な流れとなっており、その流れに乗ってマリファナ・ビジネスが急拡大している。

最近の例では10月17日にカナダで嗜好品としてのマリファナ(大麻)の所持・使用が先進国では初めて合法化されている。医療用に限ればフランス、ドイツ、オランダなど18カ国以上で合法化されており、米国では30州と首都ワシントンがこれに該当し、米国民の約60%が処方箋があればマリファナの入手が可能な状況だ。

また、今年1月からはカリフォルニア州で全面的に合法化され、同州を含む9つの州でマリファナはタバコやアルコールとほぼ同様の扱いとなっている。米国内で最大の人口を要するカリフォルニアが加わったことで、米国民の5人に1人はほぼ自由に手に入れることができるようになった。

調査会社ギャラップによると、米国民の60%がマリファナの合法化を支持しており、国民からの高い支持を受けて連邦レベルでの合法化も視界に入ってきているようだ。

2017年が仮想通貨元年と呼ばれていたことは遠い記憶となりつつあるが、カリフォルニアやカナダでの解禁を受けて、2018年はマリファナ元年と呼ばれて投資家からも熱視線が注がれている。

仮想通貨がデジタルゴールドと呼ばれたように、マリファナも21世紀のゴールドとして「グリーンゴールド」と称されているほどだ。

農畜産物の流通をブロックチェーンで透明化

カナダ政府は合法化の主目的を犯罪組織への資金供給の断絶としているが、課税による税収増にも期待を寄せている。この点は米国でもアピールされており、財政が厳しい州政府には魅力的に映ることも合法化を後押ししているようだ。

また、マリファナ合法化の背景には、粗悪品の流通による被害もある。生産から流通、消費までを管理・規制するとこで品質向上にも役立つと考えられている。

とはいえ、マリファナに限らず、農産物や畜産物では産地や品質の偽装問題が後を絶たない。こうしたサプライチェーンでの不正に対して有効と考えられているのがブロックチェーンである。ブロックチェーンでは記録の改ざんが事実上不可能であり、データを偽造される心配がないからだ。品質管理のコスト削減に加え、透明性や信頼性、安全性の面からも改善が期待されている。

ビール会社が積極投資、飲料水から食料品まで幅広く普及へ

マリファナ産業への投資に熱心なのがビール会社だ。米株式市場では8月、「コロナ」ビールで有名な米酒造メーカー、コンステレーション・ブランズがカナダのマリファナ企業大手、キャノピー・グロースへの追加投資を発表したことが反響を呼び、キャノピー株を始めとするマリファナ関連企業の株価が急騰するきっかけとなった。

ビール会社がマリファナ・ビジネスへの参入を検討しているのは、マリファナの普及でアルコールの売上が減ると考えられているからだ。ギネスやハイネケンといった酒造メーカもビジネスチャンスを虎視眈々と狙っており、マリファナ成分入りの飲料水を巡って激しい開発競争が繰り広げられている。

マリファナ・ビジネスはアルコール飲料にとどまらず、9月にはコカ・コーラがマリファナ成分入り健康飲料の開発を検討中と伝えられている。また、全面的に解禁されている州ではマリファナ成分入りチョコレートやクッキーなどが既に販売されている。

このように、マリファナ・ビジネスが広がりを見せている背景には米政府の方針転換もある。米食品医薬品局(FDA)が6月にマリファナから抽出した成分を利用した新薬を初めて認可したのだ。連邦法ではまだ禁止されているとはいえ、これまでの慎重姿勢が薄れていることは明らかで、医療分野での全面的な解禁が近づいていることを匂わせている。

メディカルマリファナ

仮想通貨でファイナンスを支援、世間の目は意外に厳しい?

マリファナ産業は医療分野を中心として急速に拡大していくことが予想されてはいるわけだが、スタートアップの動きは意外と鈍く、最大の障壁となっているのが資金調達だといわれている。

州レベルでの合法化の動きや国民からの支持があるとはいえ、企業イメージを損ないかねないマリファナ企業に対し、金融機関の融資態度は消極的だ。

そうした中で、パラゴンというマリファナ企業が医療用マリファナの流通管理にブロックチェーンを利用することで品質の信頼性と透明性の向上に努めている。加えて、同社は銀行口座を持てないマリファナ企業のために独自の仮想通貨PRG(ParagonCoin/パラゴン)を発行して資金繰りを支援。

さらに、金融機関と同様、家主もマリファナ企業へのオフィス・レンタルに消極的なことから、マリファナ企業向けのコワーキング・スペースも提供している。家賃や諸経費の支払いにPRGを利用することで、オフィスを借りることも口座を開くこともできないマリファナ企業に作業スペースと運転資金の流動性を供給しているのだ。

AIとの融合が切り開く未来への衝撃

さらに、GANAテクノロジーはブロックチェーン×AI(人工知能)という最強タッグの構築に取り組んでいる。

ひとくちにマリファナといっても多くの種類があり、成分も異なることからその効能にも差がある。マリファナの効果はエイズやがん、うつ病、アルツハイマーなど多岐に渡ると考えられており、どの症状にどういったマリファナ成分を処方するのかがカギとなる。

GANAは医療用マリファナ関連のデータをブロックチェーンに記録することで、高度なセキュリティと信頼性、透明性、匿名性を確保している。また、ユーザーからデータを受け取る代わりとしてGANA COINを発行し、ユーザーはこのコインを診察料などに当てることができるとのことだ。

ユーザーはプライバシーの開示レベルを設定できるので、許可なしにデータを収集されることはない。GANAはこうして小売業者や研究者、ユーザーから収集した膨大なデータをAIに学習させ、最も適切な治療法を患者に提供することを目指す。

もちろん、ブロックチェーンとAIの共同作業はマリファナ・ビジネスに限った話ではなく、医療ビジネス全体、そして業界を越えて他業種でも広がっている。ただ、マリファナ産業は歴史が浅いこともあり、データ蓄積のインセンティブとして仮想通貨を利用している点は今後の仮想通貨のあり方を探る上でも参考となりそうだ。

マリファナ産業での活用を発端として、将来的には自分の症状をAIに教えると、AIが適切な処方薬を見つけてくれる日が来るのかもしれない。

現代の魔術師、ブロックチェーンと仮想通貨、AIとのコラボレーションが解き放つ新世界は映像の魔術師ジャック・スミスが見たユートピアなのか、それともシンギュラリティとなるのか、はたまた予想もつかない未来への衝撃となるのか、興味の尽きないところだ。

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