第6回「仮想通貨交換業等に関する研究会」開催、問題がある仮想通貨の取扱などを議論

5412

編集部ピックアップ

センタリング

金融庁は10月3日、東京・霞ヶ関・中央合同庁舎第7号館で「仮想通貨交換業等に関する研究会」の第6回会議を開いた。同会議は金融庁が事務局を務め、学識経験者と金融実務家などがメンバーに、仮想通貨交換業者などの業界団体、関係省庁をオブザーバーとし、仮想通貨交換業について制度的な対応を検討するため、定期的に開かれている。

同研究会で示された金融庁の討議資料とメンバーよる主な討議内容を紹介する。

利用者保護の程度と金融システム全体に与える影響

第6回研究会では事務局から、まず、当日の討議のテーマとして①利用者保護の必要性の程度②金融システム全体に与える影響等を踏まえた業務の適正かつ確実な遂行を確保する必要性の2点についての提示があった。

仮想通貨は支払いや決算手段としてだけでなく、投資や資金調達手段などさまざまな性格を持っていることから、金融規制を導入する際の基本的な視点として、上記2点が必要であることの説明があった。当日の議論では仮想通貨交換業について、支払い・決済手段、投機対象としての側面に絞ることとし、デリバティブ取引とICOについては後日討議する旨の説明があった。

利用者保護を目的とした規制あり方

現在、仮想通貨交換業者には利用者保護を目的として、①サイバーセキュリティなどの内部管理体制の整備、②利用者への手数料や損失リスクといった情報提供、③最低資本金1000万円以上、純資産がプラスであること④顧客財産と自己財産の分別管理⑤分別管理監査、財務諸表監査といった規制が課されている。

これに対してこれまでの研究会の議論を踏まえ、当日の研究会では以下について検討する必要があるとした。

  1. 問題がある仮想通貨の取扱
  2. 顧客財産の管理・保全の強化
    →仮想通貨の流出リスク
    →交換業者の倒産リスク

  3. 投機的取引に伴うリスク抑制
  4. 取引の透明性確保、利益相反の防止

問題がある仮想通貨の取扱

匿名性の高い仮想通貨や移転記録の維持や更新に脆弱性を有する仮想通貨も存在しており、交換業者がこれらの仮想通貨の取り扱うことを禁止することも考えられる。

しかし仮想通貨の安全性は開発者の議論やマイニングにより変化する可能性もある。また技術革新により、想定できない問題が生じる恐れもあるため、問題がある仮想通貨をあらかじめ法令などにより特定するのは困難だとの指摘もあった。

問題のある仮想通貨の取り扱いについては、自主規制との連携を含め、柔軟かつ機動的な対応を進めることが重要だとしている。

これに関連して、日本仮想通貨交換業協会の自主規制案では、問題のある仮想通貨を類型化し、会員である交換業者が問題のある仮想通貨を取り扱うことを禁止している。また新たな仮想通貨を取り扱う場合は協会への事前届け出が必要で、協会が異議を述べた仮想通貨の取扱を不可とすること定めている。

また、取り扱い仮想通貨の変更など登録申請書記載事項の変更は事後届にすべきかどうかという問題については、参加メンバーはおおむね日本仮想通貨交換業協会がまとめつつある自主規制案に異議を挟むことなく、「当然事前とすべき」との意見が出た。

仮想通貨の流出リスクは金融庁がモニタリングすべきだとの意見も

仮想通貨の流出リスクについて、交換業者は業務処理を優先させるため、リスクの高いホットウォレット(秘密鍵をオンラインで管理するウォレット)で一定量の仮想通貨を管理している場合があり、このリスクに対する有効なセキュリティ対策を検討する必要があることが確認された。

実際に仮想通貨の流出が発生した際には、その対応をあらかじめ確立させておくこと、そして賠償原資を確保することが重要だと考えられている。またセキュリティの観点から、交換業者から管理者業務を専門機関へ移管すべきとの指摘もあった。

この仮想通貨の流出リスクについてはメンバーから「金融庁がモニタリングすべきだ」「損失賠償のルールを整備し、特に損失補填の優先順位を明確にすべき」との意見が出た。

仮想通貨は私法上の位置づけが明確でなく、受託仮想通貨について信託を義務づけてはどうかとの意見についても事務局からの問題提起があった。
 
投機的取引に伴うリスクについては、交換業者による積極的な広告で投機的取引が助長され、取引のリスクに対する認識が不十分な利用者がいるという指摘もあり、そのようなリスク誤認や投機的取引の助長を防ぐ有効な対策に議論の余地があるとされた。利益相反を防止するための体制整備、認定協会への加入の促進、未加入業者の対応策をどうすべきかなどについての提起があった。

これに対しては「業界は市場の透明性をもっと進めてほしい。株式市場の東証終値のような指標となりうるデータを公表してはどうか」などの意見が述べられた。

信託は可能か?

同研究会にオブザーバーとして参加している日本仮想通貨交換業協会の奥山泰全会長は倒産隔離機能を有する信託を仮想通貨に義務付けるという案に対して「FXでも義務化するのに8年かかった。果たして仮想通貨を信託として扱ってくれるところがあるか疑わしい」との見解を示した。

また、安全性確保の点から協会に技術委員会の設置を進めていること、情報の開示として仮想通貨の価格、取引量の開示を進めることを表明した。

研究会を傍聴して

前回までの会議の討論は金融庁の方針の説明であり、これを業界団体が補足し、メンバーは各自の立場(主に法制度などの学術研究的立場)からうんちくを傾けるという感が強かった。

しかし、今回はテックビューローからの不正流出事件という2回目の不祥事後ということもあり、メンバーからは従来にない活発な意見が述べられた。次回会議の開催は時期を見てとのことだが、それまでに今回出された意見がどのように反映されるのか注目したい。

また、研究会後、日本仮想通貨交換業協会の奥山泰全会長は記者の取材に対し、前回の第5回研究会で発表した協会の自主規制案はほぼ修正なく自主規制案としてまとまる見通しであることを明らかにした。

(経済ジャーナリスト:丸山隆平)

関連
仮想通貨交換業者|行政処分まとめ
仮想通貨交換業者|仮想通貨流出事件まとめ

編集部ピックアップ

マルチシグ管理の安心・安全ウォレット