ベネズエラ政府の仮想通貨「Petro(ペトロ)」は幻なのか?ロイター通信が調査特集

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ベネズエラ政府の仮想通貨「Petro(ペトロ)」は幻なのか?ロイター通信が調査特集

ベネズエラが2018年2月、米国の経済制裁を回避するため導入した国家主導の仮想通貨「Petro(ペトロ)」が、存続するかどうかの瀬戸際に立たされている。

Petroは発行以来半年、経済制裁回避策として大成功しているという見方から腐敗政権の詐欺行為そのものというまで、賛否両論が飛び交っている。ロイター通信はこのほど、ベネズエラで実際何が起きているのかのヒントとなる特集記事を伝えている。

50億バレルの油田はどこにも見つからない。採掘、取引の気配なし

ロイターは8月30日、「Special Report: In Venezuela, new cryptocurrency is nowhere to be found(特別報告:ベネズエラの新しい仮想通貨がどこにも見つからない)」との表題で、Petroの裏付けである石油の唯一生産地とされるアタピリレからレポートしている。

ベネズエラの中央部サバンナの僻地にあるアタピリレの街の一角、鉱床があるとされる人口1300人の村には、政府が言う50億バレルの石油が埋蔵されているという。この石油が仮想通貨Petroの裏付けとなっている訳だが、ロイター特派員が約4ヶ月現地などを取材した結果、石油が採掘され、取引されている兆候は見つからなかった。

公式の見解では、世界中からの投資を受けて、アタピリレには資金が流れ込み、石油輸出業界は息を吹き返しているはずだった。

政府発行仮想通貨Petroは幻(まぼろし)?取引所では扱わず、受け入れる店舗もない

この村の主婦イグダリア・ディアスさんは記者に、「ここにそんな石油があるという兆候はない」と語り、この村が国家財政の改革のための最前列シートであるとはとても信じられないという。彼女はこの村の壊れかかった学校、でこぼこ道、度重なる停電、そして飢えた住民のことに触れて批判した。

記者は取材期間中、仮想通貨や油田評価の10人以上の専門家に話を聞いたが、ベネズエラに石油がある現場を発見できなかった。仮想通貨取引所はPetroの取引を扱っていないし、Petroを受け入れる店舗はどこにもない。

ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、Petroはすでに33億ドルを調達し、コインが輸入にも使われているという。しかし、プロジェクトに関係した政府閣僚のウグベル・ロア大学教育・科学技術相はロイター記者に対し、「仮想通貨(Petro)はまだ開発中であり、誰もPetroを利用することはできないし、受け取った人もいない」と語った。

国民の給与、年金、通貨ボリバルの為替レートは(存在不明の)Petroに固定

監督庁であるCryptoassetsの監督官は、どこにいるのか所在は不明。ロイター記者は財務省で会見を申し込むと、受付で「ここに在籍していない」との一言が戻ってきた。監督庁のウェブサイトも開設されていない。産業省、情報省など関係省庁も記者の問い合わせに「ノーコメント」を繰り返した。

マドゥロ大統領は8月になって混乱を助長する政策を発表した。国民の給与、年金、価値が消失した通貨ボリバルの交換をPetroと固定された。ベネズエラの原油価格は、1バレル約66ドルだが、政府はアタピリレの一部380平方キロに広がる油田から産出する(ありもしない)原油による償還を保証したのだ。

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コンピューター科学者で仮想通貨コンサルタントのアレハンドロ・マチャード氏は、ベネズエラ政府は幻想を生み出しているだけと述べ、「実際に取引されているかどうか分からないので、トークン(Petro)の価格や交換レートを知る由もない」と語る。

油田現場を訪れたロイター記者が見たものは、何年も前に設置したのだろう小型で古びたいくつかの掘削機が、荒涼としたサバンナに放置され、雑草に埋もれている姿だった。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

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参考
CCN
Bitcoin.com

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