Twitterに対して改善を求めることの1つとして、詐欺師に対してほとんど対策が取られていないことが挙げられる。解決するのはそれほど難しいことではないと思われるのに、現状では詐欺対策に言葉を濁し、騙されやすいユーザーはやすやすと手元の仮想通貨を詐取されてしまう。
ということで、今ではいくつかの第三者サービスが問題を解決できると名乗りを上げているが、まさかTwitterが技術的に対処できないはずもない。投資家あるいはユーザーとしては、詐欺師の手口を周知して、自衛するのが最善策かもしれない。
Twitter上の詐欺を排除するサービスを開始
仮想通貨詐欺は、Twitterを休みなく年中悩ませてきた。典型的な例を挙げると、詐欺師は仮想通貨のユーザーの1人を装って詐欺を働き、当初「僅かな金額を送れば、(例えば)無料のイーサリアム(ETH)と交換するよ」とつぶやくことで始まる。誰か篤志家がいて、ドナーにもっと多くの仮想通貨を送り返すからと言って、少額の金銭をなぜ必要するのか謎ではあるが、こういった詐欺行為の性格上、だまし取られるナイーブなユーザーが被害に遭うことは防ぎきれない。
Metacert ProtocolとScam Clerk両社は最近、詐欺師を排除し、Twitterをすべての人に快適な場所にすることを約束するサービスを開始した。Metacertは、ブロックチェーンの進歩を物語る「詐欺防止」プロジェクトである。同社のTwitter詐欺防止ソフトウェアはまだベータ版であるが、例えばCryptoniteはすでに詐欺行為撃退に威力を見せている。
Scam Clerkもまた、自称「Twitter向けウイルススキャン」の働きを強調している。Scam Clerkはなりすまし屋だけでなくTwitter上の全詐欺師のリストであるSCUM(Scam Clerk Universal Master)を保有しているという。
※上記サービスはTwitter公式のものではありません。ご利用はご自身の判断でお願いいたします。
なりすましや公式アカウント乗っ取りなど巧妙化する詐欺の手口
Twitterのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は、ビットコインついては強気の発言が目立つのだが、詐欺師については対策の遅れが隠せない。詐欺の犠牲者がすべてを失って当然であると思う人々ですら、詐欺師はTwitter上での仮想通貨に関するディスクロージャーを損なっているとの考え方に賛同する。
Twitter上の仮想通貨情報にまつわる詐欺(scam)が多発するとともに、最近の事例では手口がますます巧妙になっている。その1例がなりすましである。その手口は、この世界で影響力を持つコミュニティーになりすまし、「ある程度の送金があれば、投資金額より多くの仮想通貨を見返りに渡す」という情報を流すもの。自らTwitter公式アカウントを乗っ取り、信頼に付け込んで多額の金銭を詐取するという巧妙な手口もある。
これまでのTwitter上の詐欺で最も巧妙な事例が、TRON(TRX)で2018年初めに起きた事件である。これはTron Foundation(トロン財団)の偽の公式アカウントを作成して、そこから詐欺まがいの情報を流して価格を操った。公式アカウントは「@tronfaoundation」に対して、偽アカウントは「@tronfaoundationl」。一見して違いが分からないが、アカウント名の最後に「l (エル)」が追加されていた!
▼下記はその他の偽アカウントの例
Some individuals and groups have counterfeited TRON official account and published untrue information lately. Please identify our official accounts carefully based on the following picture, thank you for your cooperation and strong support. @Tronfoundation @justinsuntron pic.twitter.com/dNvapwrDOy
— Tron Foundation (@Tronfoundation) 2018年2月22日
Twitter上で情報源チェックなど最低限の自衛手段は必須である
詐欺師のアカウントがまん延して、絶え間ないスパムによってツイートの返事であふれてしまい、Twitterはもはや仮想通貨のディスクロージャーに適さない状況になってしまうのだろうか?Twitterは数あるSNSの中でも情報が早く、極めて有用であることは間違いない。
情報を利用するユーザーは、最低限の注意つまり ①情報源を必ずチェック ②軽々にプライベートキーやID、PASSなどを明かさない ③ファイルのダウンロードは気を付ける..など、考えうる最低限の自衛手段を講じなくてはならない。
米連邦取引委員会(FTC)は2018年6月22日、2018年1-2月に仮想通貨関連詐欺で5億3200万ドルを失い、2018年末までに30億ドル以上を失うだろうとの見方を公表した。ユーザーはこの数字を黙って見過ごすわけにはいかないであろう。みなさんも日頃からくれぐれも注意していただきたい。
(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)
※先日、コインチョイス編集部Twitterアカウントでも偽コインチョイスのアカウントが作成されているのを発見いたしました。こちら『@coin_choice』が正しいアカウントですので、偽アカウントには十分お気をつけくださいませ。
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参考
・Bitcoin.com
・Coindesk