仮想通貨の行く末とは…中国におけるキャッシュレス社会の是非を問う

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仮想通貨の行く末とは…中国におけるキャッシュレス社会の是非を問う

仮想通貨による決済は今のところ活発におこなわれているとは言えないですが、オフチェーンソリューションなどの技術の発達により高速なトランザクションと安価な手数料が実現すれば、一気に普及する可能性もあります。しかし、そもそも疑問なのはキャッシュレス社会の是非についてです。世界でもっともキャッシュレス化が進んでいる中国の事例を考察してみましょう。

中国で広まるキャッシュレス支払い

2017年1月の中国サイバースペース管理局の発表によると、中国では4億6,900万人のユーザーが、少なくとも1つのモバイル決済プラットフォームに登録されているようです。この数字は、2016年のものを31.2%上回っています。

また、中国インターネット情報センターは、すべての取引のうちモバイル決済は2016年12月の47.7%から67.5%に増加したとしています。つまり7割近くの取引がモバイルで決済されているということです。中国では一般的な商店はもちろんのこと、路上の屋台でさえもモバイル決済を受け付けています。

中国でモバイル決済が劇的に増加している背景には、もともとの人民元を支える社会インフラが未成熟であった点が指摘されます。日本のように街のいたるところにATMが設置されているような国では、現金支払いの人気が根強く、キャッシュレス社会に移行するハードルが高いといわれています。社会インフラが整っているが故に、先進技術にスイッチするインセンティブが伴わない点は皮肉であるともいえますね。

中国におけるキャッシュレス社会の抱える問題

キャッシュレス社会が実現すると、国民すべてがハッピーかというと必ずしもそうではありません。想像しやすいと思いますが、ITへのリテラシーが低い高齢者や銀行口座を持てない貧困者にとって、現金が使えない社会への移行は、すなわち経済システムから切り離されることを意味します。貧困層を支援する団体であるCGAPの2017年の報告書によると、中国の農村部の住人のうち約70%が、オフラインかつ現金に頼った生活を続けているといいます。

もし農村部の人びとが農具や肥料などの必要品にアクセスすることができなくなれば、生活のライフラインが脅かされるわけですから、深刻な問題になり得ます。また、キャッシュレス社会は格差を増大させるという意味でさまざま問題もはらんでいます。現実的に考えて、モバイル決済の巨大企業がこれらの人びとに歩み寄る姿勢は期待できないことから、彼らが生き残るためには巨大企業の実現する社会へ参加を余儀なくされます。

仮想通貨決済の普及、キャッシュレス化に対しての結論と考察

仮想通貨決済が普及してキャッシュレス社会へ移行するにあたって抱え得る問題点を、世界でもっともキャッシュレスな国家・中国の現状から考察しました。確かに、モバイル決済は便利なだけではなくさまざまな顧客情報を効率的に収集することができるので、マーケティングにとっても非常に有用です。しかし、新しい技術を導入するにあたって、そこからこぼれ落ちてしまう社会的弱者が存在することを忘れてはならないでしょう。

(文・五月雨まくら)

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参考:BTCMANAGER