イーサリアム(Ethereum)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は、仮想通貨市場が「天井に近い」ことを予言した。
ブテリン氏は香港で開かれた「Ethereum Industry Summit(イーサリアム業界サミット)」で 米大手メディアBloombergとの独占会見(2018年9月8日)で語った。同氏は「ブロックチェーン空間は(昨年12月下旬に次いで)再度、1000倍もの伸びを示す機会はもはやないだろう」と述べた。
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ビットコイン(BTC)など仮想通貨のこれまでの戦略は行き詰まった
ブテリン氏によると、ブロックチェーン・コミュニティーにおける最初の6、7年を通じて、ビットコインやその他仮想通貨の成長は、より広範な導入を目指すマーケティング努力に依存してきたが、「その戦略は行き詰まりに近づいている」と述べた。
仮想通貨市場は2018年に入って、ほとんどの仮想通貨の時価総額で劇的な下落を経験している。1月の仮想通貨全体の時価総額は約8280億ドルだったが、9月9日時点で1988億ドルまで下落した。これは2017年11月初旬以来最低である。
2017年の投機的バブルは、圧倒的多数の人々が新たな資産クラスとして仮想通貨に関心を示す結果であったが、ブテリン氏は今後数年について、業界は販売促進や関心集約よりむしろ非中央集権型システムの使い勝手やアクセスのしやすさの向上に注力することになるだろうと予言した。
これからは非中央集権型システム、dApps、プロトコルの時代
より幅広い消費者基盤に対して、ブロックチェーン技術と仮想通貨を勧める戦略は行き詰まり状態にあるとすれば、これからはブロックチェーンベースのプラットフォームにコミットする消費者を誘う非中央集権型システム、アプリケーション(dApps)、プロトコルなどのインフラストラクチャーを向上する時代であるーとブテリン氏は強調する。
ブテリン氏は、次のステップは、すでに仮想通貨に関心のある人々をより深く関与させることだと述べ、「これらの人々を真の経済活動における実際の利用へと向かわせることだ」と語った。
Bloombergによると、Ripple(XRP)やLitecoin(LTC)を含む競合の仮想通貨は9月8日に新たな売りを浴びる中、Ethereumは2018年1月に付けたこの年の高値から85%余り下落し、足元では1ETHが200ドルを割った。
Twitterに代わるEthereumベースの「Peepeth」など、数年後に期待するdApps
ブリテン氏はさらに、数ドルの仮想通貨を数百万ドルに変える時代は終わっている。仮想通貨が数ヶ月後あるいは数年後に、真に主流となる採用を実現するためには、dAppsの開発者は非中央集権型システムの利用が、中央集権型プラットフォームと同程度にシームレスで効率的であることを保証しなくてはならないという。
例えば、Twitterに取って代わりうる非集中型、つまり分散型のシステムで、Ethereumベース「Peepeth」のようなアプリは、検閲なしにブロックチェーンの中にツイートを誰でも取り込むことができるとされる。
9月初旬、ゴールドマン・サックスが仮想通貨取引デスクの開設を否定したニュース(後にフェイクニュースと判明)で、市場が大きく反応したと注目された。例えばビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)は大幅下落した。ブテリン氏は、これについて以下のようにコメントしている。
「正直言って、このような些細な問題は深く考えない。機関投資家による仮想通貨取引が、さらに先まで起きなければ幸いであると、正直言って心の一部にはある。億万長者が互いに売り買いしてすることが重要なことと言うならば、われわれが成し遂げたことは何なのか。」
(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)
関連
・イーサリアム(ETH)現在の価格・相場・チャート
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参考
・Bloomberg
・CCN