ブロックチェーンの企業導入進むか、スマートコントラクト言語開発企業が高額の資金調達

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ブロックチェーンの企業導入進むか、スマートコントラクト言語開発企業が高額の資金調達

スマートコントラクト言語開発企業が大型の資金調達

ソリディティ(Solidity)などに代表されるスマートコントラクト言語として、近年注目を浴びている言語である「デジタル・アセット・モデリング・ランゲージ(DAML:Digital Asset Modeling Language)」を開発するデジタル・アセット(Digital Asset)社が、大型の資金調達を実施した。セールスフォース・ベンチャーズ(SalesForce Ventures)、サムスン・ベンチャーズ・インベストメント・コープ(Samsung Venture Investment Corp)などが参画した2度目のシリーズCラウンドで、3,500万ドル(約38億5,000万円)の資金調達を完了したことが発表された。

Digital Asset社は、かつて史上最年少でJPモルガンのマネージングディレクターに登り詰めた、ブライス・マスターズ(Blythe Masters)氏が率いていたことで一時話題となった。同社の成長に貢献した人物であることは間違いないが、リーマンショックの原因となったクレジット・デフォルト・スワップ(CDS:Credit Default Swap)の原因を生み出した内の一人として、彼女の活動に批判的な声を挙げる人物は少なくない。

なお、ブライス氏は2018年12月に同社を退社しており、Digital Aseet社の現最高経営責任者(CEO)であるユバル・ルーズ(Yuval Rooz)氏からもブライス氏の退任に関する発言は差し控えられたが、体制が変わったことによる同社のビジネスモデルについて、「私たちはビジネスモデルの方針転換を行いましたが、使用するテクノロジーを変えることはしませんでした」と発言している。

今後の事業展開

今後Digital Asset社は、他のITベンダーとは競合しない形で事業展開を進めていく方針のようだ。GoogleがAndroidの販売にハードウェアとソフトウェアを切り離した形でサービス展開したように、スマートコントラクト言語であるDAMLの開発と提供に特化した形で運用していくとのことだ。DAMLは、現在下記のプラットフォームで使用することが可能となっている。

  • ハイパーレジャー・ソウトゥース(Hyperledger Sawtooth)
  • ハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)
  • コルダ(Corda)
  • Amazonクアンタム・レジャー・データベース(QLDB)
  • Amazonオーロラ(Aurora)
  • VMware Blockchain

DAMLは無料のオープンソースであるが、同社はマネタイズに関して、企業が導入する際のコンサルティング料を主な収入源としていく考えだ。サービス対応まで含めたライフタイムバリュー(LTV)を長く設定することで、顧客との関係性を構築していくことを目指している。オーストラリア証券取引所(ASX)では、2021年4月を目標に、有価証券の決済・清算システムを既存の管理システムからDAMLを用いたブロックチェーン管理システムに移行する予定だ。

また、DAMLは金融以外の領域にも広く普及させる予定であり、汎用性の高いプラットフォームの構築を目指しており、直近のシリーズCラウンドで調達した資金を利用し、金融以外のインダストリー分野への参入が加速することも考えられる。

日本の課題をブロックチェーンは解決するか

日本では、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が喫緊の課題となっている。2025年までにDX化が間に合わない企業は年間最大12兆円の損失を被ることが予測されており、これまでのレガシーシステムからの改善が求められている。これらの社会背景から考えると、2025年までに社会基盤の変革が訪れることが予想され、ブロックチェーンも利用される技術の一つとなるかもしれない。将来的にはAIやIOT技術と共創することで、社会の全自動化、生産性の向上を押し上げていくのではないだろうか。

参考
Digital Asset Steps Up A Gear In Enterprise Blockchain
DAML

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