仮想通貨の近い将来における活用可能性について:DMM Bitcoin代表(田口 仁)

11377

編集部おすすめ

DMM Bitcoin 田口仁

株式会社DMM Bitcoinの代表をいたしております田口仁です。前回は、日経新聞において取り上げられた業界の自主規制等に少し触れさせいただきつつ、仮想通貨やトークンの競争市場の変化と、交換業者の中心的な役割の変化の可能性について触れさせていただきました。

仮想通貨やトークンは、社会に受け入れられ、社会基盤として利活用される際には、大きなボラティリティーは好まれず、最終的な利用目的と提供価値(実物経済価値)に対する需給に則した変動のみに留まる。信頼あるステーブルコインの普及台頭は、現在の仮想通貨市場をデコンストラクション(変革とその試み)する強烈な影響力を秘めているとともに、一方で、トークンエコノミーの成長進化を一気に促進する可能性がある、そのような仮説のもとで変化の方向性を披露いたしました。

2018年6月25日、世界最大手ECを手掛けるアリババグループが自社の傘下企業アント・フィナンシャルのブロックチェーンをベースとした国際送金サービスのローンチ(開始)を発表しました。ネットガリバーが独自の分散台帳技術を活用したサービスを展開し、既存の仮想通貨やトークンの強烈な対抗馬として台頭する時代の始まりを予感させる歴史事例にもみえます。

アリババグループにおいて、国際送金サービスをリードするアント・フィナンシャルは、1400億ドル(約1.5兆円)の資金調達を行い、ブロックチェーンや人工知能(AI)などの開発を進めるとしています。調達額は、昨年のICOの調達総額の3倍に上り、既存の仮想通貨やトークンコミュニティーのICOに、これが投資されたというニュースは、現時点では聞こえてきてはいません。

ジャック・マー氏いわく、「ブロックチェーンはたった一晩で金持ちになるような技術であってならない。銀行口座を持たない人々が世界には17憶人もいる。そのほとんどが携帯電話を持っている。ブロックチェーンが人類の未来に及ぼすインパクトは、私たちの想像をはるかに超えている」

掲げる理念はリバタリアン的な哲学をベースとしたICOプロジェクトと似ていますが、ボラティリティーを好まない考え方がみてとれます。

今回は、高度に仮想通貨やトークンが普及した社会において、利活用が大きな経済的な意義を持つ産業分野について、空想物語的な部分もありますが、触れさせていただくこととします。

実経済の産業規模が大きい、もしくは高い希少性のある資源分野での利活用

実経済の産業規模が大きい、もしくは高い希少性のある資源分野での利活用

世界時価総額ランキングの上位となっている産業分野は、その一つの候補といえるような気がします。シェアリングエコノミー(物やサービス、場所を共有する考え方)というキーワードで、所有からサービス利用という変化の中で、投資利回りが大きく改善する可能性がある分野も、その一つの候補といえるような気がします。金融業については、いわずもがなの部分もあり、これは除外いたしました。

・ネットガリバーの独自経済圏のプレミアムサービスでの利活用(ゲーム、音楽、映像、物販、広告含む)

・自動車産業、不動産業分野におけるシェリングエコノミー化、サブスクリプション(定額制)サービス化での利活用

・希少性の高い実物資産(ダイヤモンド、金、一点もの美術・芸術品)の各種権利の投資商品化

このあたりは、産業自体の規模が大きく、仮想通貨やトークンを活用することで、産業としての投資利回りを大きく改善することが可能な領域のように思います。

ネットガリバーの独自経済圏のプレミアム(有償)サービスでの利活用

ネットガリバーの独自経済圏のプレミアム(有償)サービスでの利活用

第4回でも個人的な理解をご紹介しました。既存の銀行ネットワークやクレジットネットワークを通じた決済サービスの利用に対して、仲介する決済手数料が削減できる点、また、キャッシュが収納できるまでの期間がなくなることによる、キャッシュフローの改善等により、収益性が5%程度か、それ以上となる可能性があります。

利用者から見た場合に、収益の改善に対する配当として、独自トークン保有に対して、一定のトークンをプレゼントとして得ることができるような仕組みであるなら、受け入れられる可能性もより一層高いと考えます。ボラティリティーの高い既存の仮想通貨やトークンの影響を受けることなく、分散台帳技術の利点を活かした経済圏の成長進化が可能となる点が、ネットガリバーにとっての大きな利点です。

アリババによる、独自ブロックチェーン技術による海外送金サービスの展開は、その先行事例にもみえます。現在の前払い方式ポイントとの違いでいうならば、トークンの売買を個々人間で行い、権利譲渡が自由にできるという点になることと、権利の移転の履歴が容易に管理可能な点になります。

自動車産業、不動産業分野におけるシェアリングエコノミー化、サブスクリプションサービス化での利活用

自動車産業、不動産業分野におけるシェリングエコノミー化、サブスクリプションサービス化での利活用

自動車メーカー各社で、電気自動車とともに自動運転自動車の開発が進められています。また、IoT(Internet of Things)技術とトークンを用いたサブスクリプション化が検証されていることも、知られるところになってきています。

自動車リースにおいて、リース料が未払いの場合に遠隔で自動車の起動を不可能とする仕組みが導入されたり、ホテルや民泊におけるスマートフォンを用いたトークンによる入退室管理がなされたりしていますが、サブスクリプション化の先行事例という見方もできます。

ドバイ万博や東京オリンピックの際には、場内外の移動などで、スマートフォンのウォレットを通じたトークン決済により、自動運転自動車が利活用される場面が明らかになるともいわれています。

サブスクリプション化の副次的な効果としては、自動運転自動車の場合、短期間に生産台数の拡大と生産コストの引き下げを実現する有効な手段として産業界ではとらえられています。自動運転自動車の購入費用を非常に低額としつつ、自動車ローンとは異なる形のトークン購入料として、利用期間にわたり収益回収を行うビジネスモデルは、自動運転自動車の普及速度を非常に早くする可能性を秘めているのではないでしょうか。

人気車種で、発行されるトークンの数量も限定的なものについては、トークンの売買を個々人間で行う過程で、高い価格に上昇する可能性もあり、投資対象にもなりそうですが、それは本質的な利活用の方法ではありません。

希少性の高い実物資産の各種権利の投資商品化

希少性の高い実物資産(ダイヤモンド、金、一点もの美術・芸術品等)に裏打ちされた権利を小口化されたトークンとして投資商品化することは、ローリスク・ローリターンから、ミドルリスク・ミドルリターンの分散投資手段として、資産形成や資産運用を目的とした仮想通貨やトークンの市場に、新たな価値をもたらす可能性があるように思います。

何の経済的な価値の裏打ちもないとされるシーズ段階にあるプロジェクトのトークンを、高いボラティリティー期待を背景に取引することを好むような投資家層は、非常に限定的な割合しか存在しないように思います。株式や債券等の有価証券等への分散投資に加えて、希少性の高い実物資産の各種権利が小口化されたトークンを投資対象として、資産形成や資産運用の手段の一つとして提供することは、仮想通貨交換産業のすそ野の広い成長に大きく意義があるように思います。

今回は、高度に仮想通貨やトークンが普及した社会において、利活用が大きな経済的な意義を持つ産業分野について、実経済の産業規模が大きい、もしくは高い希少性のある資源分野に焦点をあてて、近い将来における利活用の可能性についてご紹介いたしました。

次回は、将来に対する展望から、足元の直近に視点を移しまして、6月末までにおける市場動向、7月において留意しておくべきイベントという視点から、いくつかのトピックを取り上げてみたいと思います。

第1回:仮想通貨・トークンの将来的可能性に関する考察
第2回:仮想通貨・トークンを取り巻く環境の変化の方向性について
第3回:ICOの成熟化、ポイント制度的サービスコミュニティー参入と台頭の可能性
第4回:業界自主規制における仮想通貨交換業の変化に関して


DMM Bitcoinの口座開設方法はこちら