電気スクータースタートアップ「Spin」が証券トークン販売を計画、有価証券をトークン化することの重要性

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電気スクータースタートアップ「Spin」が証券トークンの販売を計画、有価証券をトークン化することの重要性出典:https://www.spin.pm/

電気スクータースタートアップのSpinが、証券トークンの販売を計画

電気スクータースタートアップのSpinが、 Security Token Offering(証券トークンの販売)を計画しているという報道が複数メディアから出ています。

参考:Techcrunch.com

有価証券のトークン化は非常に重要なテーマですので、これについて解説をします。

計画している資金調達金額は、$125Million(約140億円)で、販売先は適格投資家のみになりますが、これが実現をすると、トークンを証券化して販売した事例としては過去最大の規模になります。

今回の証券トークン販売を計画している企業の事業である電気スクーターシェアリングは現在、米国で非常に加熱している分野です。

この分野で先行しようとするスタートアップのBirdの資金調達のスピードは凄まじく、今年の2月から4回の資金調達を行なっているという、とてつもないスピードです。

最新の資金調達ラウンドでは、Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)がリードをして300億円を調達しており、直近1ヶ月ではその間でバリュエーション(時価総額)が2倍になっており、現在評価額は2000億円です。

さらに同じくこの事業ドメインの競合であるLimeも、6月初旬に$250 millionの調達をしています。Spin社のSecurity Token Offeringの計画は、この競争に合わせての資金調達だと言えます。

有価証券をトークン化することの重要性

個人的には、証券トークンは、以前から早く良いレギュレーションがされるべきと主張していました。多くのICOは、価値のあやふやな「ユティリティートークン」を発行していることが、ICOが詐欺的になる要因の1つであることに対し、配当がある証券型であれば、トークンの価値は説明ができます。

スイスの規制機関FINMAは、スイスでICOをする場合、トークンモデルを3分類にわけ、支払いトークン、ユーティリティトークン、アセットトークンと分けると発表をしました。アセットトークンは要はほとんど証券(security)なのですが、アセットという言葉で躱しています。証券トークンが実現すると、そこにはどんなメリットがあるでしょうか。

主要株式市場は国境を超えて取引することも珍しくなったとはいえ、まだまだグローバルで投資を行うことが前提にされていないマーケットが多々あります。例えば、アジアの投資家が米国の未上場企業や不動産に投資することは困難です。

しかし、証券トークンが利用されるようになれば、資産所有者はインターネット接続(規制制限内)を持つ相手であれば、見込み投資家になりえます。投資家を募る対象が、インターネット接続を持つ全ての人まで開かれた場合、潜在的な投資家ベースは大幅に増加します。

また、正当な資産評価がされていなかった(市場に歪みがあった)評価額のアセットが自由市場に放り出されて、適正価格と流動性を得るという事例も出るかもしれません。

例えば、今Airbnb(エアビーアンドビー)の物件を運用したいと思って、銀行で融資を得るのは困難かも知れません。ですが、ちゃんと過去1年くらいのキャッシュフローでも証明できて、数字のプランが説明できれば投資をしたい人は沢山いるのです。

こういったAirbnbの物件1つでもトークン化して、運用配当を与えることも、既存の仕組みと比べ技術的にはゼロに近いようなコストで実装できます。

暗号通貨とブロックチェーンの世界が進展していくためには、大別して、2つの方向から進むと思っています。1つは、分散型アプリケーションなどで全く新しいアセットと経済圏が生まれること。そしてもう1つは、既存の社会の経済活動が少しずつブロックチェーンの上に乗っかってくることです。後者にあたるのが証券トークンです。

どちらも進むべきですが、新しいものを作ろうとしてる前者に対して、後者はハードルがリーガル面・規制などに限定されるので、見える世界はある程度はっきりしているし、実は早いかもしれません。

現在、この証券をブロックチェーンに乗せることにフォーカスしたプロジェクトは非常に注目されており、Harbor(ブロックチェーン・セキュリティプラットフォーム)などのプロジェクトは、a16z(Andreessen Horowitz)などの著名ベンチャーキャピタルから資金調達を受けています。

筆者が運営をする研究所サロンでは、より詳細に、証券型トークンの重要性やこの領域の主要プロジェクトについてレポートを配信しました。証券トークンにフォーカスをするプロジェクトであるPolymath・Harbor・OpenFinance Network・Securitizeなどについて、日本語で読めるレポートとして最も詳細な分析記事になっています。ご興味ある方はご覧ください。

▼平野 淳也 研究所サロン
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