どうも墨汁うまい(@bokujyuumai) です。
イーサリアム(ETH)はビットコイン(BTC)の100万円を意識した110万円の防衛ラインの中期に渡っての下落トレンドの影響をほとんど受けず、ビットコイン建てでは1月中旬の最高価格を超え0.1BTCを回復しています。
本項ではイーサリアム価格の安定性と今後の価格上昇要因のベースとなるプロトコル起因の原因について考察を行いました。
目次
イーサリアム(ETH)価格が下落し辛い理由
イーサリアムのProof of Stake(PoS)、Casper移行準備であるEIP-186のブロック報酬減少による40%の売り圧減少が大きく、15秒というインスタマインによるインフレ問題は価格減少を引き起こし安いという特性がありました。メトロポリスのビザンチウムから1ブロックの報酬が5ETHから3ETHへと変更されたのはご存知でしょう。
実はこのブロック報酬減少は長期的な価格上昇への大きな要因となっています。
ディフィカルティボムによるブロック生成時間の遅延
イーサリアムは新たな開発を実装するためにハードフォークが前提となっており、ハードフォークのたびにネットワークが分裂しない為に指数関数的に採掘難易度が上がり、最終的にそのチェーンではマイニングが不可能となるディフィカルティボムがプロトコルに実装されています。
ビザンチウムハードフォーク前を例に見ると、最大30秒までブロック生成時間が遅延していることがわかります。
出典:Etherscan
ディフィカルティボムはハッシュパワーが変化していなくてもチャートの様に急激なブロック生成時間の遅延を引き起こします。
1日のブロック報酬を比較して見る
ではブロック生成時間毎に1日のETH生成量を計算してみましょう。
ここではネットワークのハッシュパワーは変化せず、ディフィカルティボムでブロック生成時間が増加していくものとします。1ブロックは3ETHのマイニングで、1日86,400秒なので
15秒の場合
86,400秒 / 15秒 = 5,760ブロック
5,760ブロック * 3ETH = 17,280ETH
20秒の場合
86,400秒 / 20秒 = 4,320ブロック
4,320ブロック * 3ETH = 12,960ETH
30秒の場合
86,400秒 / 30秒 = 2,880ブロック
2,880ブロック * 3ETH = 8,640ETH
ブロック生成時間が5秒増えたことで1日の新規ETH生成数は25%減少することになり1日で4,320ETHもの現物が生成されなくなり、2倍となる30秒では通常の半分となってしまいます。
CasperのValidator
イーサリアムのCasper(キャスパー)はセキュリティデポジット型のエコノミックコンセンサスプロトコルで、GPUマイニングリグを使用しているマイナーの代わりにETHをデポジットした”Validator”(バリデーター)がブロックを生成します。
開発者のVitalik氏によると最初は1,000ETH前後必要(最終的には100分の1前後の予定)としており、Validator報酬が得たい場合は約1.3億円のETHを買い集めるまたはマイニングする必要があります。
このETH数を揃えるためにはブロック報酬が最終的に3ETH以下になり、ディフィカルティボムでも限られたETH数の中集める必要があり、価格が安いほどETHを購入するインセンティブが高いと言えるでしょう。
これは価格上昇と同時に悪意のある攻撃者がETHを買い集めることを難しくする相乗効果があるといえます。
予定では一度CasperとProof of Work(PoW)のハイブリッドに移行後、完全なCasperへと移行するとValidator報酬でしか新規ETHを得ることができなくなります。
結論と考察
EIP-186とディフィカルティボムを考慮すると新規発行のETHが大幅に減少しており、今後も更にETHの発行数が減ることによるデフレになることがわかります。
またそれだけに終わらず、イーサリアムはCasperのテストネットを既にリリースしており、近々主要クライアントによるサポートが予定されており、1月26日に行われたデベロッパー会議では「Casperのテストネットはファイアウォールの一部問題を除き大成功」と述べており、Casperへの移行プロセスは着々と進められています。
EIP-186という最も大きな難関をビザンチウムで乗り越えたイーサリアムネットワークは着実な強化と比例し、価格上昇を記録していくでしょう。
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