イーサリアムのエイプリルフールジョークが現実に?ETH発行枚数の制限の影響とは

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イーサリアムのエイプリルフールジョークが現実に?ETH発行枚数の制限の影響とは

どうも墨汁(@bokujyuumai)です。
現在イーサリアムは4月1日のエイプリルフールにVitalik氏が提案した最大発行枚数を制限するEIP-960と世界発となるイーサリアムASICのAntminer F3の話題で持ち切りです。

EIPはイーサリアムの改善提案であり、Ethereum Foundationの仲間さえジョークかわからなかったこのEIPは実際にGithub上でIssueとして正式に提案され、実際に議論されました。

結果としてVitalik氏はツイッター上で「メタジョークだった」とツイートしました。本稿では初心者向けに発行枚数の制限の影響について解説を行いました。

ジョークから現実へ

Vitalik氏曰くこの提案に対する議論は“リアル“であり、イーサリアムネットワークを開発していくのはコミュニティであり、例え元の意図がジョークであってもコミュニティが望むならば「ジョークではなく現実だ」と述べ、さらにコミュニティの反応を見てか「ETHの発行数制限は考慮する価値があると強く思う」と付け加えています。

ビットコインのデフレとイーサリアムのインフレ

今回のEIPではETHの最大発行枚数を1.2億ETHに設定するというものでしたが、Vitalik氏は去年公開した記事において「安定した価格を維持するために重要なことは供給量が減少していく性質を持つことです」と述べています。

出典:On Medium-of-Exchange Token Valuations

これはツイートでも追加説明していましたが、長期的なインフレ、例えばイーサリアムのように発行制限がなく15秒に1度3ETHが新規生成されるような仮想通貨は長期的にインフレとなります。対してビットコインのように4年に1度の半減期と10分というブロック生成時間、2,100万BTCという発行制限により長期的にデフレとなります。

これをグラフに表すととてもわかりやすく、ビットコインは最大発行枚数が決まっているため発行枚数は2,100万BTCに近似していくのに対し、イーサリアムはインフレを続けることがわかります。

*イーサリアムは1190万ETHをICO用にプレマインした状態で開始。2017年にはEIP649によってブロック報酬が5ETHから3ETHへ減少。デフィカルティボムは考慮しないものとする

On Medium-of-Exchange Token Valuations

グラフ1:発行数の推移

イーサリアムASICによる新規発行の不平等化

ASICとは特定用途向け集積回路のことで、マイニングを行うための計算に特化したコンピュータの事を仮想通貨では指します。対してイーサリアムはプロトコルがASIC耐性を持ち、通常のゲームなどの用途に使用するGPU(グラフィックカード)を使用してマイニングを行います。つまりこれは一般用途のGPUを所持しているユーザーであれば誰でもETHのマイニングを行うことができ、誰にでもチャンスがあるということです。

対してASICはその開発費から価格は30万円~からと決して安価なものではなく、GPUに比べて大幅なハッシュパワー(マイニングするための計算力)を持つ事ができるため一部のユーザーがマイニングを独占することができるという問題があります。

マイニングは大きな電力を必要とするため、現在のようにマイニング報酬が過去最低収益である場合は電気代が高い地域(日本やデンマークなど)はマイナス収益となり、中国やアメリカにマイニングが集中することがわかります(図1参照)。

ここで現在複数の企業がイーサリアムASICを開発しているというニュース(真偽不明)があるようにASICが販売された場合は、インフレ通貨であるイーサリアムは安定することが難しく、中央集権化(不平等なコインの新規発行)を引き起こすことになるため明確な発行制限を設定し、Vitalik氏のいう「供給量が減少していく性質」をイーサリアムに与えることで価格を安定させる事ができるでしょう。

On Medium-of-Exchange Token Valuations図1:各国の電気代とASICの維持費

出典:中国のビットコイン規制によりマイナーがASICとGPUを売却開始

結論と考察

EIP-960はVitalik氏の独特なメタジョークだったにも関わらず、ツイートを見ると元々イーサリアムの価格安定性についてのインフレモデルにおいて思う所があったということがわかります。イーサリアムのASICはマイニングを必要とするProof of Work(以下PoWとする)から見るとセキュリティを向上し、より悪意のある攻撃者がイーサリアムネットワークを攻撃することを難しくする事ができるでしょう。

ですが、マイニングの中央集権化という問題点とネットワークを構成するインセンティブ、イーサリアムのPoWのアルゴリズムの目的に反しているという点を考慮すればVitalik氏のみではなくコミュニティは反対するでしょう。

実際、デベロッパーの投票に対し、57%がこのASIC問題に対しハードフォークすることに対して賛成だとし、13%が反対だとしています。

EIP-960の報酬減少計算、イーサリアムASICとの詳細と考察は下記を参照してください。

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