イーサリアムクラシックがハードフォーク実施へ、ETC開発者が語る今回のメリットとは?

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イーサリアムクラシックがハードフォーク実施へ、今回の実施メリットとは?

イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)がボム無効化の為ハードフォーク実施

イーサリアムクラシックは、5月30日(本日)頃、数日の間にコード内のいわゆる「ボム(爆弾)」を無効化する取り組みの一部として、ハードフォークを実施する予定だ。

5,900,000番目のブロックで行われるこの変更は、新しい合意形成アルゴリズムへの移行に先立ち、イーサリアムクラシックプロトコルにおいて報酬をマイニングする難易度を上昇させるために設計された機能を無効化するために行われる。この変更において、元のイーサリアム(Ethereum)ブロックチェーンのすべてのユーザーはソフトウェアを更新する必要がある。

このような変更はもともと、現在イーサリアムブロックチェーンによって継続されているロードマップの一部として想定されていたものだ。このロードマップに従い続けた場合、イーサリアムクラシックのマイニングからは利益が得られなくなる。

イーサリアムコミュニティ内の支持者たちは、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)の仕組みは、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)よりもエネルギー効率が良い」と主張している。しかし、イーサリアムクラシックプロトコルのための開発およびマーケティング団体であるETC Cooperativeの開発者兼ディレクターのAnthony Lusardi氏は、このことがイーサリアムとイーサリアムクラシックコミュニティーが合意に達することのできていないもう一つの点だと主張する。

このようにLusardi氏は今回実施されるコード無効化について、2017年の分裂以来、イーサリアムクラシックプロジェクトがイーサリアムとの差別化を図るもう1つの方法として位置づけようとしている。

Lusardi氏はCoinDeskのインタビューの中で、「今のところ、コミュニティの大多数が感じていることに基づいた合意形成において、プルーフ・オブ・ワークが最も非中央集権的なアプローチだと思われる」と述べた。

他にも、「PoS、DPoS、ビザンチン・フォールトトレラントなどといった多くの新しいアルゴリズムが提案されている。そして、コミュニティーの中で私たちは、これらの新しいバージョンの合意形成はもはや非中央集権型ではないと確信している。もしかすると、プルーフ・オブ・ワークよりももっと中央集権的かもしれないと心配している。」

フォーク実施計画は2017年から議論されてきた

イーサリアムクラシックがプルーフ・オブ・ワークを継続するという決定は、慌てて成されたものではない。事実この議論は、イーサリアムとイーサリアムクラシックが分裂するきっかけとなった、スマートコントラクトに基づいた資金調達プロジェクト『The DAO』の2016年の崩壊の後に始まっている。

2017年1月、イーサリアムクラシックのコミュニティーは「ボム」を遅らせて熟考する時間を確保するために、ブロックチェーンをフォークする方向に動き出した。

イーサリアムクラシック開発チームでCTOを務めるIgor Artamonov氏は、CoinDeskに対して、「私たちがプルーフ・オブ・ステークを採用するか、プルーフ・オブ・ワークを継続するかは分からない、しかしこのことについては多くの議論があった。私たちは十分な時間を取っていなかったことに気付いたのだ」と語った。

しかし、現在までに、プルーフ・オブ・ステークのシステムはよく研究されてきたとLusardi氏は言う。

Lusardi氏は、プルーフ・オブ・ワークのシステムは中央集権化に上手く対処することができると強く主張している。なぜならマイニングは、ハードウェアインフラストラクチャーに対する継続的な投資を必要とするからだ。反対に、一度参加者がプルーフ・オブ・ステークのシステムにおいて「経済的なマジョリティー(多数派)」になった場合、「彼らによるネットワークの所有を防ぐ手段はほとんど無い」と彼は述べた。

イーサリアムクラシックの開発者Cody Burns氏もこの意見に同意しており、「全体における前提として、(プルーフ・オブ・ステークの)システムでは、通常のお金を投入してステークを購入するというものだ。そして銀行や大きな機関は通常の参加者と比べて不公平なほど大規模な資本を所有している」と彼は語った。

続けて、「私たちは過去4~5年間、今ある現代の金融システムをただ再発明するために費やしてきたのかもしれない。しかも同じ参加者、同じプレイヤーとともに」と彼は付け加えた。

ハードフォークによるリスクは伴うのだろうか?

ハードフォークは、マイナーによるソフトウェア更新の失敗や、古いコードのままネットワークを維持しようとするユーザーの存在によってネットワークが分裂する可能性があることから、これまで論争の的となってきた。

しかし、Lusardi氏(ETC Cooperativeの開発者)、Artamonov氏(イーサリアムクラシック開発チームCTO)、そしてBurns氏(イーサリアムクラシックの開発者)は全員、来たるフォークが議論を巻き起こしたり、技術的な困難に直面するとは考えていない。ノードとマイナーの大多数はすでに、3ヶ月前にリリースされたソフトウェアに更新していると彼らは言う。

イーサリアムクラシックの主な開発企業であるIOHKもまた、この考えに賛同している。IOHKは3週間前にハードフォークが統合されたノードクライアントMantis V1.1をリリースしており、「このソフトウェアのユーザーには更新のための十分な時間が与えられている」とIOHKのイーサリアムクラシックコミュニティーマネージャーKevin Lord氏は言う。

加えて、「広範囲に及ぶアナウンスや議論があり、このフォークに対する慎重なレビューが行われた。IOHKはネットワークに対する注意深い監視を続けていく。」とLord氏は語った。

しかしこれらの開発者たちは「取引所はこのフォークを意識していない可能性がある」と述べたが、その危険は小さいとも語っている。それにもかかわらずLord氏はユーザーに対して、自身のプライベートキーを管理し、取引所にトークンを保管しないことを推奨した。

彼らは、今回のフォークがボムによるマイニング難易度の上昇を無効化することだけでなく、ブロックが生成される時間を短縮することで、コミュニティーに利益をもたらすと考えている。

「現在、1つのブロックの生成に平均26秒かかっているが、今回のフォークによってそれが14秒にまで短縮される。」とBurns氏は予測する。

しかし、その他のタイプのハードフォークとは異なり、今回のフォークはエアドロップや新しいコインの生成が行われないため、落胆しているユーザーもいるかもしれない。結局のところボムの無効化は、それほど認識されることなく過ぎ去るだろうと開発者たちはCoinDeskに語った。

最後にLusardi氏は、「私たちは大きな論争を巻き起こすようなフォークは行わない傾向にある。」と述べた。

参考:Coindesk