日本時間2019年12月8日午前9時25分、イーサリアムのブロック高が#9069000に到達し、大型アップデートであるイスタンブールが実装された。イスタンブール実装は主にイーサリアムのコントラクトを実行するバーチャルマシンのEVMを調整した約1年ぶりのアップデートだ。
現在のイーサリアムの開発段階はメトロポリスとなり、イスタンブールはメトロポリスにおけるコンスタンティノープル(サンクトペテルブルク)に次ぐ3番目のアップデートとなる。
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— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) December 8, 2019
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ブロック生成時間の正常化はムーアグレイシャー実装で
ディフィカルティボムの影響が2019年11月初旬から既に見られ、ブロック生成時間はプロトコルにより指数関数的に上昇を開始していた。最終的にイスタンブール実装前には平均17秒に上昇する前に平均15秒で#9069000に到達し、無事実装となった。
コンスタンティノープル実装後、ブロック生成時間は平均13秒を推移していたため、イーサリアムネットワークは12月初旬には約15%の遅延が起きていたことになる。つまり、コントラクトの実行速度なども全体的に遅れており、本来ならイスタンブールでディフィカルティボムを調整する予定であったが、1月に行われるムーアグレイシャーアップデートで調整されることになった。
現時点における100ブロック間の平均生成時間は、約14.9秒を推移しており2020年1月には17~19秒になると見られる。
フォークなどの問題は?
最終的なイーサリアムノードのアップデート率は、2日前の37%からハードフォーク時には49.4%まで上昇しているものの、過半数のノードは未だにコンスタンティノープルチェーンを検証していることになる。
出典:ethernodes
ノードは開発や監査、取引所やマイナー以外は放置傾向が高いため、このアップデート率は大きな問題とならない。実際に本稿執筆時の9:37amには、アップデートを行っていないGeth(ノードのイーサリアムクライアントソフト)は#9068999でスタックしており、現時点ではコンスタンティノープルチェーンのフォークは見られない。
また、イスタンブール実装の2日前にEIP-1344の実装忘れを犯し、緊急のノードアップデートを実施したパリティも問題はない。#9069042でGethとのコンセンサスバグによるフォークなどは見られず、イスタンブールは正常に実装されたことになる。
イーサリアム2.0(ETH2)の実装ではない
今回のイスタンブール実装は、通称セレニティのETH2ではなく、現行のイーサリアムネットワークであるETH1に関する実装だ。ETH1と平行して開発と実装が行われるETH2は2020年のローンチを予定しており、PoWとPoSが同時に存在し、マイニングとバリデータの両方でETHを得ることができるようになる。
イスタンブールの次の大型アップデートはベルリンと命名されており、イーサリアムの手数料モデルを変更するEIP-1599の実装が提案されている。実装時期は混乱がないように、ETH2のビーコンチェーン(Beacon Chain)のローンチとは避けて実装される予定だ。
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