ブロックチェーンがソリューションとして期待されているのは何も金融業界だけではない。金融業界以外にも期待されている1つとして、海運、陸運等の流通業界がある。
2018年9月4日、イギリスの大手船級協会である、ロイド・レジスターグループ(Lloyd’s Register)がブロックチェーンを利用した船舶登録ツールの研究開発を、「Applied Blockchain」社と共同で行うことをプレスリリースにて発表した。
英ロイド・レジスターグループが取り組むブロックチェーン事業
ロイド・レジスターグループは歴史をさかのぼると1760年代から、活動を始めている世界最古の船級協会で、日本にも拠点を持つ巨大な組織だ。
同グループ等船級協会は装備品や規模、構造といった独自の基準によって船舶や会場建造物の安全性の判定といったことを業務として行っている。海運業や海上保険業等、海を舞台とする産業とは切っても切り離せないものだ。
同プレスリリースによれば、ブロックチェーンの持つ情報の不変性や追跡のしやすさといった特徴を活用することによって、船級登録の流れをより簡略に行えることになるという。
すでにプロトタイプは完成済みで、同ツールのデモンストレーションは9月4から7日にかけてドイツハンブルグで開催される国際的な海事関連見本市「SMM」にて、行われる。
海事産業でブロックチェーンを採用した理由
今回のツール研究開発の発表にあたって、ロイド・レジスターグループの海事・オフショア部門のリードテクニカルスペシャリストであるGary Pogson氏は以下のように語っている。
「私たちはこのプロジェクトに取り掛かるにあたり、顧客のニーズにこたえるためには何が必要か、様々な要素を検討してきました。こうした中で我々の見解では、ブロックチェーンをシステムの一部として採用することは、海運など海事産業の将来のニーズにこたえるものであると判断しました。」
ロイズ・レジスターグループは今後、このプロジェクトを通じて、海事産業、特に海運にかかわるステークホルダーたちに、ブロックチェーンを利用したツールによってもたらされる価値を説明していくことを当面の目標にしている。
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参考
・Coindesk
・Lloyd’s Register