欧州連合(EU)がデジタルユーロ発行に向けて本格的作業をスタート

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欧州連合(EU)がデジタルユーロ発行に向けて本格的作業をスタート

欧州連合(EU)諸国の金融政策を統括する欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)総裁はこのほど、デジタルユーロを発行する可能性を探るため、より広範な欧州コミュニティーと広く協議を開始すると正式に発表しました。本格的なデジタルユーロ発行に向けた第一歩のスタートです。

欧州中央銀行総裁「デジタルユーロ発行の準備開始」を宣言

ラガルド総裁は11月1日、ツイッターに「われわれはデジタルユーロ発行の可能性を探る作業を開始した。欧州諸国民は支出、貯金、投資する方法をさらにデジタル化しようとしているので、必要ならデジタルユーロを発行する準備を進めるべきだろう」と投稿、「そのために皆さんの見解を是非聞いてみたい」と呼びかけました。

ECBのファビオ・パネッタ(Fabio Panetta)執行理事は先立つ10月12日、欧州議会の経済・金融委員会でデジタルユーロの必要性についって声明を発表して、EU諸国がデジタル決済に向けて迅速に動いていることから、デジタルユーロの必要性が緊急の課題になっていると次のように述べています。

「われわれは日々のすべての決済に利用することができる中央銀行発行のデジタル通貨を保有してはいない。デジタルユーロはそのギャップを埋め、デジタル化されたユーロ紙幣の同等物となる。デジタルユーロは現金を補完するものであり、取って代わるものではない」

「デジタルユーロはユーロ紙幣を補完するもので代替するものではない」

ラガルド総裁はツイッターに投稿したビデオの中で、ECBはデジタルユーロのサービスや機能、ユースケースに関して、さらにはデジタルユーロが中間媒体に依存すべきかどうかについて、欧州諸国民の意見を知りたいと次のように問いかけました。

「われわれはまだレビューもしくは考慮の段階にあるが、欧州諸国民の意見を聞く段階になったので、消費者と欧州諸国民は意見を表明し、コインや紙幣を利用する方法と同じように、デジタルユーロを喜んで利用するか否かの見解を示してほしい」。

ラガルド総裁は次いで11月12日、ECBは2年から4年後には、デジタルユーロを発行することになるとの公式見解を明らかにしました。同総裁はイングランド銀行(BOE)のアンドリュー・ベイリー総裁、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長とのバーチャル政策パネルで公式見解として、デジタルユーロはユーロ紙幣を補完するもので、代替するものではないと強調しました。

デジタル通貨は2~4年後に発行する計画

同総裁はさらに、ECBは世界に先駆けて中銀発行デジタル通貨(CBDC)を発行する意図はないことを明らかにしました。このデジタル通貨は2021年初頭にも開発が完了し、この開発プロジェクトは発行まで2-4年かかるとのタイムテーブルを披露しています。

デジタル通貨の有用性について同総裁は、そのコスト上の利点やスピード、ネットワークの安全性などを挙げ、「このテクノロジーがユーザにとって、これまで以上に安価で速く、安全確実であるなら、われわれはその開発を進めるべきであり、また金融自主権すなわちユーロ圏の自主に有用ならば、われわれはそれを開発すべきだと思う」と強調しています。

参考
Christine Lagarde Feels ECB Will Launch a Digital Euro

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長瀬雄壱
フリージャーナリスト、大手マスコミのOB記者。在職中は社会部、科学部、外信部で記者活動を行なう。特に外信部では、10年余り海外特派員(3カ国)を務め、国際関係、政治、経済、社会、戦争取材など、あらゆる分野で記者活動を続けた。翻訳業務経歴は約50年あり、今でも海外ニュースを深くモニターしている。