欧州連合(EU)がデジタルユーロのテスト開始へ、新型ウイルスの教訓生かす

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欧州連合(EU)がデジタルユーロのテスト開始へ、新型ウイルスの教訓生かす

欧州連合(EU)27カ国は、デジタルユーロの発行を目指して最終段階にあり、EUの中央銀行である欧州中央銀行(ECB)が10月12日にからテストを開始すると発表しました。EUが突然デジタルユーロ発行に関連する具体的な計画を発表した理由は、新型ウイルスのパンデミックの教訓として、新しいデジタル決済システムの必要性を痛感した結果だとされています。

デジタルユーロはビットコイン(BTC)と同類だが中央銀行が管理する

ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は10月2日、「われわれは必要となればデジタルユーロを発行する準備を進めるべきだ」と述べ、デジタルユーロについて、「欧州の国民は、より一層電子的な形で決済し、貯金し、投資するようになっている。われわれの使命は、通貨の信頼を確保することにある。それ故にわれわれは、ユーロがデジタル時代に備える準備をしておかなくてはならない」と語りました。

デジタルユーロははビットコイン(BTC)と似たようなものになりますが、暗号資産(仮想通貨)とは違って、中央銀行の管理下に置かれます。デジタルユーロは、ブロックチェーンを元にデジタルユニットとして存在し、オンラインビジネスに有用になります。

ECBによると、中央銀行が発行する電子的な貨幣は、唯一デジタル形式のキャッシュとして、一般国民が利用することになります。しかしこれまでのところ、ECB理事会はデジタルユーロの発行を正式には決めているわけではありません。

デジタルユーロは法定通貨ユーロの代替ではなく補完

ECBは現在、市民、学界、金融部門、当局者などとの意見交換会の開催を計画しており、特にデジタルユーロの利点と不利益な両面を重視して意見を聞くことになります。この公開協議は10月12日開始される予定です。ECBによると、デジタルユーロのテストは正式には決まっていませんが、同時に始まる予定になっています。

ブルームバーグ(Bloomberg)の報道によると、ECBは2021年半ばをめどにして、デジタルユーロの発行プロジェクトを開始するかどうか正式に決定することになっています。

国際通貨基金(IMF)の前専務理事だったラガルド総裁は9月21日独仏合同議会で演説して、新型ウイルスのパンデミックからの回復期に当たって、欧州諸国はデジタルユーロの採用による恩恵を得ることを示唆しています。

ラガルド総裁によれば、デジタルユーロは現金に代わるものではなく補完するものです。

新システムの運用は2022年を目指す

ラガルド総裁は、デジタルユーロは全欧州の中央銀行デジタル通貨(CBDC)と呼ぶべきものだと次のように語りました。

「デジタル経済が進む中で、われわれは欧州決済システムの力と自律を保証する必要がある。ユーロシステムは積極的にこの実現に向けたイニシアチブを追求している。われわれはまたデジタルユーロ導入に関する利点とリスク、運用上の諸問題を調査している。デジタルユーロは現金を補完するものであり、取って代わるものではない。それはプライベートデジタル通貨に代わるものであり、法定通貨は欧州決済ステムの中心にとどまらなくてはならない」

欧州連合は、今回の新型ウイルスのパンデミックの教訓として、現金に偏ったシステムを排して、欧州の新しいデジタル決済システムを構築する必要性を痛感しています。そして2022年に新しい決済システムの運用開始を目指しています。

参考
ECB intensifies its work on a digital euro

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長瀬雄壱
フリージャーナリスト、大手マスコミのOB記者。在職中は社会部、科学部、外信部で記者活動を行なう。特に外信部では、10年余り海外特派員(3カ国)を務め、国際関係、政治、経済、社会、戦争取材など、あらゆる分野で記者活動を続けた。翻訳業務経歴は約50年あり、今でも海外ニュースを深くモニターしている。