FATFが仮想通貨取引所の規制を「指針」から「基準」に格上げ、G20主導で2019年中に実現へ

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FATFが仮想通貨取引所の規制を「指針」から「基準」に格上げ、G20主導で2019年中に実現へ

ロイター通信(2018年6月12日)によると、政府間機関の緊急活動作業部会(FATF)は、仮想通貨取引所の規制について、拘束力のないこれまでの「ガイダンス(指針)」から加盟国に義務付ける「スタンダード(基準)」に格上げすることを目指す。

FATFは6月24日から始まる定例会合で具体的検討に入り、遅くも2019年中に実現する見通しだという。問題に精通した日本政府関係筋がロイターに語ったもの。

G20の共同声明で6月24日にFATFの規制見直し会議開催へ

2018年3月19、20日にアルゼンチンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議は、共同声明の中で基準の見直しを求め、FATFが検討してきた。FATFは2015年6月にガイダンスを出して、仮想通貨取引所の登録制をいち早く導入したが、ガイダンスに強制力がないことから、各国の規制にばらつきがあった。

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日本政府はFATFのガイダンスを2017年に率先して導入、実施した。日本は2019年にはG20議長国に就任することが決まっており、FATFの議論を積極的にリードする見通し。関係筋によると、米欧諸国の協力は得られそうだという。

FATFはパリに本部を置き、1989年のG7会議で発足した。37カ国と2つの地域組織(ECおよび湾岸協力会議=GCC)で構成されている。このほかアジア太平洋マネーロンダリング対策グループ(APG)、中南米FATCなど準加盟8団体が参加している。

取引所は登録制、顧客の身元確認など強制力ない指針を見直し

現行のガイドラインによると、仮想通貨取引所は登録制もしくは免許制となっており、マネーロンダリング(資金洗浄)を防止するため、顧客の身元を証明しなければならない。疑わしい取引もまた、報告することを求めている。

FATFは6月24日から、これら現行ルールが現状に照らしてなお妥当かどうか、新たな取引所に適用しうるか、仮想通貨取引を禁止している国や禁止に動く国と以下に協力できるかなどを見直すという。

FATFはそもそも、マネーロンダリングやテロ組織への資金提供を阻止する政策作りを目指して発足した。FATFには、仮想通貨取引やブロックチェーン技術開発に熱心な韓国、南アフリカ、アルゼンチン、インド、そしてG20主要国やもちろん中国も参加している。FATFはまた、エジプト、グアテマラ、ナイジェリア、ウクライナなど12カ国を資金洗浄などの非協力国に指定している。

FATFは2015年6月の会議で、マネーロンダリングに関連して、暗号資産(crypt-asset)という新しい資産がどのようなリスクに直面しているか理解することが重要であるとの声明を出している。そして2019年3月、G20は「われわれは暗号資産に適用しているFATF基準の実現を約束し、FATFによるこれら基準の見直しに期待し、世界的な実行を進めるようFATFに呼びかける」との共同声明を採択した。

FATFは6月24日から「基準」への格上げで具体的協議へ

ブエノスアイレスで開かれる2019年のG20では、日本がこの問題を正式議題にするよう呼び掛けており、現在までドイツ、フランス、中国などが何らかの解決に関心を表明している。FATFが2015年に出した48ページものガイドラインは、仮想通貨に対して既存の法律による基準提供を求め、基準は特定の仮想通貨に提供していないため、加盟国による提供に関していくつかの解釈の余地を残してしまった。

ガイダンスはそれでも、仮想通貨取引所の登録、顧客の身元確認、疑わしいい活動の報告義務は、確かに推奨している。ロイターによると、6月24日のFATF会議は、仮想通貨に特定した協議に集中し、既存のルールが今なお有効か否かを再検討するとともに、仮想通貨取引禁止を決めている国について、何をなすべきか決めたいという。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考
REUTERS
NEWSBTC