韓国の金融機関でブロックチェーンIDシステムを採用、国としての強さ

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韓国の金融機関でブロックチェーンIDシステムを採用、国としての強さ

韓国の主要な金融機関でブロックチェーンIDシステムを採用

ブロックチェーンとアイデンティティ管理は長らく期待されている活用領域です。韓国ではスマートフォンに格納されたモバイルアイデンティティ情報を使うだけで、口座開設やサービスが利用できるようになる見込みです。

本件は韓国の複数金融機関のコンソーシアムによる取り組みで、DID(分散型アイデンティティ)を推進するW3Cの標準に準拠したブロックチェーンベースのIDシステムです。利用者は、住民登録カードや運転免許証などの本人確認書類を提出することなく、銀行口座開設や送金が可能になります。W3Cについてはこちらのレポートで解説しています。

ユーザーのアイデンティティ情報は、ブロックチェーンネットワークに格納され暗号化された後に、DIDを生成し、参加する金融機関によって管理されます。日本では、銀行口座を開設するときは運転免許書や印鑑による署名が必要です。

また、最近話題のPayPayやLine Payなどのスマホ決済アプリを登録する際は、同じく個別サービスずつ登録が必要です。いずれに登録をするにしても入力する情報はほとんど変わらず、ユーザーとして煩わしい経験をした人は少なくないでしょう。これを一つのサービスに登録すれば、コンソーシアム内の企業であれば他のサービスの登録も簡単になるイメージです。

国としてブロックチェーンを推す韓国の強さ

本件が注目すべき点は、銀行および証券会社、保険会社、フィンテック企業の30社が参加をしている点です。これは政府が音頭をとって国としてブロックチェーンに取り組まないと実現できない規模であると感じています。理由として、これだけの規模のコンソーシアムにはさまざまな利害関係者を巻き込む必要があります。

分かりやすい例を出します。ある大手銀行Aは500万アカウントを保持、銀行Bは30万アカウントしか持っていないとします。新しいコンソーシアムではユーザーが単一のDID情報に基づいてコンソーシアム内の銀行口座の開設やサービスを利用しやすくなります。

銀行Aは500万アカウントを持っていてコンソーシアム内の他企業に送客可能性が高いですが、銀行Bは30万アカウントはコンソーシアム内の他企業に送客できる可能性が少ないです。この場合、銀行Aにとっては銀行Bの存在がタダ乗りしているプレーヤーに見えてしまっても無理がありません。これは企業のブロックチェーンの活用、コンソーシアムブロックチェーンの実施が難しいポイントの一つです。

そういった中で合意形成をとるのはとても難しいですが、そこを合意形成させ発表に至っているのは、韓国政府が国をあげてブロックチェーンに取り組んでいるということが無関係ではないことは確実でしょう。

韓国では、大統領が「規制(緩和)は国家の生き残りをかけた死活問題」とまで発言をして、釜山広域市をブロックチェーン特区にするなどの取り組みがあるなど、ブロックチェーンに精力的な国の一つです。本件は、国としてブロックチェーンを推す韓国の強さを表す発表のようにも見えます。日本も追従したいと考えるのであれば、民間企業だけでなく、ときに官民合わせた取り組みが求められるでしょう。

参考
Era of mobile IDs

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