暗号通貨の扱いには、取引所の破綻リスクがあることは、このコラムをお読み頂いている方には説明不要だと思います。
今年に入ってからも、大きなニュースになっていないですが、小規模な取引所では顧客資産を失っているケースが多々あります。
取引所側からしても、これはどれだけ厳重な管理をしようとも「絶対に盗まれない」と断言できる100パーセントのセキュリティはあり得ないのがこの世界です。
だからこそ、取引所にはトレードに使用する最低限の金額を保管するに留め、トレードをしない資金は、自分が秘密鍵を管理するウォレットで保管するのが基本です。
とはいっても、それでも日々トレードをしたいユーザーはいるわけで、人によって常にリスクは付きまといます。
今回は、気休めといえば気休めですが、破綻リスクが高い取引所の見分け方をいくつかのポイントに分けて解説をしたいと思います。
出金上限金額の制限がない取引所
まず、外部への出金上限金額の制限がない取引所は、それだけリスクがあります。
これは、ホットウォレットに多額の資金が保管されている証拠であり、その資金が攻撃リスクに晒されていることを意味します。
ホットウォレットとは、取引所のシステムに接続されたウォレットであり、ネットワークから完全に切り離されたコールドウォレットより、遥かに攻撃の対象になりやすいです。
対するコールドウォレットは、秘密鍵をオフラインでの金庫なりで管理しており、取引所会社の内部犯行などの可能性や、コンピュータに秘密鍵を保存した形跡が残されていたなどのケースはあり得ますが、ホットウォレットの資産よりは、攻撃リスクは小さいです。
1日に多くの資金を引き出すことが出来ない取引所について、不便だという声もたまに聞きますが、それは、こういったセキュリティとのトレードオフだといえます。
火のないところに煙はたたない
シンプルな話ですが、TwitterやRadditで「あの取引所は、危ないのではないか。」と噂されはじめたら、使うのは控えたほうがいいと思います。
使うとしても、注意して欲しいコインを売買しおわったらすぐに資金を引き出すことを徹底すべきです。
出金対応が遅くなったり、処理されないなどの噂が多くなったり、サポートの対応が極端に遅くなるなどの噂には敏感になったほうがいいです。
たかが噂話といっても大事な資産を守るためなので、神経質になるくらいで丁度いいはずです。
ちょうど数ヶ月前、SECに一時押収されたBTC-Eですが(現在が、サービスが再開してます。)、こちらも随分前から危ないのではないのか、という噂はありました。
日本やアメリカ、中国など主要国以外で運営されている
規制が厳しくない国で設立されている取引所は、破綻リスクも高いといえます。
規制がある程度ある国、例えば、日本では、最低資本金なども定められ、今年から晴れて、仮想通貨交換業者は登録制になります。
アメリカでも、州ごとで、まだ規制は明確に決まってはいませんが、勝手に営業していれば、すぐにSECの立ち入りが入ります。
つまり、それらの国では、ある程度ちゃんとした事業者が身元を明かして取引所ビジネスをしていることが多いので、マイナーな国で、誰が営業しているかよく分からない取引所よりかは、いくらか安心といえます。
とはいえ、もちろん、日本やアメリカの取引所も破綻リスクは普通にありますし、冒頭に書いたように、100パーセント安全な取引所はありません。
利益が出ているかどうか?
取引所の売上はほとんど、出来高×手数料です。
つまり取引出来高が多い取引所ほど儲かっています。
ちゃんと売上が上がっている取引所であれば、セキュリティ管理に関しても投資ができ、リスクは少ないといえます。
また、ちゃんとビジネスを運営していて、売上がたっているならば、経営陣にいる横領などのインセンティブもなく、その意味でもリスクは低いでしょう。
最後に
危ない取引所の特長をざっくりと書き並べましたが、あくまで目安ですし、この特徴に該当する取引所が必ず破綻するわけではもちろんありません。
そして、暗号通貨を保有するということの意味は、秘密鍵を自分で管理するということです。
ですが、リスクが高い取引所を見定める能力も大事だと思いますので、上述したポイントが、指標のひとつになればと思います。