金融安定理事会(FSB)「仮想通貨は現時点で金融安定のリスクではない」と、G20に報告

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金融安定理事会(FSB)「仮想通貨は現時点で金融安定のリスクではない」と、G20に報告

G20の金融諮問機関である金融安定理事会(FSB)が、世界の金融安定について仮想通貨市場の発展がどのような影響を与えるかをモニターする新しい枠組みを公表した。

2018年7月16日付で発表された報告書の中で、FSBは「仮想通貨が金融安定に及ぼすリスクは現時点で最小限だが、市場を注視する必要がある」ことを明らかにした。

参考:FSB報告書

金融の安定確保に仮想通貨市場の監視は必要

FSBは世界の金融の安定を推進する国際機関であり、「世界の金融システムについてモニターし、勧告する機関」である。前身は1999年委設立された金融安定化フォーラム(FSF)であり、これを強化・拡大するため2009年に設立された。2017年末時点で、G20を含む25カ国・地域の中央銀行はじめ、財務省など金融監督諸官庁、国際通貨機関(IMF)、世界銀行、国際決済銀行(BIS)、経済協力開発機構(OECD)などの代表が参加している。

仮想通貨市場は迅速な変化やボラティリティ(価格変動性向)があり、多くの中央銀行が投資家向けに警告や勧告を出す必要に迫られている。市場監視の必要性について報告書は「仮想資産市場の規模と成長をモニターすることは、富裕効果の潜在的規模を理解するため必要となる。レバレッジ利用あるいは仮想資産市場への金融機関のエクスポージャーなどは、幅広い金融システムに対する仮想通貨のリスクの広がりを推量する重要な測定基準である」と述べている。

枠組みは決済・市場インフラ委員会(CPMI)の協力で作成され、報告書は7月21-22日、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議に報告済みである。

FSBのカーニー議長「リスクは小さいか、ほぼない」とG20に報告

FSBのマーク・カーニー議長(イングランド銀行総裁)は3月、報告書とともに親書をG20会議に送り、仮想通貨は当面世界経済に与えるリスクは小さいかほぼないが、仮想資産が及ぼす金融安定へのリスクのモニターを強化すための測定基準を策定し、「必要に応じてG20でアップデートしてもらう」と述べている。

FSBが報告した枠組みは、その目的について「枠組みの目的は、あり得る金融の安定に関するすべての懸念について時期を逃さず明らかにすることである」としている。

主たる基準値は、時価総額(規模と成長率など)、価格水準、ボラティリティなど。ICO発行と法定通貨の資本流出入は、富裕効果基準値として考慮され、従来の金融市場の取引量、利幅率や利率など、機関投資家向け基準値も分析された。FSBによると、これら枠組みは「消費者や投資家の保護、市場の一体性、そしてありうる金融安定に対するリスクを判定する一助となる」

G20財務相・中央銀行総裁会議(7月21-22日)はFSBの結論に同調へ

今回の枠組み作りと判定については、それぞれの権限の範囲で別の国際的な規制機関が一定に役割を果たした。例えば、証券監督者国際機構(IOSCO)は、仮想通貨発行による過激な新しい形式の資金調達の可能性や懸念を協議するICO Consultation Networkを開設した。またバーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、銀行による直接、間接的な仮想通貨に関するエクスポージャーを研究し、仮想資産の取り扱い状況を調べた。

OECDの金融活動作業部会(FATF)もまた、G20会議に向けて仮想通貨関連のマネーロンダリング(資金洗浄)やテロリストによる資金調達リスクについて個別の報告書を提出する。

3月に開かれたG20サミットは、仮想通貨規制に関する最終案提出の期限を7月までとしたコミュニケを発表している。今回の報告書はこれに応えたもので、7月のG20が「仮想通貨は、現時点で世界の金融安定のリスクになっていない」とのFSBの結論に異を唱える動きはない。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

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参考
CCN
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