仮想通貨業界はSEC委員長に指名されたゲンスラー氏に「慎重ながら楽観的」見方

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米商品先物取引委員会(CFTC)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)元委員長は1月18日、バイデン新大統領に米証券取引委員会(SEC)委員長に指名されました。業界やメディアの反応はさまざまですが、暗号資産(仮想通貨)コミュニティーは一言で表現すれば「慎重ながらも楽観的な見方」でほぼ一致しています。ゲンスラー氏のこれまでの発言から、仮想通貨にどのような政策で臨むか探ってみました。

ゲンスラー氏はデジタルマネー時代の仮想通貨の事情通

ゲンスラー氏は2009-14年の期間CFTCの委員長を務め、SECを率いるだろう最も仮想通貨事情に通じた人物の1人として知られています。同氏は現在、マサチューセッツ工科大学(MIT)のブロックチェーン研究者であり、教授としてブロックチェーン技術の講座で教鞭をとってきました。同氏は決して仮想通貨の熱烈な支持者とは言えませんが、仮想通貨のリスク、ブロックチェーン技術に基づく資産や仮想通貨空間の特異性など、事情通として広く知られています。

ゲンスラー氏は2019年、コインデスク(CoinDesk)に寄稿して、「われわれはデジタルマネーの時代に生きている」ことを強調して、「仮想通貨とブロックチェーン技術はすでに真の変化を促し、引き続き変化をもたらしている」と、仮想通貨をめぐる時代の趨勢に前向きの評価を下しています。

リブラの扱い、XRPの証券法違反容疑など問題山積

ゲンスラー氏はSEC委員長に就任すれば、ブロックチェーン業界における規制問題にすぐさま取り組まなくてはなりません。懸案の1つはビットコインETFの扱いです。またFacebookのステーブルコイン「リブラ(Libra)」発行問題の処理も注目されます。リブラはすでに「ディエム(Diem)」と改名されていますが、同氏は2019年、下院公聴会に長文の文書による証言を行い、リブラは連邦証券法の下で証券として扱うべきだと主張しています。

昨年12月末、SECのジェイ・クレイトン前委員長は最後の職務として、リップル(XRP)が未登録証券のXRPトークンを売買して13億ドル余りを調達したとして提訴しました。ゲンスラー氏は18年4月、ニューヨークタイムズ紙のインタビューに応えて、XRPは「非準拠証券(未登録証券)」であるとの考え方を示しています。裁判はゲンスラー氏にとって、頭の痛い問題でしょう。

ブロックチェーン技術は金融の世界を変えるとの持論

ゲンスラー氏は2018年6月、下院農業委員会で「暗号資産:デジタル時代における新しい資産に対する見解」を文書で証言して、「中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)を発行する中央銀行の可否に関して、中央銀行および経済コミュニティー内で健全な議論につながっている」と指摘しました。

同氏はその中で、「ブロックチェーン技術は、金融世界を変える可能性がある。克服すべき技術的あるいは商用上の問題は多いが、新しいこの技術が成功すること楽観的であり、そうなってもらいたい」と述べています。

一方で、脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)、テロ資金供給など不法な活動を回避することが重要だと力説します。その面で一部のICO(イニシャルコインオファリング)はコンプライアンスを著しく欠如していると、同氏は批判しています。

参考
Cryptocurrencies: Oversight of New Assets in the Digital Age

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長瀬雄壱
フリージャーナリスト、大手マスコミのOB記者。在職中は社会部、科学部、外信部で記者活動を行なう。特に外信部では、10年余り海外特派員(3カ国)を務め、国際関係、政治、経済、社会、戦争取材など、あらゆる分野で記者活動を続けた。翻訳業務経歴は約50年あり、今でも海外ニュースを深くモニターしている。