暗号通貨・ブロックチェーン業界のメディアビジネスの難しさ、The Blockの事例から

編集部おすすめ

暗号通貨・ブロックチェーン業界のメディアビジネスの難しさ~The Blockの事例から~

ブロックチェーン関連メディアのザ・ブロック(The Block)が資金調達を実施しようとしていることが、モダン・コンセンサス(Modern Consensus)というメディアのリークによって明らかになりました。投資家向け資料も全ページがリークされており、こちらからその内容を参照できます。

The Blockは、海外ではコインデスク(Coindesk)やコインテレグラフ(Cointelegraph)などに次ぐメディアで、創業時期は後発ながら影響力をつけている新興企業です。すでに同社は、シードで200万ドル(約2億2,000万円)を調達しており、投資家にはブロックチェーン・ベンチャーズ(Blockchain Ventures)やブルームバーグ・ベータ(Bloomberg Beta)、パンテラ・キャピタル(Pantera Capital)などが並びます。現在の資金調達は、300万ドルを目指しています。

2019年の収益予測とメディアのビジネスモデル

2019年の収益は110万ドル(約1億2,000万円)を見込んでいると投資家向け資料には記されています。

The Blockの収益プラン

The Blockが2019年のうち見込んでいる収益のうちの半分は、広告からです。残りの半分は、Genensisという有料のサブスクリプションサービスからで、価格は125ドル(約1万3,500円)/月、または1,000ドル(約11万円)/月です。

2020年には500万ドルの売上を得ることを目標にしています。そのうち約70%に当たる340万ドルをサブスクリプションから得て、その他は広告から収益を作る予定です。つまり、今後1-2年間でサブスクリプションの獲得を大きく伸ばすつもりです。

そして、この間に420万ドル(約4億6,000万円)の支出を行うことを想定しており、この支出にはリサーチャー・アナリストに多くが費やされます。

暗号通貨・ブロックチェーン業界のメディアの難しさ

投資家向け資料によると、The Blockは自身のメディアを「Dedicated」で「High Value」だと位置づけています。

The Blockによるメディアマップ

なお、リーク記事では、コインデスクやコインテレグラフが、「Low Value」の位置にあることなどを批判的に指摘しています。ここからは筆者の感覚値になりますが、The Blockは実際の所、高い専門性と価値を志向していることは確かでしょう。

The Blockの記事のクオリティは平均的なメディアより優れています。数々のリサーチに裏付けされた記事を配信し続けることは容易ではなく、その立場からは他のメディアを「Low Value」と揶揄したくなることも気持ちとしては分かるものがあります。

同時に投資家向け資料で記載されているように、同社が多くの支出を行っており、この記事のクオリティを維持することが難しいことも想像ができます。この理由は単純で、良いリサーチ記事を執筆できる人は、金融・テクノロジーの基礎的なバックグラウンドと構造理解能力(日本人の場合は英語も理解していなくてはいけません)が求められます。

一般的なメディアであればこういったハイスキル人材は必要ないかもしれませんが、ブロックチェーン領域における優れた書き手は、こういったスキルがあることが望ましく、そういった人材の給与は安くありませんし、育成も困難です。

そういった背景から良いメディアを作ろうとする場合、会社の支出は大きくなるのですが、その支出はどのように回収されるかのビジネスモデルの構築もまた難しく、それら全てが、暗号通貨・ブロックチェーンメディア運営の難しさであると言えるでしょう。

【こんな記事も読まれています】
仮想通貨の取引高はフェイク?信頼できる情報を提供するサービスが登場
海外の優良な暗号通貨・ブロックチェーンのメディアやポッドキャスト10選
海外クリプトメディアの「5年間、暗号通貨メディアを運営して学んだこと」を読む


d10n Labのリサーチコミュニティでは、ブロックチェーン業界の動向解説から、更に深いビジネス分析、技術解説、その他多くの考察やレポート配信を月に20本以上の頻度で行なっています。コミュニティでは議論も行えるようにしており、ブロックチェーン領域に積極的な大企業・スタートアップ、個人の多くに利用頂いています。
▼d10n lab 未来を思考するための離合集散的コミュニティ
https://d10nlab.com