世界の中銀発行デジタル通貨(CBDC)開発はどこまで進んでいるのか?

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世界の中銀発行デジタル通貨(CBDC)開発はどこまで進んでいるのか?

中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)が世界中で話題になっています。金融誌セントラル・バンキング(Central Banking)の調査によると、世界の46カ国の中銀が、そのようなデジタル通貨を検証していますが、自前のCBDCを実際に発行しようとしている国はその10%ほどの数カ国に過ぎないことが分かりました。

多くの中央銀行がCBDCを検討しているが発行に熱心なのは数カ国

調査結果によると、回答した国の65%は熱心にデジタル通貨を検討してはいますが、大方の中銀は当面、CBDCを発行する意図もしくは計画はありません。回答した中銀の71%は、たとえCBDCを発行できる状況になったとしても、ブロックチェーンに基づくデジタル通貨を発行するのではなく、広く分散台帳技術(DLT)に基づくことになろうと回答しています。

ブロックチェーン・コンソーシアムのR3が4月末に公表したリポート「CBDC:決済手段のイノベーション」によると、これら中銀は伝統的な金融システムを劇的に変えるイノベーションを目指して、銀行間決済をサポートするホールセール目的のCBDCを熱心に探索しています。

多くの中銀は単にCBDCの可能性を探っているにとどまっていますが、いくつかの国ではすでに、その発行に向けて実践的な段階に移行しています。

中国はデジタル人民元を数省で試験運用

例えば中国は、デジタル人民元を開発中です。現在までに、いくつかの省でその試験的運用を開始しています。テストにはマクドナルド、スターバックスも参加しています。

試験中のデジタル人民元は、現行の人民元に代わって国民に広く流通する通貨として大量発行されることは当面ありません。中国商工銀行のチーフエコノミストであるルー・ジェン(Lu Zheng)氏は、試験中のCBDCは汚職対策、マネーロンダリング(資金洗浄)、テロ資金対策に効果があり、現金決済を減らし、通貨発行のコスト削減にもつながると語っています。

スウェーデンはeクローネ発行に努力 デジタルドル発行は?

スウェーデンもまたeクローネ(e-krone)と呼ばれるステーブルコインを発行するため、実践的なテストを続けています。オランダ中央銀行は、CBDCの発行によって仮想通貨市場で有利な立場になることを目指して、デジタルユーロのテストを考慮しています。

一方、米国はデジタルドルの発行を真剣に検討していますが、トランプ政権は公式な見解を表明していません。新型コロナウイルス救済法案は、デジタルウォレットシステムの創設を促してはいますが、デジタルドル発行の明白なデータもしくは予定はありません。

フランスはデジタルユーロ発行を先導

フランス銀行(The Banque de France)は5月20日、ソシエテ・ジェネラルが発行したデジタル金融証券の試験的運用に成功したと発表しました。これはつまりCBDCに相当するデジタルユーロによる銀行間決済の初期テストです。報道によると、フランスのメガバンクであるソシエテ・ジェネラルは5月14日、このCBDC運用に向けて、4,400万ドル相当のセキュリティトークンを発行しました。

フランスは、欧州連合(EU)間のデジタルユーロ発行を主唱、主導してきました。フランス中央銀行は声明の中で、今回のCBDCテストがEU主導のCBDCプロジェクトすべてにそのまま有用となると述べています。ビットコイン(BTC)が通貨であることを世界に先駆けて認めているフランスは、次のテストに銀行間決済を計画しています。

参考
46 Central Banks Explore Digital Currency, With Only a Few of Them Actually Planning on Launching
France Announces Successful Test of Central Bank Digital Currency (CBDC)

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長瀬雄壱
フリージャーナリスト、大手マスコミのOB記者。在職中は社会部、科学部、外信部で記者活動を行なう。特に外信部では、10年余り海外特派員(3カ国)を務め、国際関係、政治、経済、社会、戦争取材など、あらゆる分野で記者活動を続けた。翻訳業務経歴は約50年あり、今でも海外ニュースを深くモニターしている。