ブロックチェーン業界におけるオープンソースプロジェクトの資金調達方法

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ブロックチェーン業界におけるオープンソースプロジェクトの資金調達方法

現在、イーサリアム(Ethereum)コミュニティで盛り上がっているテーマの一つがオープンソースプロジェクトの資金調達です。とりわけEthereum2.0のクライアント開発を焦点にこの議論が多く展開されています。そもそもオープンソースプロジェクトの資金調達は、ブロックチェーン以前の文脈で解決策が模索されていたテーマでもあります。

報酬機会に恵まれないオープンソース開発者

現在、ほとんど全てを占めるIT企業がオープンソースの恩恵を受けています。78%の企業が何かしらの形でオープンソースソフトウェアを使用しているというデータもあります。(参照

しかし、それらのオープンソースソフトウェアにコントリビュートしている開発者は必ずしも、報酬機会に恵まれているわけではありません。

例えば、WEBで不可欠なソフトウェアであるSSLプロトコル・TLSプロトコルの開発に関わるオープン・エスエスエル・ソフトウェア・ファンデーション(OpenSSL Software Foundation)は、年間数千ドルの寄付と数百万ドルの商業契約のみで予算が組まれています。

ブロックチェーンにおいても似たような問題を抱えており、ビットコインやイーサリアムのノードクライアントを開発するような人たちに給与を与える組織は存在しません。これらはある特定の会社が開発する公共的なソフトウェアの性質が強く、全体でみれば必要性が非常に高いものの、誰がその開発者の給与を負担するかという問題があります。

報酬問題を解決するイーサリアムのプロジェクト

イーサリアムで、こういったオープンソース開発における報酬問題を解決するアプローチとしていくつかのプロジェクトが立ち上がっています。ギットコイン(Gitcoin)は、暗号通貨を用いてグローバルで報酬を送ることができるプラットフォームです。

MolochDAOは、スマートコントラクトを用いた共用の資金供託プールで、不特定多数でコンセンサスを得ながら預託された資金をどのように使うか決められるプロトコルです。

同プロジェクトは、Ethereum2.0のクライアント開発のための資金調達手段として生まれたプロジェクトです。この資金供託プールに、2019年5月にジョー・ルービン(Joe Lubin)氏やヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が4,000ETHを寄付したことが話題になりました。MolochDAOについて詳しい説明は下記の記事でも解説しています。

参考:DAOを構築する Moloch DAO。クラウドファウンディング的なDAOプロトコルの概要・仕組み

より議論を巻き起こしている提案としては、インフレーションファウンディングという手法です。これはイーサリアムのプロトコルアップデートして、ブロック報酬のうちの数%を開発者向けの報酬プールにデポジットをするという方式です。同提案は、ERC1789という形式で提案されています。(参照

こういった仕組みは、ビットコインやイーサリアムではこれまで導入されていませんが、イオス(EOS)では、EOS Worker Proposal System という仕組みがあり、ブロック報酬のうち4%を将来の開発資金のファンドにプールをしています。

また、イーサリアムの場合は、イーサリアム財団が、ICO初期のETHを保有しており、そのETHを使ってエコシステムにとって重要と判断した多くのオープンソースプロジェクトに助成金を支払っています。

ブロックチェーンを支えるオープンソースソフトウェア

さまざまな取り組みがありますが、いずれの手法も実験的であり、持続性がどこまであるかはまだ検証段階にあるといえるでしょう。また、従来より、オープンソースソフトウェアをビジネスに組み込み、ビジネス側でマネタイズを行うというような手法も行なわれています。これは下記の記事に詳しいです。

参考:ブロックチェーン業界が、オープンソースソフトウェア企業のビジネスモデルを学ぶべき理由

しかし、このようなテーマを考えるにあたり、私たちの生活にオープンソースソフトウェアは欠かせないものになっており、ブロックチェーン領域においてもオープンソースソフトウェアがエコシステムを支えていることは非開発者も含めて忘れてはいけない事実です。いずれかのモデルが機能をすることが望まれると同時に、これからもさまざまな手法が提案されるでしょう。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

参考
It’s an open-source world: ​78 percent of companies run open-source software

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