「Ethereum2.0はどのように利用されるか?」ハシーブ・クレシ氏による論考

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「Ethereum2.0はどのように利用されるか?」ハシーブ・クレシ氏による論考

高騰するイーサリアム(Ethereum)トランザクション手数料

最近のイーサリアム(Ethereum)では分散型金融(DeFi)ブームの到来によってトランザクション手数料が高騰しています。1トランザクションあたり50gweiのGasは珍しくもなくなり、通常の送金でも300-500円程度の手数料が必要で、スマートコントラクトに接触するトランザクションでは1,000円以上のトランザクション手数料が必要になっているのが日常茶飯事です。

このような手数料の高騰は、高額の資金をDeFiで運用する利用者層にとっては問題ありません。1,000万円運用するのに2,000円の手数料がかかってしまうことは、その影響が相対的に小さいからです。一方で少額の資金を運用する層、あるいはそもそもDeFiアプリではなくゲームアプリケーションなどを利用している層にとってこの手数料は高額です。そのような利用者層にとって、6-9月頃のイーサリアムネットワークの混雑具合は深刻な問題です。

このようなトランザクション手数料の高騰はイーサリアムのブロックチェーンネットワークの容量が小さいことに起因しますが、今後アップデートが予定されているEthereum2.0ではこの問題をどのように解決するのでしょうか。著名クリプトファンドのドラゴンフライ・キャピタル(Dragonfly Capital)のパートナーであるハシーブ・クレシ(Haseeb Qureshi)氏の論考について紹介します。(参照: DeFi in Eth2: Cities, suburbs, farms

64のシャードブロックチェーンで構成されるEthereum 2.0

Ethereum2.0の大きな変更は、コンセンサスメカニズムがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に変更されることと、ネットワーク全体が単一のブロックチェーンではなく64個のブロックチェーンを束ねたものとして構成される点です。

この64のブロックチェーンはシャードチェーンと呼ばれます。Ethereum2.0ではコンセンサスメカニズムが変更され、ネットワークが64のブロックチェーンに分割されることで、現在と比較してはるかに多いトランザクション許容量を獲得できると期待されています。

クレシ氏は、Ethereum2.0ではシャードが64のブロックチェーンで構成されることから、DeFiで混み合うシャード、ゲームアイテムなどで利用されるシャードなどにそれぞれ利用用途が分かれるだろうという将来予想を展開しています。Ethereum2.0の開発のハードルの一つは、それぞれのシャードブロックチェーンの間でのコミュニケーションです。シャードAとシャードBでクロストランザクションは可能ですが、恐らくトランザクションの承認時間やトランザクション手数料は、単一のシャードB内で完結している場合より大きいコストを支払うことになります。

これに対してDeFiは、さまざまなオープンソースの金融プロトコルを組み合わせて、金融サービスを構築できることが特徴です。ほとんどのDeFiアプリケーションは2~5つの異なるプロトコルを組み合わせることによって提供されています。この際、Ethereum2.0において、オープンソースの金融プロトコルがそれぞれ異なるシャード上に配備されていたらどうでしょうか。恐らくシャードAに存在するプロトコル3つを組み合わせることと、シャードAとシャードBとシャードCのプロトコル3つを組み合わせることは、前者の方が設計上複雑性の少ないアプリケーションを構築できます。つまりは、Ethereum2.0ではシャード間のコミュニケーションは可能だがコンポーサビリティを少なからず阻害する可能性があります。

各シャードは用途によって別れ、グラデーションを持つ

クレシ氏はこのような前提を考えた場合、各シャードは用途によって分かれるのではないかと予想しています。同氏はEthereum2.0というネットワークを国のように見立てて、各シャードが都市・地方都市・農場のようにグラデーションを持つだろうという論考を展開しています。

都市

国家において都市は最も生活コストや賃料が高い。しかしながらコストが高くとも生産者が密集して混み合っており、生産活動をするのにおいて結果的に効率的です。Ethereum2.0において都市に相当するシャードチェーンはDeFiアプリケーションのチェーンになるでしょう。

地方都市

地方都市は低コストです。しかも低コストながら都市の利便性に対して一定のアクセシビリティを持っています。このようなシャードチェーンでは、普段はDeFi以外のアプリケーションでトランザクションをしており、まれにシャードチェーンでWBTC<>ETHを交換するなどの金融取引を実行することになります。

農地

最後は農地です。金融取引のトランザクションなどで手数料が混み合うことないチェーンで、手数料が安いと推定されます。このようなシャードチェーンでゲームアイテムなどがトランザクションされるはずです。

まとめ

Ethereum2.0がフェーズ2まで進みスマートコントラクトを実行できるようになるまでは、まだ時間を要します。クレシ氏の主張のようにEtheruem2.0が利用されるかはまだ分からないですが、このようにさまざまなブロックチェーンを疎結合のネットワークにするEthereum2.0の構想は、ポルカドット(Polkadot)やコスモス(COSMOS)と似ていて、それぞれが目指す方向は近しいものです。

ブロックチェーンは一つではスケールしないことは明らかなため、各プロジェクトはそのようなアーキテクチャを模索しています。ブロックチェーンのスケーラビリティはこのような方向性によって解決される可能性が高く、業界は少しずつ進歩していると言えます。

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