イニシャル・コイン・オファリング(ICO)を巡る各国の対応

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ICOによる資金調達が盛り上がりを見せるなかで、各国の規制にも注目が集まっている。

先月はエストニアのe-residency向けの仮想通貨、estcoin(エストコイン)のICOを行うアイデアが発表され、政府機関のサポートがあるコインのICOについて考える機会もあったのだが、一方で詐欺のようなもの、証券に該当すると当局が判断するようなもの、市場参加者の過熱ぶりなどICOを巡っては様々な問題も存在する。

7月以降様々な発表などが行われていたため、一度各国の中央銀行や仮想通貨の規制に関わる機関の動きを整理していみたい。

香港ではタイプによって証券に該当する可能性

香港の規制当局は9月5日に「ICOに関する声明」を発表。

この中で、「証券先物事務観察委員会(SFC)は資金調達のためのイニシャル・コイン・オファリングが香港内外で行われていることについて認知している。この声明ではICOの実態や状況によっては提供・販売されているデジタルトークンが証券先物法によって定義される「証券」に当てはまり、香港の法律の適応対象となりうることを説明する。」と述べられている。

SFCの発表によると以下の3つが「証券」に当てはまるようだ。

1.トークンホルダーが配当を受け取れたり、残余財産分配請求権を持つ「株券」タイプ

2.定められた日が来たらトークンホルダーに対してトークン発行者が利子をつけてお金を返す「社債」タイプ

3.ICOで集めたお金でプロジェクトに投資してトークンホルダーがそのリターンの一部を得られる「集合投資スキーム」タイプ

これらの金融活動を行う場合は香港に拠点があるかどうかに関わらず、香港をビジネスの対象しているのであればライセンスまたは登録が必要となる、と注意を促している。

ロシア中央銀行も仮想通貨について注意喚起

9月4日にはロシアの中央銀行から「仮想通貨の利用について」といった声明が発表されている。

ICOについても一言触れられているが、仮想通貨への投資によって損失を被る可能性があり、国が認めているものではないことを明確にし、仮想通貨投資への注意を促す内容となっており、ICOの規制については触れられていない。(*ロシア語を機械翻訳で英語にしたものを参照)

アメリカはDAOトークンが証券に該当すると判断

アメリカ証券取引委員会は、7月25日に去年ICOで集めた資金の流出を受けて大きな問題となったTheDAOの中で使われるDAOトークンが証券に該当するという調査の結果を発表している。

発表の中でTheDAOの件に関しては現在の状況を踏まえて罪に問わないものの、業界や投資家に対して注意を促している。

「発行主体が従来型の企業であれ分散型自律組織であれ、証券を購入するため通貨が米ドルであれ仮想通貨であれ、そしてそれが証書のような形でも分散型台帳であってもアメリカで証券を提供・販売する場合は連邦証券法が適応される」

また、投資家向けICOの資料もオンラインで公開されている。

中国はICOを禁止

先日中国人民銀行がICOを違法な資金調達方法だとして、ICOを禁止したことが話題となった。下記の記事の中でも最近の動きをまとめているためこちらも参照頂きたい。

関連記事:中国ICO規制に関する最近の動向

また、中国の取引所Yunbiはこれを受けて予測市場AugurのREP、OmiseGoのOMG、その他QTUM、SNT、1STなどのICO関連トークンの取引を停止すると発表されている。

その他の国は

この他、シンガポール金融管理局はICOについて注意を促す告知を行っており、イスラエルの証券庁は2017年12月末までにICOに関するレポートをまとめるようだ。

ICOについてはまだ注意を促すだけにとどまっている国も多く、今後どのような規制がなされるのかについては色々な動きがありそうだ。

また、当然のことではあるがユーザーがICOに参加する場合はプロダクトやコインがどのような特性を持つものなのか、本当に実現可能性があるのか、十分にリサーチをし、またリスクを理解した上で参加するかどうか判断する必要がある。

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