ブロックチェーンで農業改善!南米スタートアップの挑戦

編集部おすすめ

IBMブロックチェーンを用いて農業サプライを改善する南米企業

農業とブロックチェーン

アグリーマーケット(Agree Market)は、小麦や大豆などの穀物およびその副産物を売買できるオンラインプラットフォームを展開する、南米アルゼンチンの企業である。マーケットは国内だけに留まらずグローバルな取引まで可能なものとなっており、その基盤となる技術に導入されているのがIBMのブロックチェーンだ。

AgreeMarketトップ
出典:AgreeMarket

経済協力開発機構(OECD)と国連食糧農業機関(FAO)の調べによるとラテンアメリカの農業は今後10年間で17%成長するとされており、IBMは中南米全体で食品の生産、出荷、販売の方法を変える一連のイニシアチブを導入している。

アルゼンチンにおける農業の課題

近年、アルゼンチンでは農業全体の活性化や食の安全性向上のため、官民一体となった政策にチャレンジしている。直近では2019年2月に、米州開発銀行(IDB)とアルゼンチン農業関連産業事務局およびグローバルフードバンキングネットワーク(The Global FoodBanking Network)がIBMと共同で、アルゼンチンにおける食品廃棄物の削減プロジェクトを進めている。

今後の課題としては、開発者や新興企業または非政府組織(NGO)などが、サプライチェーン全体の最適化に役立つプロジェクトを推奨してくれるかという点である。IBMでは、IBM Cloudプラットフォームで利用可能な分析サービスのWatson(ワトソン)に加え、セキュリティ・IoT・ブロックチェーンテクノロジーへのアクセスを開発者に提供している。

参加者は、これらの技術を使用して共有価値を提供するソリューションを作成し、アルゼンチンのサプライチェーンを可視化することで、廃棄物の削減と食品の安全性向上を図っている。AgreeMarketもそのうちの一つだ。

サプライチェーンへの最適解

Agree Marketの取引企業は130以上あり、またイギリス、ロシア、インド、シンガポール、ウクライナなどにもオフィスを広げることでマーケットの拡大にも努めている。

世界の農業問題として、先進国や発展途上国など国ごとに抱えている主な問題は異なるものの、生産性の向上という面においては共通の課題だ。多くの発展途上国においては農業技術が未発達なうえ、人口の大部分を都市部に吸収されてしまうことから深刻な問題となっている。

また、食品というのはただ生産性を上げれば良いという話ではなく、人が口にする以上、安全面には細心の注意を払わなければいけない。

本来これらのニーズを同時に満たすことは非常に困難であるが、ブロックチェーン技術はトレーサビリティ・改ざんに対するセキュリティ・透明性などの観点から、他の管理システムより優位性のあるものとして注目されている。昨今の農業問題の解決や食品偽装問題の打開策として一役買うのではないのだろうか。

Agree Marketの最高経営責任者(CEO)であるニコラス・メイヤーウルフ(Nicolás Mayer-Wolf)氏は、今後のブロックチェーンの将来性について、「今後消費者は自分が食べる食物をますます意識し、生産地と生産者に関する情報を更に要求することになる。そのような条件を満たす唯一の方法はトレーサビリティであり、ブロックチェーンではない他のテクノロジーを考えることは非常に困難だ。Agree Marketとブロックチェーンは、すべての買い手と売り手が互いに求めるセキュリティを提供する。農業市場において、ブロックチェーンの導入以来、品質だけでなく透明性も向上された」と発言している。

Agree Marketのプラットフォームに参加できるのは、現在は法人企業のみでBtoBの取引が基本となっている。今後のシステム普及によって農作物の個人間取引などが可能になれば、消費者の選択肢もより広がっていくのではないだろうか。

参考
OECD/FAO forecasts 17% increase in agricultural and fisheries production in Latin America and the Caribbean by 2027
Da fazenda ao prato: IBM ajuda a transformar a agricultura e a indústria de alimentos na América Latina
Agree Market: la transparencia a través de blockchain

【こんな記事も読まれています】
ブロックチェーンサプライチェーン市場は2025年までに1兆円規模に?
ブロックチェーンで偽造医薬品撲滅へ、ウガンダ政府がスタートアップと協力
2019年注目の仮想通貨・ブロックチェーン業界の有望な9つのスタートアップ