先日の移動平均線、ボリンジャーバンドに続き、人気の高いテクニカルの基礎についてお話しします。

テクニカルはどれも一長一短で、需給により乱高下しやすいビットコインのような相場では特にどのテクニカルを表示させるべきか悩む人も多いのではないでしょうか。

それ一つで戦えるテクニカルというものはなかなか存在しませんが、一目でトレンド、サポートやレジスタンス、加えて時間軸まで確認できるという点で大変人気が高いテクニカルが今回紹介する一目均衡表です。

考案したのは一目山人(いちもくさんじん)という日本人で、名前にある通り、一目見ただけで相場の均衡が見て取れるという他のテクニカルにはない魅力があります。日本生まれのテクニカルですが、世界中で多くのディーラーや投資家が愛用する定番指標の一つです。

時間に重きをおいたテクニカル

過去のレートは現在のレートに影響し、現在のレートは未来のレートは現在のレートに影響を与えるであろうという考え方から、レートやその平均値を過去や未来にずらして売買判断の材料とするのが一目均衡表です。

移動平均線をはじめとする他のテクニカルとの違いとして挙げられるのが、「時間」に重きを置いている点でしょう。

多くのテクニカルが終値の平均値を参照しているのに対し、一目均衡表を形成する5本のラインのうち遅行スパンを除く4つのラインが高値と安値の平均値、つまり価格の水準を示している点が特徴的です。

「一目で確認できる」といってもライン多く複雑に思われる方もいると思うので、まずは5本のラインについて説明します。

基準線=(当日を含む過去26日間の高値+安値)÷2
転換線=(当日を含む過去9日間の高値+安値)÷2
遅行線=当日を含む過去26日間の終値を26日前に表示
先行スパン1=(転換線+基準線)÷2を26日先に表示
先行スパン2=(過去52日間の高値+安値)÷2を26日先に表示

変数はデフォルトのまま使うのがお勧め

各ラインの変数である9日、26日、52日という数値に関して合理的な説明をするのは難しいのですが、この数値がデフォルト値となっているのは一目山人自身が2000人を動員して研究した結果、相場との相性が良いことを確認したためだと言われています。

そのため、移動平均線のように転換線を5日、基準線を21日など設定値をキリの良い数値に変えることはあまりお勧めできません。先日のおさらいになりますが、相場とは周りがどう思っているかを当てる“美人投票”です。

使用している人が多いパラメーターであることがテクニカルの優位性を左右するポイントになることを忘れないようにしましょう。

まずは基準線で方向性を確認

一目均衡表を表示させたら、まず基準線の向きを確認しましょう。その名の通り相場の基準となるラインで、26日間の高値と安値の平均から構成されています。

したがって、終値の平均値を繋いだ移動平均線とは違い、最高値か最安値を超えない限り基準線は水平のままです。逆に言えば、基準線の傾きは最高値・最安値のブレイクを表しています。

基準線が水平であればレンジ、上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンドという具合に、一目で市場の流れを掴むことができるという利点があり、信頼性も高い指標です。

基準線と転換線とのクロスに注目

一方、転換線は基準線と同様高値と安値の平均により構成されていますが、期間が短く9日間の高値と安値の平均から構成されていています。

転換線を見る際は、基準線とのクロスをシグナルにします。転換線が基準線を上抜けるときが買いシグナルとなり、”好転”と呼びます。

一方、転換線が基準線を下抜けるときが売りシグナルとなり、”逆転”と呼んでいます。移動平均線でいうゴールデンクロスやデットクロスのような考え方ですが、最高値・最安値をブレイクしないと傾かない基準線・転換線は、移動平均線よりさらに強い売買シグナルとなります。

遅行スパンでモメンタムを確認

遅行スパンは26日前の値動きを表しています。つまり26日前に売買した人は儲かっているのか、損をしているのかを読み取ることができ、このことは売買において非常に重要な判断材料になります。

具体的には、遅行スパンが上方にあるとき、26日前に買っていた人は儲けが出ていて売り決済のタイミングをうかがっています。

そして遅行スパンがローソク足に近づくほど投資家は損をしたくないという心理から売りに動意がつきやすくなるのです。見方もとてもシンプルで、遅行スパンがローソク足より上にあれば上昇、ローソク足の下にあれば下落と考えます。

また、遅行スパンがローソク足だけでなく後述する雲を突き抜けていればより強いトレンドを確認できます。一目山人自身もこの26日遅行スパンについて「最も重要」と発言しています。

抵抗帯となる先行スパン「雲」


先述の通り一目均衡表は「時間」に重きを置いている点が他のテクニカルにない特徴ですが、過去の値動きから未来の動向まで表しているテクニカルは一目均衡表だけです。

先行スパンは、その名の通り過去の値動きから26日先の動向までを表しています。先行スパンの使い方として重要なのが、2本の先行スパンに挟まれグレーになっている「雲」と呼ばれる部分です。

この雲は過去データをもとに未来の投資家の心理を的確に表す非常に優れた指標です。ローソク足と雲との位置関係から、売買シグナルは主に3つあります。

①雲の外は抵抗帯

雲がローソク足の下にある時はサポート、逆に雲がローソク足の上にある時はレジスタンスと捉えます。

トレンドが雲に接近すると、利益の目減りを防ぎたい参加者は雲を抵抗ポイントと捉える心理が働くため、雲の存在が下落を阻止するサポートや上昇を阻むレジスタンスとしての役割を果たすのです。

②雲の中はレンジ

ローソク足が一旦雲の中に入ると、上限で跳ね返され、下限でも跳ね返されることから半値戻しの水準になり、売り手と買い手の攻防が繰り広げられるレンジ相場となることが多くなります。

これは乱高下の前兆でもあり、注目したいシグナルです。

③雲を抜けるとレンジブレイク

雲を抜けると一気に相場は傾きます。これは拮抗していた売り手と買い手のバランスが崩れることで大勢の流れが変わるためです。

特にビットコイン相場においては短時間で雲を大きく突き抜ける上昇や下落も珍しくないので、短期売買の方はタイミングを逃さないようにしましょう。

乱高下の多いビットコイン相場ですが、売買シグナルの基本を抑えるだけでも心理的に戦いやすくなるはずです。是非活用してみてください。