ICO人気の陰に著名人によるPR、目に余るバウンティー・キャンペーンとは?

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ICO人気の陰に著名人によるPR、目に余るバウンティー・キャンペーンとは?

米国では最近、「Bounty Campaigns(報奨金キャンペーン)」が盛んである。ソーシャルメディアに影響力のある人物がICO(Initial Coin Offering)を宣伝し、報酬を得るというキャンペーンで、法律違反すれすれの活動である。

大手企業(Google、Facebook、Twitterなど)は2018年初めごろから、仮想通貨の広告禁止に動いた。さらにビットコインは、2017年12月最高値を付けてから50-60%下落。にもかかわらずICOは2018年の現在まで過去最高のペースで資金を調達している。5月までの調達額は2017年の2倍にもなる537件、137億ドル(約1.5兆円)となる。それを支える一翼を担っているのが報奨金キャンペーンだというのだ。

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ジョン・マカフィー氏は1件当たり10万ドルでICO宣伝の一翼担う

米大手メディアのBloombergはこのほど、「仮想通貨に影響力のある人物は、10万5000ドルのツイートでマーケットの人気を高めている」との見出しで、報奨金キャンペーンの実態を伝えている。それによると、アンチウイルスソフトのMcAfeeの創業者ジョン・マカフィー氏は3月、ICOを宣伝するツイート1件当たり10万5000ドル(約1150万円)を請求していると語った。同氏は以前から報酬を受け取って、ICO宣伝の一翼を担ってきたという。

昼間はエンジニアのポール・アンガス氏は、夜には8000人以上のチャンネル登録者を抱えるYoutubeの「Cryptonomatron(クリプトノマトロン)」でICOの最新動向を投稿し、時には仮想通貨で報酬を得ている。これも報奨金キャンペーンの1つとすれば、その影響力は確かに無視できないだろう。

ICO人気の陰に著名人によるPR、目に余るバウンティー・キャンペーンとは?出典:Youtube

報奨金キャンペーンは証券法違反か?

キャンペーンの支持派は、低コストでブランドの価値を高めることができると指摘する。逆に反対派は、キャンペーン自体が誇大広告と偽情報横行の温床になっていると主張する。ICOが有価証券とみなされ法域に入っているとするならば、「バウント・ハンター(Baunt Hunter)」と呼ばれるプロモーターは、未登録のブローカーディーラーの役割を果たしていることで、有価証券規制に違反する恐れがありそうだ。

英Autonomous Research社のフィンテック戦略グローバルディレクターであるレックス・ソコリン氏は、「金銭面の結果が、取引だけでなくソーシャメディアを通じた考え方を生み出すことによって、操作できることが分かれば、規制当局はかなり強硬姿勢をとることになるだろう」と指摘している。

米SECやCFTCもキャンペーンに乗った安易なICO購入を警告

一部のプロモーターはすでに、規制当局のやる気を感じ始めている。マカフィー氏はそれを敏感に感じたのだろう。同氏は6月19日、82万人のフォロワーがいるTwitter上で、米証券取引委員会(SEC)から匿名の警告(脅し)を受けたと告白して、「私は今後、ICOに協力するとか、推奨するようなことはしない」とつぶやいた。

SECは2017年11月、(マカフィー氏のような)著名人の支持者を念頭に、投資が妥当かどうかの確かな知識もない支持者によるICO推奨を警告した。SECのジェイ・クレイトン委員長は、ICOは登録に必要条件を回避しており、市場は恐らく詐欺行為に満ち溢れているとコメントしている。米先物取引委員会(CFTC)もまた、ソーシャルメディアで誰もが知りうる情報に基づいて、トークンを安易に購入しないよう警告している。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

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参考:Bloomberg