ICO合法化に向けたトークン発行の条件とは? 多摩大学の「ICOビジネス研究会」が提言

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ICO合法化に向けたトークン発行の条件とは? 多摩大学の「ICOビジネス研究会」が提言

多摩大学の「ICOビジネス研究会」がこのほど、合法的な資金調達手段としてのICO確立のための提言を行った。ICO(Initial Coin Offering)が持続的で健全な資金調達手段として公的に認められるよう、提言は7つの原則と2つのガイドラインをまとめて2018年4月5日に公開された。

「ICOビジネス研究会」は、多摩大学の大学院教授でシンクタンクのルール形成戦略研究所長の国分俊史教授を座長にして、産業・専門分野の会員や有識者らで構成され、2017年11月から2018年3月にかけて検討してきた。ルール形成戦略研究所(Center for Rule-making Strategies)は、政府が助成金を受け、金融機関や業界が会員になっている。さらに顧問に、衆議院議員で自由民主党、IT戦略特命委員長の平井卓也氏や甘利明衆議院議員ら政府、自民党関係者が客員として参加している。

ICO合法化のためのルールを初めて提言

ICOは新たな資金調達・運用手段としてブロックチェーン、仮想通貨の発展とともに注目されている。ICOはその手段として社会から信認を得るためには、適切なルールが形成されなくてはならない。提言されたルールは、とかく不正行為や詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)の標的となるICOを合法化する最低条件とは何かを初めて示したものとして注目される。

ICOを実施する主体(発行体)は、ベンチャー企業やプロジェクトが中心だが、今後は目的や手段が発展する可能性がある。提言は発行体をベンチャー型、エコシステム型、大企業型の3つのパターンに分類している。

ベンチャー型は、株式市場での増資や、出資を受けにくい小規模ベンチャー企業である。投資の対象はハイリスクハイリターンを求める投資家。エコシステム型は、企業・自治体など複数の法人による資金調達である。エコシステムを通じた新たな市場形成を狙う。そして大企業型は、企業内でリスクが高い特定のプロジェクト(新製品開発やゲームなどのコンテンツ制作)で、企業特典を期待する投資家や支援・賛同層の投資を期待する。

ICOによるトークン発行原則とガイドライン

トークン発行原則は下記となる。

  • 発行原則1:ICOの設計に当たって、サービス提供の便益提供条件や調達資金・利益・残余資産の分配ルールを明確にして、トークン投資家などへ開示すること
  • 発行原則2:ホワイトペーパー遵守、トレースの仕組みは透明性をもって開示すること

この原則を守って、実務的に求まられる7つのガイドラインと原則は、以下のようになる。

  • ガイドライン1:既存株主・債権者も受け入れられる設計であること
  • ガイドライン2:ICOが広く支持を得るため、株式調達等金融商品による既存の調達手法の抜け道とならないようにすること

そしてトークン売買に当たって、投資家保護の5つの原則が提言されている。

  • 売買原則1:トークン販売者は、投資家のKYC(Know Your Customer=本人確認)適合性を確認すること
  • 売買原則2:幹事社は、発行体のKYCを確認すること
  • 売買原則3:仮想通貨交換所は、上場基準のミニマムスタンダードを制定・採用すること
  • 売買基準4:上場後はインサイダー取引など不公正取引を制限すること
  • 売買基準5:発行体、幹事社、取引所などトークン関係者は、セキュリティ確保に努めること

ルールが守られれば、規制はいらない。ICOに関する今回初となる提言は、何らかの規制に動く世界の大勢に一石を投じるかもしれない。自主規制を含め、あらゆる関係者が納得できるルールが確立すれば、それを“ICO規制”と呼ぼうが構わないだろう。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考: 多摩大学「ICOビジネス研究会提言レポート」