以前執筆したコラムで、ICOとは元々非中央集権型プロトコルやDAOのためのもので、企業のためのものではなかったということ、そして、もし一般企業がICOを行うなら、トークンの設計は、利益配当型がほぼ唯一な合理的な形式であることを述べました。

前回の記事▶一般企業によるICOは、合理性があるのか

そういった「利益配当型トークン」は、使いみちがいまいちよく分からないトークンより質が良さそうとも思えますが、これらのトークンについて投資する側の観点から、少し考察してみたいと思います。

配当型トークンは、ざっくりPERが計算できる

まず、利益配当型なので、これらのトークンは株式と近い構造であり、PERが計算できます。

PERとはPrice Earnings Ratioの略称で、株価収益率のことを指します。

株価÷一株当たり利益(EPS)で計算することができます。

例えば、株価が3000円で、一株当たり利益が200円ならば、PERは15倍と割り出すことができます。

配当型トークンをこれに置き換えると、トークンの現在価格から、配当予想額を割れば、PERがでます。

一例として、現在、主要な配当型トークンとして、暗号通貨デビットカードTenX Payなどがありますが、こちらはカード決済の%を配当する形式です。

カード決済の流通額は、ざっくり予想したり運営側の発表を参考にしたり、皮算用するしありませんが、おおよそ目安となるPERが計算できるはずです。

Tenx payを例に挙げましたが、他に将来的な配当をインセンティブに設計したトークンとして、AugerのREPや、PolybiusのPLBTなどがあります。

同じように、あくまで皮算用という前提がつきますが、PERをざっくり計算できます。

ですが、現在の暗号通貨市場の市場参加者は、こういった計算をしていないだろうし、筆者の個人的な感覚では、非常に割高に感じるものが多いです。

このようなトークンを購入するときは、参考指標のひとつにされると良いと思います。

配当型トークンはSECから「証券」として扱われる可能性がある

また、投資家目線でこういった配当型トークンに投資する場合、もうひとつ重要な注意点があります。

今年7月に、米証券取引等監視委員会(SEC)はThe DAOのDAOトークンは米国有価証券取引所法の規制対象になる可能性があることを発表しました。

DAOトークンが、投資先からの配当権利を得ることができることなど、いくつかの点で証券としての性質が非常に強いというのがSECの見解です。

この発表をうけて、主要アルトコイン取引所のひとつであるPoloniexが、取り扱いトークンについてのリリースを出しています。

このリリースでは、同取引所がアメリカ証券取引委員会の遵守し、SECの基準に逸れたトークンを廃止する可能性があることが示されています。

つまり、証券的性質がある、利益配当型トークンを上場リストから外す可能性が示されています。

SECが、「規制の対象になる可能性がある。」と発表したトークンを、アメリカを拠点としている取引所会社は、扱いにくいでしょうから、他の取引所もこれをフォローする可能性は非常に高いと思います。

つまり、投資家として、これらのトークンを購入するとき、そのトークンが、Bittrexなどアメリカの取引所、つまり現在の暗号通貨市場で、主要とされている取引所の上場リストから外される可能性は、リスクとして十分考慮したほうが良いということです。

前述したように利益配当型トークンはICOトークンの形式として批判はしませんが、現状、規制がないグレーな環境でやり取りされているので、投資する方は上記のようなことは想定されておくべきかと思います。