世界経済の雲行きは怪しいが仮想通貨は安泰、ラガルドIMF専務理事が今後を予測

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世界経済の雲行きは怪しいが仮想通貨は安泰、ラガルドIMF専務理事が今後を予測

国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、世界経済先行きは「日ごとに暗くなっている」(ロイター:2018年6月11日)との見解を表明した。

ラガルド専務理事は、6月8~9日開かれたG7で、トランプ米大統領が共同声明に署名しないで閉幕したという異例の事態にコメントした。ラガルド氏はトランプ氏の貿易政策を遠回しの表現で批判し、現行の貿易慣行に挑戦することは、ビジネスの信頼を傷つけるものだと述べた。同氏はここでも、仮想通貨にも触れて、その行き先に楽観視しているとの持論を展開した。

2018,19年世界成長は3.9%予想変えないが、世界経済は下振れ

IMFは、2018年と2019年の両年の世界成長を3.9%との予測を変えていないが、ラガルド氏は「6ヵ月前に示し、週末(G7閉会前)まで言い続けてきたように、地平線上に現れている雲は、日ごとに暗くなっている」と、次のようにコメントした。

「われわれが目撃している極めて大きく、暗い雲とは、(トランプ氏による)貿易問題への取り組み、処理されるべき関係、多国間組織の運用のあり方に挑戦する試みによって引き起こされた信頼の低下である」

同氏は関連して「情勢は修復できない程度までエスカレートし続けている。金融世界に緊張が生まれつつあり、新しい資産(仮想通貨)がトップの地位まで上り詰めるだろう新たな機会が生まれた」とコメントしている。

仮想通貨の利点をIMFブログで強調、将来を楽観視

ラガルド専務理事はこれに先立って、IMFブログの中で(4月16日)、いくつかの実績を引用して仮想通貨の将来については楽観的な見解を表明している。

ラガルド氏はこれまで、仮想通貨について何度か見解を示してきたが、今回のブログはそのプラス面に絞った考察の最新のもので、極めて示唆に富んだ分析である。

「1600以上の仮想通貨が流通している中、その多くは必然的に創造的破壊のプロセスの中で淘汰されると考えられる」

「ドットコム時代に誕生した新テクノロジーの一部が、私たちの生活を一変させたように、今後生き残る仮想資産は、私たちが貯蓄し、投資し、支払いを行う方法に大きなインパクトをもたらす可能性がある。それゆえに政策当局が、偏見のない視点を保ち、リスクを最小限に抑え、効果を生み出す創造的プロセスを可能にする、公正な枠組みに向けた努力が必要である」

ラガルド専務理事は、仮想通貨がもたらしうる利益(プラス面)は、以下の3点であると指摘している。

迅速さと低コスト

仮想資産によって、迅速で低コストの金融取引が可能となり、現金の利便性の一部も提供される。海外への送金が、数日でなく数時間で行われる決済サービスも出てきている。民間発行の仮想資産が依然として危険を含み、不安定だとしても、中央銀行によるデジタル通貨発行の需要がある可能性は考えられる。分散型台帳技術(DLT)は、金融市場のより効率的な機能に資する可能性がある。さらに重要記録の安全な保管も有望している。

より良いバランス

フィンテック革命とともに、信頼できる仲介業者の必要性がなくなるとことはないだろうが、分散型アプリケーションによって、金融世界で多様化が進み、中央集中型サービスと分散型サービスの提供者とのバランスが改善され、効率良く、さまざまなリスクに耐える金融エコシステムの形成が期待される。金融システムが、仮想資産によってさしせまった危機が生じることはないと見られる。しかし、規制当局は警戒を怠ってはならない。

公正なアプローチ

仮想通貨を通じて金融活動に意義のある持続可能な変化をもたらすためには、まず消費者と関係当局の信頼とサポートを得る必要がある。国際的な規制当局コミュニティにおいて、仮想資産が果たすべき役割についてコンセンサスを形成することが、その重要な第一歩となるだろう。仮想資産には国境がないからこそ、国際協力が必要不可欠となる。

関連:仮想通貨の利益は「迅速さ、低コスト、バランス」IMFのラガルド専務理事が支援へ

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考
NEWSBTC
IMFブログ